表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/452

第21話・初デビューは上々のようです

 

 自衛隊史上初の銃器レビュー動画。

 透からすれば、彼女がこう言い出した段階で外堀も埋めて来たのだと悟る。


 おそらく、“あの上官”からも許可を貰っているのだろう。

 なら特に、問題は無かった。


「は、はい……四条2曹。了解しました」


「先輩が言うなら……」


 四条の勢いに、結局坂本も久里浜も逆らえなかった。

 即席の机に並んで座らされ、目の前に愛銃を置く。


 その際、かなり距離が近く––––


(久里浜のヤツ……! 髪が長いせいか? めっちゃ良い匂いして気が散るッ)


 坂本の情緒をかなり乱れさせた。


「ちょっと、お2人共もう少し互いに寄ってください。カメラに入り切りません」


 指示通り、ほぼ密着に近い状態へ。

 久里浜は明らかに全身シャンプーのような香りがしており、とても普段汗臭いが常識の自衛官とは思えなかった。


「四条、今回のスタイルはどうするんだ?」


「そうですね透さん、配信を行いつつ……アーカイブは消して、後でショート動画に纏めるつもりです。1分動画なら多少テンポが悪くても編集で誤魔化せます」


「なるほど」


 そして遂に、緊張する2人へカメラが向けられ、


「じゃあ始めますね」


 容赦なく配信開始ボタンが押された。

 同接は、すぐに数万人を超える。


「カメラよし、配信に来てくれた人、今日はラッキーですよ。今回は新しい仲間と愛銃の紹介です! アーカイブは残しませんので」


 ヒョイとカメラを反対に向けた四条が、ここに来て初めて顔出しする。

 その際、横で監督する透の姿も映って––––


【四条2曹の生顔だー!! くっそ可愛いじゃん!!!】

【日本の救世主、新海3尉もいるぞ! 今回豪華過ぎじゃね?】

【新しい仲間ってどゆこと?】


 コメント欄の速度が凄まじい。

 ゲリラ配信で、よくもまぁこんなに盛り上がるものだと透は思う。


 しかし、大半が本人の功績だということをなぜか自覚が無い。


「じゃあ早速紹介、久里浜士長!」


 カメラを向けられ、小動物のようにきょどり倒す。

 だが、特戦のエリート意識が彼女のスイッチを入れさせた。


「こ、こんにちは。今回初めて配信チームに加わった久里浜士長と言います。今日は愛銃も含めて覚えていってください」


【王道美少女キタ––––!!!!】

【小ちゃくてセミロング可愛い! 愛銃はなんだろ?】

【坂本3曹真顔で草】


 視聴者には知るよしもない。

 久里浜は今、坂本によって背中を傷ができない程度につままれていた。


 別に嫌がらせではない。

 久里浜本人が気を引き締めるため、坂本にお願いしたのだ。


「わたしは第一空挺団所属で、この銃は『HK416A5』って言います。今回配信チームへ加わるにあたって導入された、試験用小銃です」


 カメラが銃に向けられると、ガンマニア達は揃って興奮する。


【すげぇレア銃!! 自衛隊公式レビュー動画とか初めてじゃん!!】

【EXPS3タイプのホロサイトに最新式のD-VAL(レーザーサイト)じゃん、っというかカスタムされ過ぎててヤバい】

【EXPもD-VALも普通手に入らん超高性能アクセサリーだぞ、頭米軍かよ(褒め言葉)】

【試験用小銃なら、確かに納得だわ】


 四条の予想は命中し、リスナー達はみんな久里浜の身分を第一空挺だと思い込んだ。

 確かに、これを済ますことで彼女の身分は上手く隠せる。


「この銃は口径5.56ミリ、カスタムは結構近接向き……かな? あっ、ストックも変えてまーす」


【マグプルのパーツ多めだな、センスある】

【ハンドガードはガイズリーか、これなら女の子でも持ちやすいな】

【久里浜士長と結婚したい】


 不慣れながらも愛銃を紹介する久里浜は、いつの間にか凄く楽しそうに喋っていた。

 こっそり坂本がつねるのをやめても、テンポは決して変わらない。


 和気あいあいと、面倒くさいガンマニアの質問へ完璧に答えていた。


「上手く行きそうだな」


「えぇ、意外といけそうですね。千華ちゃんならできるだろうとは思ってましたが」


 カメラの背後で腕を組んだ透と、見守る四条が満足そうに頷く。

 そろそろ一区切りしようと思ったところで、“事件”は起きた––––


『全隊緊急呼集!! 当駐屯地へ敵対生物群接近中! 各部隊は速やかに施設の防衛に当たれ!!!』


 非常事態––––敵襲が発生した。


21話を読んでくださりありがとうございます!


「少しでも続きが読みたい」

「面白かった!」

「こういうダンジョン×自衛隊流行れ!」


と思った方はブックマークや感想、そして↓↓↓にある『⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎』を是非『★★★★★』にしてください!!

特に★★★★★評価は本当に励みになります!!! 是非お願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