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魔界は今日も青空だ!  作者: 陶山松風
第九章 ワンウィーク・スクールデイズ
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第四十話 推理は今日も切願だ!⑤

……これは僕の、なんとも情けない話だ。

そう、確か丁度中等部の入学式の日だった。僕は入学試験で首位の成績を取り、入学生代表として挨拶をする事になっていた。

中等部と言えどフォルガント王国、いや大陸全土でもトップクラスの学園だ。その首席を取ったことに対し、僕は自信に満ちていた。

そして、いざ壇上に上がり代表挨拶をする中、僕は気付いた。

僕の父さんが、保護者席に居なかったんだ。

当時、僕の父さんは教材などの製作を担う、この国の教育方面に関しての重鎮的存在だった。

だから貴族のパーティーに呼ばれた際、いつも誰かしらに声を掛けられていた。それに対し謙虚な振る舞いをする。そんな人だった。

多忙な身という訳ではなかったが、貴族というものはいつ急用が入ってもおかしくない。

息子の晴れ舞台を見させられないのは残念だと思いながらも、僕はスピーチを終わらせた。


入学式が終わり僕は帰路に着いた。あの頃は僕も馬車を使って移動していた。

入学式の際胸に付けていた薔薇のブローチを意味も無く手に持ち眺めていると、ふと何やら外が騒がしい事に気付いた。

そして同時に、御者が馬車を急停止した。何事だと僕は御者台に声を掛けるも返事が無い。

仕方が無く馬車を降りて御者の顔を見てみると、呆けたように一点を見つめていた。

僕もその視線をなぞるように、正面を見据え……同じように固まり、手に持っていたブローチを取り落とした。


僕の屋敷の周囲を囲うかのように、ズラリと兵士が並んでいたのだ。

塀の鉄格子から見える屋敷の庭は踏み荒らされ、父さんが研究のために丹精込めて育てていた薬草や珍しい花が花壇から引っこ抜かれていた。

屋敷に我が物顔で往来する何人かの見知らぬ貴族連中も見えた。後で調べてみると、この国の貴族の不正を取り締まる役職の者だった。

そして……僕の父さんが拘束され、馬車に無理矢理乗せられそうになっていた。


我に戻った僕は、一目散に父さんの元へと駆け寄った。

しかし兵士に取り押さえられ、身動きが取れなくなった。仮にも貴族に対してとは思えない程乱暴だったもので、情けない事に右肩が外れてしまった。

僕の声を聞いた父さんが、馬車に押し込まれる直前僕を見た。その顔を今でも忘れられない。

僕に対しての申し訳なさ、何故こんな事になっているのかという戸惑い。

そして、ここには居ない誰かに対しての怒りに満ちていた。


そのまま父諸共僕は連行された。

そして僕はそこで、初めて聞かされたのだ。父が、この国で禁制品とされている植物を所持していたのだと。

その植物というのは北西部に自生するものであり、食虫植物の一種。捕食の際幻覚作用のある粉末を作りだし、混乱した獲物を捕らえる。

その粉末が人間にとってはこれ以上無い程の快楽をもたらし依存させる。だが同時に脳や身体を蝕む毒でもある。

そう、所謂麻薬だ。父さんは麻薬を所持していたのだ。

だが僕の父さんは、研究材料を集めていたとしても、決して禁制品には手を出さない人だった。麻薬なんて尚更だ。

しかし父さんの書斎に、その植物が植木鉢に植えられ置かれていたという。


僕は必死に無実を訴えた。父さんがそんな事をする筈が無い、きっと何かの誤解だ。再調査を求むと、何度も何度も。

だが最終的にジーニア家は有罪となり、貴族階級の最下層へと落とされた。

貴族の爵位そのものを剥奪されなかったのは、今まで培ってきたジーニア家の貢献度によるものだ。しかしその代々培ってきたもの全てを、あの日失った。

そしてその日以来、父は壊れてしまった。自室に引き籠もり、発作が起きたように暴れ狂う。優しい輝きに満ちていた瞳は泥沼のように淀み、髪の毛が抜け落ち続けた。もうあの頃の父さんは、戻っては来ないのだ。


