第四一話 言質は今日も絶対だ!① (質問返答、小ネタあり)
この世界に転生してから、二回目の梅雨が明けた。
まだ地面に染み込んだままの大量の雨水が、真っ青な空を我が物顔で照りつけている太陽に熱され、蒸発している。
その為街中が蒸されているように暑くなり、何処か土臭い、例えるとザリガニのような臭いが辺りに漂う。
決して心地良い環境でも臭いでもない。だが、この臭いを嗅ぐと、どんな世界であったとしても思うのだ。
ああ、夏が来た、と。
さて、一週間という短い学園生活を終えてから一ヶ月ほど。
フィビアン学園長先生の協力の下、バルファスト魔王国学校建設計画が進行しているのだが、想定以上に早い段階に進んでいる。
授業、学科の種類等のシステム面の方針は着々と整っており、俺が教師としてスカウトしたテレシアとマシュア、あとはバイスが来るまでには準備は完了しているだろう。
ちなみにフィビアン学園長経由で聞いた話なのだが、なんとバイス、この前学園長先生の家に行き、フィーネと結婚を前提としたお付き合いをしたいと挨拶したらしいのだ。
ハッキリ言おう。キュンキュン度がマックスになって溢れ出てしまった。
いやだってさ? あの捻くれた性格してたアイツが、結婚させて下さいって親に頭下げて挨拶したんだぜ?
男として、これ以上尊敬に値する行動はない。
学園長先生は、バイスが身を挺してフィーネを助け出してくれた事を知っており『彼なら娘を大切にしてくれるだろう』とこれを了承。
しかしここで非情な問題が一つ。身分差である。
バイスの家はまだ底辺に堕ちてしまったままだ。このままでは、本人達が良くても周囲の反感を買う。
だからバイスはあの時、俺のスカウトを断ったのだろう。自分の家を立て直すために。
だがまあ、心配はしていない。
だってあのバイスだぜ? 学園卒業するまでに、実家の一つくらい立て直すなんて造作も無い事だろう。
まあ、お互い忙しいだろし殆ど会えないだろうが、都合があれば会いに行こうと思う。
そして、バイスに負けてらんないなと、俺は今日も今日とてギルドのクエストを熟していたのだが……。
「オイ、ヒューズ……大丈夫か?」
「ぜえ……ぜえ……あづい、死ぬ……!」
帰り際、友達の冒険者、ワーウルフのヒューズの看病をしてやっていた。
コイツは所謂狼男。全身フサフサの毛に覆われている為暑さに弱く、現在このようにバテてしまっているのだ。
冒険者ギルドの外、日陰になっている場所に大の字で寝転がっている光景は、端からみれば相当ヤバい奴であろう。
ちなみに同じパーティーメンバーのエマとクラインはギルド受付に向かった。そもそもギルドの中は、風通しが悪く外よりも暑かったりするのだ。
「ホレ、取りあえず飲め」
「ありがとよ……」
すぐ側にあった露店で冷たい甘露水を三つ購入しヒューズに与える。
「ホラよ、レオン」
「うむ」
そして、今回レベル上げの為クエストに同行していたレオンにも手渡した。
普段は黒いマントに真紅のベストを着ているコイツだが、今は薄手の半袖シャツ一枚というクールビズスタイルだ。
ちなみに現在俺も、トレードマークとして腰にパーカーを巻いているが、ラフな黒シャツ一枚だ。
「んぐ……はあぁぁ! 本当に、夏場に飲む冷たいジュースほど勝る飲み物は無いな」
「クエストでだいぶ身体も動かしたからな。血液よりも、コチラの方が断然美味い」
「ヴァンパイア族のアイデンティティ全否定みたいな事言うなお前……」
「貴様は夏場、人肌と同じ温度の液体を飲みたいと思うか?」
「うーんこれ以上無い説得力」
「そもそも、血液を取り込むことによって回復出来るという体質であって、全員が全員血液が大好物という訳ではないぞ? まあ、ヴァンパイア族だからか他種族と比べ、味に対しての嫌悪感や不快感はないがな。我も基本は好物だ」
「ほーん……あの時のフィアの血って美味しかった? ホラ、俺がヨハンの屋敷放火した時」
「貴様という奴は……まあ、美味ではあった。聖職者の体質故か後々具合が悪くなったがな。例えるなら、酒好きがアルコール度数100%の酒を飲んだようなものか」
