春が語るとき
掲載日:2021/02/20
春が語るとき
水仙の尖ったまっさらな緑色が
湿った土の中から突き出ると
灰色の空が急に柔らかく見えてくる
ぴりぴりと肌を刺す空気の中に
微かに香るような気がする暖かな吐息
そんな朝に私も目を覚ます
サクサクと霜柱が足の下で!
長く、とても長く続いた冬が
崩れて行く やっと地上にたどり着いた
若芽が爽やかな緑を破裂させる
喜びは一粒の光が森深く茂っている隙間から
朝露のように光る
大地が堅く心を閉ざしている時
街人が冬支度で身を守っている時
期待と喜びで紡がれた大気が
素知らぬふりをして肩にそっと触れて行く




