表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔界は今日も青空だ!  作者: 陶山松風
第一章 転生魔王(仮)の異世界奮闘記
8/499

第二話 魔界の生活は今日も大変だ!②

今まで騒がしかったギルドが、水を打ったように静まりかえった。

昼から酒を飲んでいた冒険者達、慌ただしくギルド内を走り回っていたギルドの職員達、その全員が視線を俺に向けている。

普通、こういう状況はステータスがメッチャ高かったというのが一般的だ。

しかし今の俺の状況は、それとは真逆だった。


「……ひ、低いって……何が……?」


これは何かの間違いのはずだと心の中で願いながら、俺は震える声で三人に訊いた。

するとリムが顔を上げ、俺にギルドカードを見せながら。


「リョ、リョータさんのステータスがすっごく低いんです……! 筋力、耐久力、魔力、俊敏性、この戦闘において最も重要とされる四つのステータスが平均以下なんです……!」

「は……は……」


リムのその言葉に、俺は身体を小刻みに震わせる。


「し、しかも……普通なら初期の段階で数十ポイントあるはずのスキルポイントが……た、たったの8ポイントだと……!?」

「は、はあああああああああああああああああああああああああああ!?」」


レオンの言葉に、俺は大絶叫した。


「おかしい、こんなのおかしい! え? 何!? 普通こういうのってカンストしてたりするもんじゃないの!? 俺TUEEEじゃないの!? それであっさり伝説急のモンスター倒して、『え? 俺何かやっちゃいました?』とかいうもんじゃないの!?」

「言ってる意味が全く分からないんですが!? だ、だけど、リョータさんは仮にも魔王に選ばれたはずです。カンストは流石にないですけど、普通ならもっと高い……はず……ですが……」


リムの声が小さくなっていくにつれ、俺の絶望感はドンドン増していく。


「し、しかしリョータよ。貴様の器用度と知力はなかなかのものだぞ。まあ、あまり戦闘においては必要がないが……」

「だったら言うなよ! 余計悲しくなるじゃんかぁ!」


レオンの言葉を受け、俺がギルドの床をバンバン叩いていると、


「ああでも……!」


突然今まで静かだったカミラさんが思い出したように言った。


「ユニークスキルがあるかもしれないですよ?」

「ユニークスキル……?」


ユニークスキルって確か、生まれながらに持つ固有のスキル……だったっけ?

俺がカミラさんに訊き返すと、リムがなるほどと言いながらポンと手を置く。


「そうですよ! ステータスは低いけど、ユニークスキルが凄い能力の人だって少なからず居ますよ! ハイデルさんやレオンさんもその一人ですし!」

「ううむ、ここは素直に喜んでいいのか分からんな……」


レオンが複雑な顔で悩む中、俺はパアっと表情を明るくした。


「それだああああああ! そうだよ、ラノベでもユニークスキルがメッチャ強い主人公だって多いし!」

「ええっと、リョータさんのユニークスキルは……」


リムはそう言いながら再び俺のギルドカードに目を移し、そして、


「……………………」


固まった。


「お、おい、リム……?」


俺はリムの反応に、俺は引きつった笑みを浮かべる。

嘘だろ……嘘だと言ってくれ……。

もしそうなら、俺の異世界チートライフは完全に終了してしまう……!

そんな俺の願いを裏切るように、リムは一言。


「……ないです」

「くそったれえええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」


俺の絶叫が、魔界の空にこだました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