「フィアの血液は消毒液」
可哀想なフィア。もう状況が緊迫しない限り、レオンに血を吸わせて貰えないのか。
アイツ前に、レオンに血を吸われるのがちょっと気持ち良いなんてヤバイ発言してたのにな。
やっぱり聖職者のせいは性欲のせいなのではないだろうか……コレ言ったらぶっ殺されるだろうし、これ以上考えるのは止そう。
「おーい、もっと俺を気に掛けろよ……今死にかけなんだよ……」
「じゃあ会話に入って来いよ」
「そんな気力ねえ……」
「暑いのならば毛を剃ればいいだろう。正直、見ているこっちが暑くなって敵わん」
「これでも限界まで短くしてるんだよ……それにお前ら、全身異様に白い肌色の人型犬を見たいと思うか……? 昔一回だけやっちまった事があったが、一時期良い笑いものにされたんだよ……」
「……頑張るのだぞ」
「でもちょっと見てみたい気もする」
「この野郎……」
まるで夏に、下校中友達と一緒にコンビニに寄り道して駐車場で駄弁っているような光景だ。
そんな経験無かったが、今凄く青春してる気がする。学園生活この前終わったばかりだけど。
と、その時。急に目の前がカッと明るくなった。
「うおおぉ……影が無くなっちまったぁ……! 太陽、動くんじゃねえぇ……!」
「無茶振り過ぎんだろ、そうなったら世界終わるわ」
「貴様が太陽にまで行って動きを止めてこい」
「それこそ無茶振り過ぎんだろ……!」
「……この世界って天動説が一般なのね」
「何?」
「実は太陽がこの星の周囲を廻ってるんじゃなくて、この星が太陽の周囲をグルグル廻ってるんだよ」
「「……はぁ?」」
「や、もういいや。ファンタジーにガチガチの科学は野暮だもんな。もしかしたら本当に天動説の方が正しい世界かもしれないし」
「コイツ、俺よりも暑さで頭やられてねえか……?」
「常時暑さで頭がやられてるような男だからな、判断が難しい」
「ハハハー、この空き瓶で金玉フルスイングするぞテメエらー……いやそれにしても暑いな? 移動する?」
「かといってギルドの中の方が蒸し暑いからな……それに此奴が動けそうもない。ううむ……ならこれでどうだ?」
そう言ってレオンが人差し指をクイクイと上に動かした途端、俺達の影がニュッと具現化し、そのまま日傘のように上空を覆った。
「ええー……格好良過ぎぃ」
「フンッ、だろう? 名付けて《シャドウ・アンブレラ》だ。我らヴァンパイア族は日差しが強いと更に力が抜けるからな。故に日傘が必要になることが多いが、これなら持ち歩かなくても済む。何より強者感が出て良い」
「本当に強者感が出てて悔しいんだけど。いーなー」
「ただ、魔力消費が激しい。精々差せて三十分だ」
「格好付けるために魔力無駄遣いするその姿勢、嫌いじゃないぜ」
「お前らホント仲良いな……」
しかしコイツ、本当に見事なまでに影を操れるようになったよな……。
この前本人が言っていたのだが、エクストラスキルに覚醒した際、自分のユニークスキルの真髄を掴み取ったような感覚があり、何となく覚えているその感覚を意識すると、上手く影を操れるのだとか。
正しく、エクストラスキルに覚醒した特典と呼べる現象だ。
俺の黒雷はエクストラスキルになるかどうかまだ分からないが……なれたらいいなと軽い気持ちで思ってる。
そもそもだが、俺の黒雷は元々の汎用性が高い。
形状変形や電流、電圧操作の習得にかなりの時間と労力を費やし、やっとこさ弓の形にしたり鞭状にしたり出来るようになったものの、それでも修行で何とかなる以上元のスペックが高いのだろう。
だから恐らく、エクストラスキルへの覚醒は無い。なので軽い気持ちで期待しているのだ。
しかし、現状に満足はしていない。
まだ、アダマス教団という脅威や、その協力者にチート持ちの同郷人がいるかもしれないという重すぎる不安要素が残っている。
ならばどうするか。答えは至ってシンプル。ユニークスキルのまま更なるレベルへと叩き上げるしかないのだ。
「ハア……」
「どうした、ため息など吐いて」
