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デパートと死神さん

日曜日。死神さんを連れてデパートへと来た


今日の死神さんは初めて会った時の黒く飾り気の無いワンピース


気に入ってるみたいだし、同じ様な物でも良いけど、もう数着は欲しい


「デパートの中に入るのは初めて?」


「うむ。こんびにみたいな所だな」


「鋭いね。似たような所だよ」


ちょっと大きいコンビニって感じだな


「先ず2階で服を買って、その後は3階で昼食を食べよう」


「任せた」


「はい、任されました」


死神さんの数歩前を歩き、エスカレーターの方へ案内する


「気をつけてね」


エスカレーターに乗って、2階へと上がっていく


「昼は何食べよっか…………あれ?」


振り返ると死神さんの姿は無く、エスカレーターの下で足を出したり引っ込めたりと奇妙な動きをしていた


「死神さん?」


「こ、これは無理だ」


「ち、ちょっと待ってて。今、そっちに戻るから」


「いや、大丈夫だ。2階へ行けばいいのだろ?」


「え? あ、うん」


「うむ」


右手を振り、鎌を出す死神さん


「だ、駄目だよ!」


たまたま人が居ないから良かったものの、消える所を誰かに見られたら大事だ


「こんな奇天烈な物には乗れん。吸い込まれたらどうする」


そう言って死神さんは、膝を曲げて勢い良くジャンプする。そのジャンプはエスカレーターを飛び越え、2階へと到着した


「す、凄いな……」


いや、そうじゃなくて!


俺は急いで死神さんの追い、たしなめる


「死神さんねぇ」


「……私は悪くない」


さっと顔を逸らす死神さん。一応ちょっとは悪いと思っているみたいだ


「特別な事じゃない限り、人前で姿を消したら駄目だよ」


「……む」


余り責めるのも良く無いか


「さ、服を買おう。良さそうのあったら言ってね」


「……どうでもいい」


「まぁ、そう言わず」


「むぅ……」


「よし、先ずはあっちだ」


そんな感じで興味なさそうな死神さんを連れまわし、幾つか似合いそうな服を見付ける


「これはどう?」


黒いTシャツ


「色が気にくわん」


「これは?」


黒いワイシャツ


「色が気にくわん」


「じ、じゃあこれは?」


黒いトレーナー


「色が気にくわん」


「…………全部黒だよ?」


「薄い」


「はぁ」


難しい人だ


「他に黒いのは……」


「む、それだ」


死神さんが指差したのは黒いシルクのワンピース


「ワンピース?」


もろに女物って感じの服だけど良いのか?


「……闇より深き黒。くくく、禍々しい」


初めて笑った!?


「き、気に入ったの?」


「…………少しな」


そう言いながら、死神さんはチラチラとワンピースを見る


「値段は……」


一万八千円。ちょっと高いけど日払いのバイトでもすれば良いか


「じゃこれ買って、後は寝巻と下着買おう」


下着は何でも良いみたいだから気楽だぜ



それからトラえもんパジャマとトランクスを数枚買って、買い物終了。エスカレーターは嫌いらしいので、エレベーターに乗る


「ぬ? ぬおおおお!?」


「だ、大丈夫?」


「ぐいっと来た!?」


チーンとエレベーターの扉が開く


「む、一瞬で移動。彳无か? ……えれべた、侮れん」


ちゃくむ?


「よく分からないけど、昼食だ。行こう!」


エレベーターから出て、立ち並ぶ店先を歩く


「何食べる?」


「何と言われてもな……」


困った様に辺りを見回す死神さん


「む……これはなんだ?」


洋食屋の前を通り掛かった時、死神さんはショーケースの中を指差した


「え? ああ、オムライスだね」


「これで良い」


「そう? じゃそうしようか」


俺はハンバーグ定食にしよう

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