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小屋を出ると、フルールが待っていてくれた。
「元気におしよ。私は気が向いた時にしかこないからね。」
そう言ってきた道を戻っていき、ついには姿が見えなくなった。
「ありがとう!!!」
言い忘れていたお礼を、届くかわからない暗闇に叫んだ。
「そうだ言い忘れていたよ。一度門まで戻って、もう一回潜るといい。シルヴァルが待っているはずだ。」
長は裏道を指さした跡、飛び去ってしまった。
指された裏道を通っていくと、さっきまでが嘘のようにすぐに門までたどり着いた。
初めてきた時はわからなかったが、門の右側に赤いマークが付いている。フルールがやっていたように手をかざすと、門の色が変化した。
ドキドキしながら門を潜ると、そこには色鮮やかな葉に包まれた集落があった。あの時とは違う、とても色鮮やかで幸せに満ちた集落が。
人々は笑い合い宴会をしていた。奥にはわかりやすくソワソワしたシルヴァルが見えた。
「シルヴァル! お待たせ!!」
そう叫ぶと一斉に僕の方に振り向き、同時にシルヴァルは僕に飛びついてきた。
「——山に入ったんだね。」
シルヴァルが残念そうにいった。
「ねぇシルヴァル。こっち見て。」
こちらを向かせると顔を捕まえて無理やりキスをした。当然驚いているようで、目を見開いたまま黙ってしまった。
「え? キスが挨拶なんでしょ?」
笑いながら道化を演じてみた。すると周囲が一斉に笑い出し、僕を拍手で迎えてくれた。




