プロローグ
――拝啓。
父ちゃん、母ちゃん、お元気ですか? 亮太です。
俺が女の子を庇って死んでから、もう一週間が経ちます。
あの女の子は今はどうしているのでしょうか?
二人とも、俺が死んで悲しいと思いますが、俺は転生して元気にやってるので心配しないでください。
さて、唐突ですが、なんだかんだあって魔王になることになりました。
どうか、我が子が壊れたなどと思わないでください、本当です。
魔王と言っても決して俺TEEEEではなく、ステータスは平均以下。
おまけに魔神眼という全ての魔眼の能力を使うことが出来るチートを持っているのに、魔力量が少なすぎて使えないという始末です。
それよりも一番辛いのは、俺の配下である魔王軍四天王や国民がキワモノばっかという事です。
まあ、それでも何とか楽しくやってます。
父ちゃんは薄毛を気にして育毛剤を使い始めていましたが、毛根が蘇生することを願っています。
母ちゃんは肩こりが酷くて湿布を貼っていましたが、一回ケチらずにマッサージに行った方がいいと思います。
それでは、ここらで文を絞めたいと思います。
そして、最後に――。
「私達は勇者一行ですッ!」
――ただいま勇者に襲撃され、もうすぐ殺されてしまう我が子を、どうかお許しください。




