表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
After the Bullying  作者: Saki Tachimazaki
第2章
5/13

Act 2

 先ほどにもまして外は闇に呑まれていた。おばあちゃんが杖を取り出し空へ掲げると、その真上に小さな光る球体が浮かんだ。

「魔法族なんですか?」

「まぁ、一応ね。それと敬語は無用だよ。」

 そのまま夜道を歩いて行った。やはりというべきか人通りは全くなく、虫の音も聞こえない。葉が微かに揺れるだけで、本当に何もない。

「——ねぇ、どうしてここで生活を?」

 無言に耐えられなくなり、聞いてみた。

「どうしてかい。そうだねぇ、神隠しみたいなもんさね。」

 おばあちゃんは笑い飛ばした。

「山に魅入られて、そこからいつしか抜けられなくなってねぇ。」

 おばあちゃんは初めて弱気になった。

「そういえば、名前はなんていうの?」

「そういう時、まずは自分から名乗るもんだろうに。まぁいい、私はフルール。で、アンタは?」

「ぺラン。」

 ——フルールか。彼女らしい。

「ちょっと、何笑ってるんだい?」

 怒られてしまった。


 しばらく歩いたところに、小さい石造の門が現れた。

「はぁ、ようやく着いた。まずは長に挨拶しなきゃダメなんだね。」

 門のある部分に触れると、門の色が変化した。

「さ、くぐればすぐだよ。」

 背中を強く押され、倒れ込むように門を潜った。すると人間族でもわかるくらい空気が一変して、吹いていた風も急に止んだ。

「ほぉ、この子かい。面白いねぇ。」

 声がして前を向くと、上品な着物姿の九尾族が佇んでいた。

「オノリーヌだ。話は聞いた。何はともかく、ここで生活することを許そう。」

「あの! その、学校とかがあるので——。」

 オノリーヌの目が光った。

「気にするな、手は打った。」

 なぜだろう。彼の目に若干の恐怖を覚える。足を取られているような、縄が体に巻きついているというような、なんとも言えない感覚だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