納得が出来ない僕は、自ら調査を始めた。研究道具も地位も全て失い、何も無い状態で、死に物狂いに。そして事実に辿り着いた。

あの問題となった禁制品とされている植物は、離婚し家を出て行った母さんから送られて来たものだったのだ。そしてその情報を敢えて、あの貴族連中に流した。

母さんはとてもじゃないが褒められた人物ではなかった。自分の私利私欲を優先し、些細なことでも永遠と根に持つような、ハッキリ言って嫌な女だった。

元々半ば強制的に両親は結婚させられた。だから元々反りが合わなかったのだ。

そして僕が小さかった頃に離婚した。その際父さんの元に居ることを選んだ僕諸共、母さんは去り際に言った。


『いつか必ず、お前らを殺してやる』


そんな捨て台詞を吐き、母さんは出て行った。そして僕はこんな三下のような捨て台詞を、微塵も気にしてはいなかった。

だが事実、僕達は殺されてしまったのだ。母の手で、社会的に。

父さんは母さんの事を愛していた訳じゃないが、それでもいつも想っていた。だから母さんからプレゼントとして貰ったあの花を、捨てるに捨てられなかったのだろう。

この事実をあの貴族達に話したところで、まともに取り合ってはくれなかった。


そして僕は、学園で虐められるようになった。

それもそうだろう。入学式に代表挨拶した奴が、その日に不正で失墜したのだ。笑いものにするには丁度良い。

陰で笑われ、所持品を隠され。嫌がらせは日に日にエスカレートしていく。

だから僕も、自分以外の存在全てに心を閉ざすようになった。

自分で言ってしまうのも何だが、当時の僕はここまで捻くれていなかった。

だが惨めさや不甲斐なさ、情けなさという負の感情が毎日のように押し寄せてきて、僕は堪えきれそうになかった。

でも僕は勉強だけ常に出来た。常に一位だった。だから僕は、自分以外の全ての者を頭の悪い猿だと心の中で蔑むことで、自分を保ってきていた。


だが、それは虐める側にとっては面白くない。貴族なんてプライドの塊のようなものだ。自分よりも下、蔑むべき相手が学力ではトップなのだから。

だからだろう。ある日僕は、校舎裏で集団に殴られた。

蹲る僕に降り注ぐ罵倒と拳、靴の裏。終いには何処から持って来たのか残飯を浴びせられた。

もう、堪えきれなかった。自分にはコイツらを叩きのめす力も権力も無い。

頭が良くったって、結局何も変わらないじゃ無いか。

だからこの日、僕は初めて心の底から死のうと思った。思っていた。

でも、その時彼女が現れた。


「あなた達何をやっているの!? 今すぐ彼から離れてッ!」


その一声に、僕を囲っていた奴らは一斉に硬直し、突然仰々しくなった。

だが僕は何が起きているのか、その時痛みで意識が混濁としていて分からなかった。

やがて僕を殴っていた奴らは去り、彼女だけが残った。


「しっかりして……! 今、医務室に運ぶから……!」


残飯塗れで汚い僕に、なんの躊躇いも無く肩を貸そうとした彼女の手。

その綺麗な手を、僕は振り払った。


「止めろ……助けなんて、無用だ……」

「でも酷い怪我だよ!? こんなになるまで殴るなんて……信じられないよ」


彼女は酷く狼狽している様子だった、それに対し、僕は自嘲気味に嗤う。


「アイツらにとって、僕は人間じゃないんだろう……まあ僕も、アイツらの事を猿だと思っているがな……勿論お前もだ」

「だ、誰が猿よ!?」

「猿の手助けなんて無用だ……それに医務室の看護教諭も、僕を治療したいとは思わないだろう……」

「な、何で……?」

