3人目:竹内 ありさ
あの子たちの遺体と対面した日は今でもずっと覚えている。
顔を八つ裂きにされ、喉をつぶされ、違う生き物を見せられている気分だった。
遺族との対面にあたり何とか綺麗に修復してくれたのだろうが、
それすらも空しく大きな傷跡を彼女たちの身体に、僕の心に深く刻んだ。
交通事故、野生動物との遭遇、そんなどうしようもない理由ならば自分を納得させられたのかもしれない。
だけどこれは人間がやったんだ。今ものうのうと生きている人間がやったことなんだ。
なんで殺した人間が生きているんだ?なんで殺された人間が死ななくてはいけない?
人を殺した人間は同じく殺されなければならない。
みんな等しく地獄に墜ちるべきなんだ。
3人目は竹内 ありさという女。
殺された2人の母親でありながら、2人を見殺しにした人物だ。
2人が思春期を迎えた頃から、彼女たちのことはもう知りたくないと育児放棄し、
今は手あたり次第に気に入った男へ貢いでいる。
ふざけるな・・・あんたは母親である前に、女である前に、人間として失敗作だ。
失敗作は壊さないといけない、
壊して新しい成功品を作らないといけない。
深夜、人気のない公園へ奴を呼び出した。
細かい理由は省くが「金をやる」と伝えただけでほいほい釣られてきた。
もはや人間としての欠片すらない。
「こんな夜分遅くにすみません・・・」
「そういうのいいから、お金はどこにあるの?早く帰りたいんだけど・・・」
「現ナマで持ってきているので・・・そこのベンチの下に置きました」
「ッチ・・・面倒かけさせやがって・・・」
文句を垂れながらベンチに向かう竹内。
その背後をロープを両手で張りながら近づく。
カサ・・・
竹内がベンチの下から紙袋を取り出し、屈んで中身を確認する。
そこからすべきことはただ1つだった・・・。
ギーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーュ
「!?」
手に持っていたロープを奴の首に回し、力の限り締め上げる。
首が千切れようが構わない。
動かなくなるまで締め上げるだけだ。
「カ・・・ナニシテ・・・カ・・・ヤメ・・・カ・・・」
ギチギチと音を立て首に食い込むロープ、
身体の反射的反応からか目や鼻から液体が駄々洩れているのが後ろからでも確認できた。
何分経っただろうか、抵抗していたそれは人形のようにダラリと垂れ下がり
ロープによって辛うじて立たされている状態だった。
そのロープを引いて身体を引きずりながら太い木の枝にかける。
ようやく顔を正面から拝めた時は、飛び出さんばかりにひん剥かれた目玉と口から止めどなくあふれる泡、
目や鼻から液体を垂れ流したままのおぞましい形相に仕上がっていた。
あの子たちが死んだときは涙を流さなかったんだ。
今度はあんたが涙を流しながら死ね。
「残り13人・・・」
たとえ死んだ後でもあんたはあの子たちに会わせない。
死んでも許さない。