「いやさ? 俺もユニークスキル成長させようって頑張ってるんだけどさ。中々どうして上手く行かなくてね。それを思い出した」
「ほう」
「黒雷でこういう事がしたい! って、明確なイメージはあるんだよ。ただ、純粋に俺の魔力量と技量不足で行き詰まってて……」
「その二つに関しては、レベルを上げるなどして地道に積み上げていくしかなかろう。しかし貴様、今回のクエストで遂にレベル50の大台に乗ったのだろう? それで尚難しいとは、一体貴様は何を望んでいる?」
「それがよ~」
と、俺が肩を落としながらレオンの語ろうとした時だった。
「あ、お兄ちゃーん、レオンさーん!」
「この声は、愛しのマイシスター!」
聞き馴染みのある声に、俺は表情を輝かせてその声の方角に振り向き……真顔になった。
「やーやー、二人とも。今日は暑いねぇ」
「去ねいッ!」
「酷いッ!? 客人に対して何て事言うんだ君は!」
と、俺が開口一番に怒鳴った相手はジータ。
何故ここに来ているのか分からない上に、自分から見てもドン引きするレベルでリムにベタベタしながらやって来たからである。
ちなみに今のジータの普段のローブではなく、随分ラフな格好をしている。トンガリ帽子はそのままだ。
正直ちゃんと健康的で可愛らしいのが腹立つ。
リムも涼しそうな白基調のワンピースを着ており、コチラに関してはもう可愛さ殿堂入りである。
「客人として扱われたかったら事前連絡を怠るな!」
「リムちゃんには通信魔法で連絡したよ!」
「俺にして来いよ!」
「というかジータさん! いい加減に離して下さい! すっごく暑いんです!」
「そんなぁ! リムちゃん、髪色や瞳が涼しい雰囲気だから、一緒に居ると暑さが和らぐんだけどなー」
「止めてやらんか……逆に赤毛の貴様の方は暑そうではないか」
「見た目、完全に氷属性と火属性に別れてるもんな」
逆にソレが一つの組み合わせとして成立しているようにも思えるが、俺は脳内でその考えを全力否定する。
「で、何の用だよ? わざわざリムと一緒に来たって事は、俺の居場所訊いてそのままここに向かったんだろ? ってか他三人は?」
「相変わらず話が早くて助かるよ。他の皆はお留守番、今日はちょっと相談事があっただけさ」
「その相談事が今まで相談事で終わった事あったか? 嫌な予感しかしねえよ」
「大丈夫、今回は普通だって!」
「え~? 本当でござるか~?」
「うわ何か腹立つ。とにかく! 場所変えよう、場所! ここ太陽照りつけてて暑いんだよ」
全力で疑いに掛かって来ている俺を一蹴し、ジータはグイグイと俺を引っ張ろうとする。
が、俺達の足下で呻き声を上げるワーウルフが。
「オーイ、俺の存在を忘れんなー……! ……にしても、エマとクラインの奴遅えなぁ……」
「ふむ……どうも掲示板の前で次のクエストの相談をしているようだな」
「どいつもこいつも何なんだよ……!? 俺存在感ねえのか……!? リョータじゃあるまいし……」
「おう、止めてくれや。この前の学園生活で存在感の無さを嫌でも分からされたばかりなんだ」
「ハア……貴様はジータとリムと共に行ってこい。この犬ころは我が見ておく」
「犬ころ呼ばわりすんな! でも見捨てないでくれてありがとよ畜生!」
「サンキュー。じゃあエマとクラインにもよろしく言っといてくれ-」
それだけ言って、俺はレオンとヒューズと別れ、ジータとリムと共に移動する。
レオンのシャドウ・アンブレラが解除されて直射日光がモロに当たり、脳天をジリジリと焼いてくる。
帽子でも買おうかなぁ……なんて考えながら、俺はジータからリムを奪い取った。
「あっ! 何すんのさ!」
「今度は俺の番なの! 自称お姉ちゃんはあっちに行ってろ!」
「君だってそもそも血が繋がってないじゃん!」
「血が繋がってなくても絆は強いんですー!」
「……取りあえず二人とも、私から三歩ほど離れて下さい」
「「……はい」」
『そろそろキレますよ……?』と言わんばかりのリムの声音に、俺とジータは黙って従った。
質問Q&A 第一回目!