「何でって……お前、僕を知らないのか……?」


彼女の発言に、立ち去ろうとする僕は眉をひそめた。

入学式の代表挨拶をした日に失墜した学年一位。こんな奴を、悪い意味で覚えていない奴が学園に居るとは思えなかったからだ。


「アハハ……アタシ、実は結構病弱で……今まで学園に来れてなかったんだ。それで今日初めて学園に来て、道に迷ってた所で騒ぎを聞いて……」


なら何故、アイツらは彼女の姿を見て仰々しくなったんだ?

失墜してからというもの、僕は周囲の人間に何も関心を抱いていなかった。


「…………なら尚更、僕には関わるな」

「何でっ? アタシはただあなたを助けたくって……!」

「そんな事をしたらいずれ、お前も僕と同じ目に遭うぞ」


僕はその時初めて、彼女の顔を見た。

風に揺れる明るい橙色の髪、潤んだエメラルドの瞳、華奢な出で立ち。

その姿を見て僕は猿だと思おうとしても、とても思えなかった。


「……お互いの為だ。今後僕に関わるな」


僕はそれだけ言って、足を引きずりながらその場を立ち去った。

身体中が痛く今にも気を失いそうになったが、一刻も早くこの場から立ち去りたかった。

だがフラつく僕の身体を、後ろから抱き留められた。


「嫌だ、関わる!」

「なっ……!?」

「あなたが誰だろうと、こんなフラフラな人を放っておけない! それにお父様が言ってた、『最も愚かな者は困っている人を見て見ぬ振りする者だ』って!」

「……僕は別に困っていない、離せっ」

「離さない! 医務室が無理なら他の所で治療しよう? ね?」

「チッ……」


どう抵抗しても離してくれない。僕が怪我しているからなのか分からないが、自分で病弱と言っていた割には力が強い気がした。

やがて僕は諦めて、素直に彼女に付いていった。

そしてそこで初めて知ったんだ。彼女がフォルガント王国でもトップ層の爵位を持ち、この学園の学園長であるフェビアン・オード・バルックスの娘、フィーネ・オード・バルックスだという事に。


以来、彼女は必要以上に僕に構うようになった。

人気の無いベンチで昼食を取っていると強引に隣に座ろうとしてくるし、虐めてくる奴らに囲まれている時には割って入ってくる。

いくら邪魔だ、必要ないと言っても彼女は『アタシなら割って入っても虐められることは無いし、寧ろ一緒に居れば皆バイスに手を出せなくなるじゃん!』と言ってきた。

事実、完全には無くならなかったが、虐められる頻度は減った。

癪ではあるが彼女に助けられたのは事実。だから僕はそのお返しとして彼女に勉強を教える事にした。フィーネはずっと家に引き籠もっていたせいか、学力が周りに追いついていなかったのだ。

人気の無い図書室の隅で二人で肩を並べて勉強をする。その日常に、僕は学園生活が始まって初めて穏やかな気持ちになれた。

でも、やっぱり僕の性根は曲がったままだ。自分の中で一回変わってしまった事は、中々変えられないものだ。


そしてその関係性は高等部に入ってからも続き……つい先月、フィーネに告白された。

その時僕は酷く狼狽した。女性に告白される事なんて無かったし、そんな事があるなんて思っていなかった。

正直嬉しかった。僕だって本当は、フィーネのことを好きになっていた。

でも……僕は首を横に振った。


「お前と僕とじゃあまりに違い過ぎる……もし付き合ったとしても、今後風当たりも強くなってしまうし中等部よりもっと過激な嫌がらせがお前にも降りかかるかもしれない。どうしたって、君は上位の貴族令嬢で僕は犯罪者の息子なんだ」


