表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
149/453

第149話・後塵を拝すつもりはありません

 

「どもどもっす〜、異世界人と新海3尉の勝負場所はここですかー?」


 ––––ユグドラシル駐屯地、グラウンド。


 椅子に座っていた四条、坂本、久里浜に陽気な声が掛けられた。

 振り向けば、長い黒髪に八重歯が特徴的な若い女性自衛官。

 最初に反応したのは四条だ。


「聖園3曹じゃないですか、アパッチの整備はもう終わったんです? っと言うかなんで模擬戦のこと知ってるんですか」


 聖園と呼ばれた女の子は、「大丈夫っすよー」と快活な笑みを見せた。


「久しぶりっすねエリカ。自分で見る場所は終わったし、先輩の許可も取りましたよ。模擬戦のことは噂話にめざといわたしの情報網からっす」


「全く貴女は……、教育隊の時からまるで変わってませんね。相変わらず子供っぽい」


「たっははー、昔と変わらず氷の白雪姫は手厳しいっすねー」


 座っていた坂本が、四条の方を向く。


「四条2曹の後輩ですか? なんつーか随分とガキっぽいですけど」


「後輩に見えますが同期です、でもお子様みたいなものなので好きに呼んであげて良いですよ。敬語も不要です」


 この聖園という自衛官は、先の雪原エリア偵察戦で航空支援を担当したアパッチのガンナーだ。

 四条とは兵庫県にある駐屯地の教育隊で一緒になり、仲良くなったとのこと。


 その際、色々あって四条には逆らえない関係となった。


「酷いなーエリカは、もう少し同期をリスペクトしてくれても良いんじゃない?」


「リスペクトできる部分、ありましたっけ?」


「探してください! そこは全力で探すのが誠意ってものでしょ!?」


「貴女に誠意とかちょっと……」


「ほんっっとエリカはぁ!」


 そう言いつつも、空いていたベンチのスペースに座る聖園。

 坂本は女子3人に挟まれる形となり、肩身を狭くした。


「で、アレが噂の異世界人と攻略組の精鋭っすか?」


 聖園が向けた視線の先で、透が準備運動をしていた。

 迷彩服の上着を脱いで、モスグリーンのシャツから出た腕が陽に照らされる。


「透は良い筋肉をしていますね」


「そうか? 一応自衛官だしな……こんくらい付けないと仕事できないんだ」


 普段彼は着痩せして見えるタイプだが、普通に細マッチョと呼ばれる部類の人間だ。

 高校時代は色んなスポーツもやっており、その身体能力は日本人でもトップレベル。


 ゴツゴツではないが、バランスの良い体型だった。


「なるほど、道理で強いわけです」


 相対するテオドールはと言うと、やはり体付きなどは13歳女子のそれ。

 腕も足も色白で細く、常識的に考えて透と戦えるはずも無いのだが……。


「なぁテオ、さっき魔法は無しって言ったけど……」


 腕を振った透が、笑みを見せた。


「せっかくの機会なんだし、『ショックカノン』以外の魔法なら何でも使って良いぞ」


「その言葉……二言はありませんね?」


「あぁ、俺は本気のお前が見たいんだ。掛かってこい––––全力でな」


 隙なく構えた透の正面、執行者テオドールはゆっくり目を閉じ……。


「透、わたしは貴方の眷属ですが……永遠に後塵を拝すつもりは一切ありません。だから––––」


 金色の瞳が開かれた瞬間、彼女から膨大な魔力が溢れ出た。

 覇気と一緒に放たれたそれは、暴風となって周囲へ吹き荒れる。

 小さな体躯からは、想像もできないエネルギーだった。


「全力で––––貴方を倒します、我がマスター」


 人間離れした速度で距離を詰めたテオドールが、本気のパンチを放ったことで試合は開始された。


149話を読んでくださりありがとうございます!


「少しでも続きが読みたい」

「面白かった!」


と思った方は感想(←1番見ててめっちゃ気にしてます)と、いいねでぜひ応援してください!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ガチで面白すぎです!何回も何回も1から読見直してます! それぐらい面白くワクワクでついつい読んじゃいますw 無理はなさらぬ様に、更新を待ってます☺️
[良い点] まあ透だから多少手加減しなくても大丈夫だからな…… 大丈夫ですよね? [気になる点] いかん、そのうちテオドールちゃんが「打撃系など花拳繍腿! 関節技こそ王者の技よ!!」(佐〇利奈)とか言…
[一言] テオちゃん!速さで競っても勝てない! 組み付け!締め上げろ! 透さんが合気と神髄を極めて、動作の起こりを押さえられるようになったら対人では無敗になりそう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