Q:『リーンやリョータたちは仮に他の異世界ものみたいに冒険者ランクをつけるとしたらD−からS+の範囲のどこですか?』
A:現時点での強さでお答えします。
補足1(冒険者としてのジョブが無くとも、ギルドに行って頼めば自分のレベルやステータスは見る事が出来ます。ただいちいち見に行くのが面倒臭いので、ギルドカードを作った方が手っ取り早いです。が、半年に一回そこそこの額の入会費を払わなくてはいけないので、どっちもどっちです)
補足2(ここではランクの強さの目安を、《D- 駆け出し冒険者レベル》~《S+ 世界全体で十本指に入る強さ。一人で国を滅ぼせる》と仮定していきます。基準として、対モンスター相手でランク付けしていきます)
・リョータ A-
最初の時点ではD+ぐらいでしたが、魔神眼の成長や黒雷の習得、何よりリーンとの地獄の修行のお陰で、今では世界規模から見ても上位層に食い込むほど強くなりました。魔法、剣術、体術の技量それぞれを平均以上に叩上げたバランス型です。また、リョータは興味8割でこの世界のモンスターの勉強をしているので、知識もかなり身についています。ただ本人は対モンスターよりも、嘘で騙せたり考えさせて自分の有利な方へと誘導させたり出来る、対人の方が得意分野です。とどのつまり、普通に素で強い奴が卑怯でセコイ手を常時狙ってくるという、主人公にあるまじき男です。ですが故に強いです。ちなみに、魔王の力が暴走した際にはS+になります。なってしまいます。
・リーン S-
言わずもがな、戦闘経験とフィジカルギフテッドの怪物です。剣術だけで言えば彼女がほぼ最強であり、アカツキが妖刀を使わず、リーンが何も背負わない状態で一騎打ちしたなら、勝機は7割ほどあります。実はリョータよりもモンスターの知識があり、修行の合間にリョータに色々教えてあげていたのも彼女です。また、リーンは冒険者のジョブが無いので剣術スキルや魔法は使えません。なのでS-です。ですが、そんな状態でSランクに居る以上、やっぱりリーンは怪物です。ちなみにリョータとは対照的に、対人よりも対モンスターの方が戦闘経験があり得意です。
・ハイデル B+
ちゃんと魔力の管理をしっかり行い、ポンコツをやらかさなければ普通に強いです。彼は忘れがちですが、作中で一番火力のある魔法を放てるアタッカーでもあります。更に最近の修行でヘルファイアの火力が更に増し、形状変化も少し出来るようになったので、恐らく世の中の炎系統のユニークスキル保持者の中では最強です。ですが、彼はまるで期待に応えるかのように必ず何かをやらかします。なので、個人としては弱くなってしまいますが、周囲の味方がサポートしてくれたなら、間違いなく世界上位層に食い込めます。
・ローズ D+
まず、ローズの洗脳魔法はモンスター相手には殆ど効果がありません。なので彼女本人の攻撃手段は漬物石ぐらいの重さの石を持ち上げて飛翔し、狙いを定めて脳天に落とすぐらいの事しか出来ませんが、空を飛べるだけだいぶ有利です。ですが彼女の恐ろしさは対人で発揮されます。まず、相手が何の対策もしていなければ初見殺しで全滅。気力や意思が強い相手でも、指先一つ触れたら負け確定です。そしてそのまま相手を操り、遠く離れた相手、または洗脳魔法に耐性がある相手にけしかけられます。対人だけで言えば、彼女は間違いなくSランクです。
・リム B-
恐らく魔法の才能で言ったら彼女が作中一番です。魔法の火力、練度、種類は申し分なく、前章でマシュアが『人間に見せかけて長寿な種族とかでしょー』とぼやいてたのも頷けてしまう程、卓越したセンスを持っています。下手をすれば齢11でフォルガント王国の宮廷魔術師団の副団長になれてしまう程です。しかしどれだけ才能を持っていたとしても、子供は子供。戦闘経験は浅く、怖い目に遭ってしまうと余程後に引けない状況でなかったらビビってしまいます。ですが、これから年齢と共に成長していけば、ジータを超える魔法使いになり、ランクはSに入るかもしれません。
・レオン C+またはS-
序盤では、昼のレオンはD+程度の強さしかありませんでしたが、エクストラスキルに覚醒した影響で遠隔操作を太陽の下でも多少なら行えるようになりました。ですが本人を狙えば基本ワンパンで沈みます。夜の場合モンスター相手だと基本屋外での戦闘なのでユニークスキルは使えません(松明や魔法の光があれば別ですが)。本人は強くなっても、精々C+程度です。ですがエクストラスキルを使えるようになれば、昼でもAランクレベルの実力を発揮でき、リョータ以上のポテンシャルを秘めていたりします。そして《エクストラスキル使用可能+夜でも光源があって周囲に影が浮き出ている状況》だったら、S-レベルにまで覚醒します。彼は非常に極端であり、状況によって魔王軍四天王最弱になったり、最強になったりするのです。