胸が苦しかった、情けない気持ちで一杯になった。

もし、僕にまだあの頃の爵位があったら、胸を張って彼女の隣を歩けた。

でもジーニア家には、僕にはその資格は無い。

それでもフィーネは。


「関係無いよッ、バイスはバイスなんだもん!」

「しかし……」

「それにアタシ、調べたもん……バイスに過去、何があったか。その事件の真実も、知ってる」

「ッ!」

「バイスは犯罪者の息子なんかじゃない、バイスのお父さんは犯罪者なんかじゃない! 今のアタシじゃその濡れ衣を晴らすことは出来ないけど、でもいつか必ず何とかするよ! そうしたら……」

「フィーネ……」

「バイスは優しいんだよ……辛いことが沢山あって、心を閉ざしているけど、本当は誰よりも優しくって格好いいんだよ……皆が知らなくても、アタシが誰よりも知ってるもん!」


ポロポロと涙を流して、僕のために叫んでくれる人が居る。

ああ……僕は……。


「今付き合うことが出来なくても……改めて言わせて?」 


そしてフィーネは改まったように、僕に微笑みを向けてきた。


「あなたの事が大好きです」


この言葉を言われて、僕は初めて救われた気がした。

散々学園で虐げられ、お前には生きている価値が無いと言われてきた僕が。

自分でもそう思っていた僕が、生きていていいのだと、言われた気がしたんだ。

それから僕達は公言はしないものの、恋人同士になった。

まだフィーネ以外との奴らとの付き合い方が分からないが、それでもレクティオやモーテのような奴らとの関わり合いも増えた。

全部フィーネのお陰だ。

だからいつか、彼女の隣で胸を張って笑えるようになってみせる。

きっと、僕はこの胸に抱いた感謝を生涯忘れないだろう……。


――……ッ。――ッ!

――ス……ッ。 ――バ…………ッ!!


でも……何故だろう。何故こんな事を、思い出しているのだろう。

こんなにも鮮明に、彼女との温かい思い出を。


――オラ! ふざけやがって、このガキが! 聞いてんのか、ああ!?

――止めて……止めてよぉ……死んじゃう……! バイスが死んじゃうよぉ!


……ああ、成程。やっと理解出来た。

これは、僕の走馬灯なんだな。






「――バイス! しっかりして! バイスッ!」


目の前の男とつばぜり合いをしながら、私は背中を刺され地面に倒れたバイスに呼び掛ける。

しかし、バイスが反応する様子はない。マシュアやフィーネの呼び声だってそうだ。

バイスは今、背中を刺した男に追撃と言わんばかりに殴られていた。


「……ッ!」

「いやー全、く! 歯の奥に状態異常回復のポーション仕込んどいて良かった、ぜッ! リーダーの言う事は絶対だ、なぁ!?」

「ゴホッ……!」


バイスの口から大量の血が吐き出される。やり過ぎなんて言葉が優しく聞こえるくらい、男はバイスを殴り続けていた。


「お願い、アタシはどうなってもいい……! 大人しくあなた達に付いていくから、だからこれ以上は止めて……!」

「るっせえなぁ!? テメエには発言権なんて存在しねえんだよ!」

「バイス、待ってて今……!」

「行かせない」

「グッ!?」


助けに入ろうとするも、灰色の神の男に邪魔をされる。


「貴方はいいの!? 自分の仲間がこんな非道な事をしていて!」

「我々の顔を知られてしまった以上、殺すしかないんだ。何よりも……コイツに対して非道という言葉は存在しない。価値もない」

「ッ……!?」


私はその言葉に少し寒気が走った。

罪悪感なんてものはなく、勿論悪びれる様子もなく。ただただ常識と言わんばかりに、済ました顔をしていた。

一体何者なの、この人達は……?


私のレイピアから放出される冷気を浴びても、大したダメージにはなっていない。

このレイピアは直撃しなくても、この冷気で少しずつ相手にダメージを与える仕組みになっている。なのに一向に動きが鈍る様子が無い。

少しでも早く、バイスを助けにいきたいのに……!


