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Act 1
今日もまた変わらない日々が始まった。
「学級トップは……ウェルディ! おめでとう!」
先生がそう言い、クラスみんなが拍手を送った。黒板には485点の文字がある。
また省かれた。全教科満点を取っているのに、485点より低いはずがない。だがもはや無駄だ。毎回こうで、声をあげればカンニングと疑われ0点とされた。
これが弱者の定めか。
放課後、帰り道を歩いていると急に汚水が降りかかってきた。
「あぁ悪い! ゴミと見間違えたよ!」
ウェルディだった。制服はびちゃびちゃで、カバンも水浸し。珍しく白いままだったワイシャツも茶色に染まってしまった。
——もう諦めるか。
またいつも通りの道に戻り、駅で冷ややかな目線を刺されながら電車に乗った。
視線が冷たい、いや痛い。ひそひそと笑い声がしたり、シャッター音も聞こえる。丸めた紙屑が飛んできたり、吸い殻を飛ばしてくるものもいる。
全てが嫌になった。でもどうすることもできない。どこかの王のように助けてくれる人なんていないし、慰めてくれる人もいない。
頭の中で悶々と考えていると、ふっと意識が飛んだ。