・レイナ S+
言わずと知れた世界最強。彼女が本気の本気で剣を振るえば何十メートルもある巨大モンスターを一刀両断出来ますし、魔法の威力もジータには敵いませんが凄まじいです。RPGゲームの勇者のように何でも熟せるバランス型で、完全にリョータの上位互換に座しています。普段から勇者として強力なモンスターを倒して周っているので、作中で一番レベルが高いです。ですが対人は苦手で、周囲に被害を出さないようにする為、基本力を抑え込んで闘っています。今までの物語の中で、中々圧倒的な活躍の場を見せられず過小評価されがちですが……それは作者の力量不足です、はい。
・ジータ A+
フォルガント王国宮廷魔術師団で、歴史上最強とまで謳われる才能の塊。魔法を始めとした、様々な知識も王立学園の教授レベルに有しています。周囲の人間からは尊敬の眼差しと共に『歩く天変地異』『人の形をした自然災害』などと畏怖の念も向けられています。そして、そのあだ名は強ち間違いではありません。普段から自分の才能を、ぺったんこな胸を張って自慢していますが、幼少期から過酷な修行を積んできた上積み人間であり、その手には杖をずっと握り締め続けた痕跡が確かにあります。
エルゼ A+
フォルガント王国最強の冒険者であり、純粋なパワーだけで言えばリーンやレイナも凌ぎます。自分の背丈ほどもある、自分の体重よりもあるであろう大剣を手足のように振り回し、相手を斬るどころか地面ごと叩き潰し、彼女が暴れた後はスプラッタな光景になってしまいます。基本大剣がメイン武器ですが、実は彼女はレイピアや槍、弓など武器だったら一通り何でも使える技巧派でもあります。ですが可愛い系のモンスター相手だと若干攻撃の手が緩んでしまう事が多々あります。ちなみに作中では書かれていませんが、武器コレクターのレオンとはそこそこ話が合います。
フィア A+
本人はそこまで重度にアルテナ神を崇めている訳ではないのに、聖職者の適性がズバ抜けて高いフィア。普通回復魔法は、切傷や打撲程度を治せるのが一般的ですが、彼女の場合折れた骨や潰れた内臓まで治す事が可能で、死んでなかったら基本助けることが出来る常識外れです。また攻撃、防御も一通り行えるので全冒険者パーティーが彼女を欲しています。常時神聖な魔力を纏っているので、想い人であるレオンに触れようとすると、ジリジリと彼の生命力を削ってしまいます。なので現在、その魔力を抑える努力をしているのですが、返ってソレが修行になってしまっています。
《準レギュラーメンバー》
・カイン B+
全ての生物は魔力を宿しているので、触れただけで魔力を打ち消し戦闘不能に出来ます。魔法攻撃も無力化出来ます。彼を倒すには純粋な物理攻撃しか術はありませんが、最近リーンの元軽い修行を始めたので、もしかしたら彼がバルファスト魔王国最強になるかもしれません。
・ミドリ S-
彼女のユニークスキル《道連れ》はモンスター相手にも効果があります。なのでやろうと思えば人でもモンスターでも何千、何万人も文字通り道連れにする事が出来ます。でも、そんな事はバルファストの面々が絶対にさせませんし、彼女の夫(カイン君)がいるので大丈夫です。
・サラ A-
冒険者を引退しポーション屋を営んでいる現在でも、バルファスト魔王国最強の魔法使いは彼女です。夫を馬鹿にするなどしてブチ切れさせた場合、相手だけでなくバルファスト魔王国が滅びかねませんが、カイン君がいるので多分大丈夫です。多分。
・リグル A+
バルファスト魔王国ステゴロ最強です。対戦相手が同様に武器無しのステゴロオンリーな状況ならば、相手がリーンだとしても勝てます。冒険者を引退した現在でも世界中を旅しており、その際モンスターを何度も狩っているのでレベルも相当高いです。筋骨隆々な見た目に反し博識です。
・フォルガント王 A+
才能の塊が周囲に大勢居る中で、彼は特別な力なんて何もなく、ただ純粋に鍛えて経験値を積んで強くなった凡才です。先代勇者である奥さんと旅をする中で、自分も彼女を守れるようになるんだと決意し成長します。実はレイナがまだ幼い頃、王様の仕事の傍ら代理勇者として国内の強力なモンスターを狩っていました。
・アルベルト B+
ナルシストではありますが、やはり騎士団長。ユニークスキルも相まって国内でも上位層に強いです。騎士道に反するとは思いながらも、やむを得ない状況なら透明化で次々に相手の背後を刺します。当初リョータに負けたのが悔しくて一から自分を叩き上げ、先代騎士団長である亡き父に追いつきつつあります。
今回は以上です。また機会があれば続きを書こうと思います。ご質問を下さった方、本当にありがとうございました。




