第226話・第二次新宿決戦
ベルセリオンと秋山は、突然の襲撃で今際の際に立たされた。
けたたましい銃声が響き渡り、弾丸が壁や床に激しく当たり散らばる。
どうするかなど思考する猶予も無い、ベルセリオンは損得勘定抜きで即座に判断を下した。
「どいて!!」
思い切り叫んだベルセリオンが、秋山の前に出ると同時に、残った全魔力で本気の魔導防壁を展開。
飛翔してきた銃弾を、ギリギリのところで防いだ。
「はっ……やく! そこの陰に!!」
だが、高速ライフル弾を受け止めるには圧倒的に強度が足りない。
もって後4秒。
ベルセリオンは今にも壊れそうな防壁と共に、近くの柱の陰に2人で隠れた。
銃弾が、柱にドリルでも当てたように削っていく。
「なんなの……? ここ日本よね? なんでこんなことが……」
秋山は震える声で呟いた。
だが、すぐに結論を整理。
ひょっとして……、アイツらはこの子を狙ってるんじゃ……。
突如封鎖された新宿、人気の全く無い駅。
暗殺するも拉致するも、状況が整い過ぎている。
隣を見れば、魔力枯渇で気絶寸前のベルセリオンが荒い息を吐いていた。
––––この子は、私が守らないと!
「落ち着いて……ベルセリオンちゃん。今は逃げることだけ考えましょう」
秋山は冷静に答えたが、状況が絶望的であることに変わりはない。
民間人でありながら、驚異的な危機対応能力だったが……流石に素手で武装集団に立ち向かう術はもっていなかった。
「でも、ゲホッ……、どうやって……」
「とりあえず出来ること!」
その時、秋山はバッグから手鏡を出して柱の影から出した。
鏡越しに、安全圏から敵が見える。
「数は10人以上……、何かキッカケが無いと動けないわね」
この瞬間にも、謎の武装集団はドンドン距離を縮めてくる。
終わりか……、そう思った時。
––––ダンダンダンッ––––!!!
「えっ!!?」
敵の反対側、自分たちの背後からも銃声が響いた。
奏でられた死の狂奏は、前進していた武装集団を蜂の巣にした。
「来たぞ、敵だ!!」
「思ったより早いな! 総員応戦!!」
荒い中国語と共に、銃声はより凄まじいものとなる。
2人が隠れてる柱の横を、ビュンビュンと音速で弾丸が飛び交った。
戦場と化した新宿駅内で、秋山は即座に決断した。
「行くなら……、今しか無い!」
「ふえ!!?」
さすがのベルセリオンも、彼女の正気を疑った。
この弾幕の中を横に突っ切るのは、どう考えても自殺行為。
しかし、すぐにそんな考えは霧のように消える。
「背後に現れた集団が味方とは限らないわ、ベルセリオンちゃんの捕獲が命令なら……こっちは撃てないはず」
「た、確かにそうだけど……」
「いい? 321で飛び出すわよ……そこからは自分の運に祈って」
未だ激しい銃撃戦が続く中、意を決して秋山は床を蹴った。
「今!!」
「もう! どうにでもなれぇ!!」
このタイミングで2人が飛び出すのは、両陣営にとっても想定外だった。
銃声が一瞬止み、敵の動きが一時的に鈍った。
その瞬間を見逃さず、秋山はベルセリオンを引っ張りながら走り出した。
「行くわよ!」
2人は全速力で走り抜け、通路を必死に駆けた。
銃声が再び響き渡り、弾丸が彼女たちの背後で次々と炸裂する。
一歩何かが狂えば死ぬ。
だが、秋山の冷静な指示とベルセリオンの悪運が、彼女たちを結果的に守っていた。
「ここを曲がって!」
秋山の指示に従ってベルセリオンは角を曲がり、細い通路へと駆け込んだ。
そこには階段があり、2人は一気に駆け上がった。
「もう少し……、頑張って!」
銃声は追いかけて来ない、おそらく……互いに追いかけるのは不可能と判断したのだろう。
ベルセリオンは朦朧とする意識の中……全力で走り続けた、階段を上り切った先には、緊急出口の扉が見えた。
「出れた!!」
かくして2人は、命懸けで新宿駅からの脱出に成功した。
一方で、秋山たちの背後に現れた集団は……その銃撃戦を早くも終えようとしていた。
「カタストロフィーへ、こちらキャスター。少々問題が発生しました」
『ん? どしたの?』
「新宿駅内でベルセリオンを発見、しかし民間人と中国部隊がいました」
『雄二の検問を武器持ってすり抜けるとは……かなり腕利きだね、民間人は無事?』
「こちらが銃撃戦をしているというのに、全力で弾幕を横切って逃げていきました。アレは相当に肝が座っている……執行者も一緒にです」
『そうか、中国部隊は?』
「何人かは仕留めましたが、前回のような烏合と違う。ベルセリオンが逃げたと知ったら即座に撤退していきました」
『なら良い、君らは引き続きベルセリオンの捕獲に従事してくれ。僕は中国部隊の所属を調べる。ちょっと横槍は入ったが予定通りだ』
「了解です、駅外のウォッチャーに連絡。ドローンで逃げた民間人と執行者を追跡します」
『頼んだよ、味方が電波妨害を掛けてくれてるから敵のドローンは使えないはずだ。バレないように護衛しろ』
「了解」
特戦の部下と通信を終えた錠前は、別の通信機で相手を呼び出す。
「っということだから、仕上げは頼んだよ––––新海」
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