第15話・攻撃ヘリによる、地竜エリアの威力偵察
ローファンタジーランキング上位にTSでもない自衛隊モノがランクインしてるの、なんか面白いと同時に私的にはとても嬉しいですね。
これも皆さんの応援あってこそです。
––––ダンジョン内部、地竜エリア上空。
高度300メートルの空域を、陸上自衛隊のAH-1S攻撃ヘリコプターが2機編隊で飛行していた。
いや、厳密にはほとんど静止……ホバリング状態だ。
両側に伸びたハードポイントには、TOW対戦車ミサイルが計4発搭載されている。
「CP、こちらアタッカー1。現在地竜エリア上空に到着––––配置についた。送れ」
「アタッカー1へ、了解した。今見える情報を送れ」
射撃手が機首のガンカメラを起動し、何十倍というズームが掛けられる。
現代の攻撃ヘリは、敵を対空ミサイルの圏外から攻撃するため高性能な光学機器を装備している。
現実のヘリは、相手の真上を飛ぶのではなく––––遥か後方から攻撃を行うのだ。
「さて、これをどう報告しましょうかね」
連動する20ミリガトリング砲が、1つの巨大な塔を見つけた。
「高さ300メートル以上、横幅200メートル以上の塔らしきものを視認。装飾が施されている……」
「他に見える物はあるか?」
「塔の周囲に、5つの巨大岩石が散らばっている。偵察隊の事前報告通り……これは地竜の巣と思われます」
白黒のカメラには、岩から出てくる地竜の姿が何体も映った。
当然ながらこちらに気づいた様子は無い。
この距離ならば、騒音に等しい軍用ヘリのローター音すら聞こえないだろう。
「よし、ではこれより“威力偵察”を開始する。目標は地竜の巣だ……塔には当てるなよ。ダンジョン内部の制御装置である可能性がある」
「了解CP、アタッカー1––––攻撃体勢に入る」
安全装置を解除し、赤色のトリガーに指を掛ける。
照準の真ん中に、巣が映り込んだ。
「発射用意––––発射ッ!!」
––––バシュゥッ––––!!!
地竜から3キロ離れた上空より、TOW対戦車ミサイルが2発放たれた。
有線誘導方式のこれは現代で言えば古い部類だが、決して弱いわけではない。
同じ有線誘導方式のものでも、ウクライナ戦争においては大量の戦車や装甲車を撃破している。
特にTOWは優秀で、ブラッドレー歩兵戦闘車に搭載されたものが、ロシア軍の主力戦車を撃破した実績があった。
「弾着まで3、2––––1。今ッ」
地竜からすれば、静かな本拠地でいきなり大爆発が起きたも同然だった。
発射されたミサイルは、キッチリと地竜の巣2つを直撃。
たった1発ずつで大きな損害を与えた。
「地竜の動きはどうか?」
煙の上がる巣を見れば、中から大量の地竜が溢れ出てくる。
その数はゆうに50体を超えており、巣を守るために警戒を行っていた。
様子をCPに送ったヘリは、さらに追加でのミサイル発射を指示される。
––––バシュゥッ––––!!!
長い時間を掛けて飛翔したミサイルは、今度は集まっていた地竜の集団へ直撃。
爆発と共に、大量の結晶を撒き散らした。
「あの結晶、正体はなんなんですかね? 取れた分は駐屯地の倉庫に保管していますが……」
射撃手の言葉に、報告を終えた操縦者が答える。
「四条2曹が技研に送って2ヶ月経つ……、まだわからんよ」
「えっ、四条ってあのご令嬢の?」
「そうだよ、“氷の白雪姫”……この前食事に誘ったんだがアッサリ断られた。ガード固いぜ」
以前坂本が廊下で見た佐官は、どうやら彼だったらしい。
「へー……、あっ。地竜が再集結しています。やっぱり連中」
「あぁ、どう見ても塔を守っているな……。あの野生動物が逃げない理由なんてそれくらいだ」
4発のミサイル攻撃により、既に15体を超える地竜が絶命していた。
普通なら逃げてもおかしくないが、明らかに塔に執着している。
対空システムも無いダンジョン内ではもっと近づいても良かったが、今回の目的は殲滅ではない。
「CP、こちらアタッカー1。威力偵察終了、これより帰投する」
2機の攻撃ヘリは、貴重な情報を得たので撤収する。
反転し、駐屯地へ向かった。
結局、ヘリ部隊は1度もバレずに任務を完了したのだった。
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