1人目:志戸 穣
これから描く物語はそう遠くない未来、自分が辿るシナリオに過ぎない・・・。
大切な人を2人殺された。
薄汚い大人たちの手によって汚された。
許さない。絶対に許さない。
1人残らず始末して、僕と共に地獄に堕ちてもらう。
1人目は志戸 穣という男。
大切な2人の殺害を企てた張本人である。
自ら手を汚さず、部下に指示を下すだけのずる賢い人間だ。
「ふざけるな!感謝はされても、こんなことをされる謂れはないぞ!」
目の前の男は自身の行為を正当化するように吐き捨てた。
言葉とは裏腹にその外見は60間近の中年的な見た目で、
白髪交じりの頭に度の強い眼鏡、
そんな見た目と語気を荒げる様に憐れみを感じてしまうくらいだ。
実際にこの人気のない駐車場へ連れてくることも造作なかった。
20代と50代、親子ほど離れている歳の差では力の差も歴然だった。
会社のビルから出てきた仕事終わりの奴を背後に回る。
左手で奴の右手首を掴み、背中に回して自由を奪う。
抵抗する隙を与えずに右手の布で口をふさぎ、近くに停めてあるレンタカーに押し込み、ここまで来たのだ。
ふざけるな?感謝される?
誰がどの口をほざいていやがる。
誰が殺せと言った、誰が汚せと言った、誰が他人から大切な人を奪えと言った。
半ば感情を押し殺し、奴に問う。
「自分のやったことは間違いなかったと?」
「そうだ、わたしは何も間違ってない!」
・・・良かった、これで心置きなく・・・。
ドッ!!!
「いっああああああああああ・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!」
躊躇なく右手に持っていた15cm以上あるアイスピックを奴の眼球に突き立てた。
耐え難い激痛に間髪入れず叫ぶ志戸だが、先ほどまで咥えさせていた布を再度押し込むことで奴は悲鳴を上げることすら不自由となっていた。
眼鏡をかけていたようだが知ったことではない。
わずかな隙間から差し込んだアイスピックを引き抜くと、
あふれ出る血液が奴の顔を、衣服を、床を濡らした。
奴はぎゅっと目をつむり、血を止めようとするも全くの無意味である。
無言で「殺すこと」を続ける。
今度は反対の目を潰す。
「んん!!んんん!!!」
恐怖心を押し殺し、必死に瞼を閉じて抵抗する志戸だが、
その瞼がただの肉である以上抵抗がないにも等しい。
もう一度勢いをつけてアイスピックを突き立て、志戸の眼球を瞼ごと貫いた。
「んんんんんんんんんんんんんんん!!!!!!!」
激痛に悶え、上げたい悲鳴さえ上げられず、壊れていく様はただただ滑稽だった。
刺したアイスピックはすぐに抜かず、眼球を貫いたままぐりぐりとかき乱した。
動かすたびに悶える志戸、これ以上されまいと縛られた身体をよじるが
それは今の状況だと結果的に痛みを促すようで、結局、奴は痛みと憎らしさに歯を食いしばるしか術がなかった。
幼いころを思い出す。
夕飯に出された焼き魚の目玉を箸でほじくり返して遊び、親に怒られた日を。
でも今は大人だ。親はいない。それにこれは人の目玉だ。だれも怒る人がいない。
そんなノスタルジックなことを感じながら10分ほど堪能した目玉ほじくり遊びをやめ、
そろそろ殺すことにした。
レンタカーに積んでおいた大型の両口ハンマーを肩にかけながら持ってきた。
「んふ・・・・んふ・・・んふーーー・・・」
志戸はただただ痛みに耐えている様子だった。
このまま生かしておけば、きっとそっちの方が地獄なのだろう。
一生目が見えないまま生きていかなければならないのだから。
だけど殺す。
あの子たちを殺した人間を1人残らず生かしてはいけない。
そして最期は自分自身も・・・。
ゴッ!!
「んん!!!」
天に高々と掲げた一撃は志戸の脳天をとらえ、数滴の血を飛ばした。
それからやることは単調だった。両手に持ったハンマーを振り上げては打ち付ける。
次第に志戸の頭は形をなくし、血、肉、骨、頭髪が散乱したただの塊となっていた。
案の定、すでにそこに志戸 穣という人間はいなくなっていた。
金属音や鈍い音が響いていた場とは一転、静まり返る駐車場。
ことを終えた後、志戸 穣だったソレを見てあらためて復讐がはじまったのだと実感する。
「残り15人・・・」