「惨めだなぁ!? 情けねえなぁ!? 卑怯な手を使っておきながら一方的にボコられる! こんな格好悪い奴見た事もねえ! なあ、お前らもそう思うだろ!?」

「ア、アンタねーッ!? よくもそんな、酷い事をーッ!」


青髪の男は実に楽しそうに、顔面が血だらけになったバイスを髪の毛を掴み、鉄格子の中の二人に見せつける。


「止めてよ……もう……お願いだから……!」

「はー? 嫌だね、コイツは前々から俺達を見つけ出そうとしてて目障りだったんだよ! もっと惨めにしてやらねえと、俺の気が晴れねえんだ!」


目を爛々と輝かせて、バイスを地面に叩き付ける。

このままじゃ……本当に死んでしまう……!

こうなったら私が深手を負っても、バイスを助け出さないと!

そう、私が駆け出そうとした瞬間。


「惨め、でも、いい……情けなく、ても……いい……」

「……あ?」


か細い、バイスの声が耳に届いた。


「フィーネ、は……僕を……救ってくれた……生きてもいいんだと……思わせてくれた…………想い人であると同時に……誰よりも代え難い、恩人なんだ……」

「バイス……ッ」


プルプルと身体を震わせて、バイスは青髪の男の首を締め付ける。

殴られて腫れていた瞳には、涙が浮かんでいた。


「例え……格好悪いと、思われたって……幻滅されたって……僕を、好きじゃなくなったって、構わない……! ただ、フィーネを助けられるの、なら……僕は……ごの命全でを、賭げる……ッ!!」


あのバイスがこんな事を言うなんて。

中等部の頃から、一切誰にも心を開かなかったバイスが。

それ程までに、フィーネは彼にとって……。


「それがよぉ……」


しかし青髪の男は真顔になって、先程バイスを刺したナイフを構えると。


「ダセえつってんだよッ!」

「止め――ッ!!」


そのまま、彼の脳天に突き刺して――!


「……は?」

「……?」

「え?」

「んえー……?」

「バイス……?」

『バアァ~』


ナイフは、地面に深々と突き刺さった。

その光景に、アタシ達は戦闘中にも関わらず揃って困惑する。

目の錯覚。いや、幻覚の類い?

一瞬、ほんの一瞬だけ見えたけれど……。

バイスの身体が、地面に沈んで消えた。


「ど、何処だ!? 何処行きやがったアイツ!?」


誰よりも先に我に返った青髪の男は慌てた様子で周囲を見渡す。

ほ、本当に、バイスは何処へ行ってしまったの……?

思わず私も周囲を見渡しそうになったその時だった。


「ゴホッ……! なん、だ……?」


私達の背後から、バイスの咳き込む声が聞こえて一斉に振り返る。

そこには地面に転がっているバイスと。


「なかなか良い気概じゃないか、貴様。何処か彼奴に似ているな」

「でもボロボロで危なっかしい所は似ちゃ駄目な気がします……」


夕日に照らされた一人の男性と、場違いに思えてしまうような華奢な女の子が立っていた。

い、一体何時からそこに!? 気配すらも無かった! 


「……誰だお前達、学園の者か?」


灰色髪の男が声を低くして警戒しながら訊ねる。

それに対し黒髪に赤いメッシュの入った、八重歯が特徴的な男性が一歩前に出ながら。


「フッ、心して聞くが良い……我が至高の名を! 我は――」

「ちょ、ちょっと今やるんですか!? 攻撃されません!?」

「ええい、今良いところなのだから邪魔をするな!」


女の子に止められそうになりながらも、改めてバサッとマントを翻した男性は……魔族特有の、紅い瞳を輝かせながら言い放った。


「バルファスト魔王国、魔王軍四天王が一角。闇を司り影を操る夜の王……レオン・ヴァルヴァイアである!」

「ええっと……お、同じく! 魔王軍四天王、リム・トリエルです!」

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