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第190話・ベルセリオンの誤算

 

「フンフンフフーン」


 ––––アカシック・キャッスル中央塔。


 石レンガに覆われた広間で、ベルセリオンは優雅にティータイムを楽しんでいた。

 さっきまでここにいた佐世とかいう記者は、陳大佐がどこかへ連れて行った。


 エクシリアも用事で不在なので、ようやくのんびりとくつろげるというわけだ。


「連中がそろそろ爆裂魔法地雷を踏む頃かしら……、ふふっ。楽しみねぇ……エルフ達に不眠不休で作らせた甲斐があったわ」


 ベルセリオンの切り札たる爆裂魔法は、アカシック・キャッスルを囲むように設置されている。

 その規模は凄まじく、構築する過程でエルフが10人ほど過労死したほどだ。


「連中が吹き飛ぶ音を聞きながらのティータイム、きっと最高の一杯に違いないわ」


 ドヤ顔で乾杯をした瞬間、遠くから大きな爆発音が轟く。

 同時に拠点もグラグラと揺れ、それはベルセリオンの爆裂魔法が発動したことを示していた。


「……さながら、勝利の美酒ね。(お茶だけど)」


 天にカップを捧げる。

 今の爆発で何人吹っ飛んだだろうか、数えるのが楽しみで仕方ない。


 40……ひょっとしたら100人はやったか?

 いずれにせよ無事であるはずがない、今度こそ勝利確定。

 ドロ水のような紅茶を美味しく啜った時、異変が起きた。


「……あれ?」


 細かい爆発音が何度も響き渡っている。

 爆裂魔法にしては雰囲気が違う……、散発的であちこちから聞こえて来た。


 同時に、広間のドアが勢いよく開けられた。


「た、大変ですベルセリオン様!!」


 駆け込んできた上級オークが、冷や汗を流しながらベルセリオンの前へ。

 なんなんだろう、この胸騒ぎは……。


 彼女が違和感に悩んだと同じくして、オークが叫んだ。


「爆裂魔法陣地が破壊されました! 現在部隊を総動員していますが、敵は鋼鉄の馬と空飛ぶ精霊で防衛線を突破、クリスタルが次々に破壊されています!!」


「は、はあぁ––––––––!!?」


 ベルセリオンの心臓が早鐘のように鳴り、広間の装飾された石壁が緊迫した空気で震えるように感じた。

 ティーカップが手から滑り落ち、地面に落下して砕け散る。


 しかし、その音も続々と響く爆発音と彼女の急速に高まる焦燥感に、スッと呑み込まれてしまった。


「何者!? 隠蔽は完璧だった筈よ!? 誰がこんなことを……!」


 ベルセリオンの声は怒りで震え、彼女の瞳は怒火に燃えていた。


 オークは呼吸を整えながら、必死に状況を説明した。


「敵……敵は自衛隊とエルフ! そして大型の兵器の群れです! 連中は異次元の技術を駆使しており、我々の防衛線は完全崩壊寸前です!」


「だっ! かっ! らぁ!! なんでエルフが敵側にいるのよ! こっちに服従させたんじゃなかったの!?」


彼我(ひが)の戦力差によって戦意を喪失したエルフへ……自衛隊は何やら食料をばら撒いているようなのです。それを食べたエルフ達が、続々と敵に寝返っていて……」


「あんの無能共!! 食料は最低限くれてやったでしょうが!!」


 その報告を聞き、ベルセリオンはすぐさま立ち上がる。

 大慌てで戦略情報室へ向かおうとしたが––––


「あっ…………」


 城を覆っていた魔力の流れが、大きく変わった。

 拠点に隠蔽作用を施していた魔法が、ヒビ割れていく。


「ヤバい! 隠蔽用クリスタルが破壊されていってる!!」


「ど、どうするのですかベルセリオン様!? 位置がバレれば敵の本隊が……!!」


「落ち着きなさい! まだ防御用バリアが残ってる! 古代兵器の調整が完了するまでは持ち堪えられる!!」


 アカシック・キャッスルを覆う形で、現在––––物理・魔法あらゆる攻撃を防ぐ防壁が展開されていた。

 ダンジョン・マスターが施したもので、いくらかなら時間稼ぎできるはずだった。


「所詮は信仰力指数の低い猿共よ、我らがマスターには遠く及ばない––––」


 彼女が自信満々に呟いたと同時––––隠蔽魔法が完全に解けた。

 同時に、1機のヘリコプターがまるでタイミングを計ったかのように上空へ現れる。


「敵精霊1、接近!!」


「慌てることじゃないわ、対空魔法を起動しなさい。サッサと撃墜して」


 拠点のあちこちから、炎、雷、氷といった魔法が次々に撃ち放たれた。

 アカシック・キャッスル上空へ侵入したのは、陸上自衛隊のUH-1汎用ヘリコプター。


 激しい弾幕を掻い潜るが、所詮あんな精霊でできることなど限られている。


 動じる必要なんて無いと思った矢先––––


「敵精霊に命中弾!」


「よし、撃墜できそうかしら?」


「あと数発は当てる必要があります、ですが……もう終わりでしょう」


 ベルセリオンとオークが安堵した瞬間、黒煙を吐いたUH-1から何かが落とされた。

 否、正確には飛び降りた。


 小さな人影をズームアップしていくと、それは長く美しい銀髪を持っていることがわかった。


「なっ!?」


「はぁっ!!?」


 UH-1ヘリコプターから飛び降りたのは、クリーニングされた制服に身を包んだベルセリオンの妹。


 ––––執行者テオドールだった。


190話を読んでくださりありがとうございます!


「少しでも続きが読みたい」

「面白かった!」


と思った方は感想(←1番見ててめっちゃ気にしてます)と、いいねでぜひ応援してください!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 最低限の食糧VS飽食の国、日本…ファイッ!! ほえドールVS灰皿…燃料(食い物)の差が圧倒的なんだよねえw
[一言] 着地の咆哮 「ほぇえぇえぁあああああっっっっっ!!!!!」
[一言] ベルセリオンとほえドール どうして差がついたのか 慢心、環境の違い
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