赤ずきんと死神さん
月曜日の夕方。学校から帰った俺に、死神さんが突然聞いてきた
「赤ずきんは何故、赤ずきんなのだ?」
「え?」
「何故、赤ずきんと呼ばれているのだ?」
「あ、ああ、それはね……」
また難しい事を聞いてくる人だ
「赤いずきんを被ってるからじゃないかな?」
そのままだけど
「しかし何故、赤いずきんを被っているのだ? 狼が出ると母に言われておったろうに」
目立つではないか、と死神さんは呟く
「だいたい近くに住んでいる婆に何故、母が行かぬ。自分の親であろうに」
ぶつくさと文句を言う死神さん。もしかしてちょっと怒ってる?
「しかし狼も頭が悪い。自分が婆に変装するなど、無理が有りすぎるとは思わんのか?」
「ま、まあ童話だからね」
「1番納得行かぬのは最後の場面だ。猟師が狼を撃って腹を捌いたら婆が出て来ただと? 婆の生命力はもはや人間ではない! 大体人間一人丸呑み出来る狼とはどれだけ大きいのだ!!」
こんな会話が夕食が始まるまで続いて、夜となり、あっという間にもうすぐ寝る時間……
「今日はジャックにするか」
そう言って図書館で借りてきたらしい絵本を手に、死神さんは押し入れの中へ入ってゆく
「死神さん、暗く無いの?」
押し入れの襖は開けっぱなしなので、照明の光は入っているが、やっぱり部屋よりは暗いと思う
「平気だ。私はお前ら人間より夜目が効く」
「そっか……あ、死神さん。寝る前は歯磨きしないと」
「む。今、忙しい。豆の木が天に登ったのだ……なんと面妖な」
死神さんは足をパタパタさせながら、絵本を食い入る様に読んでいる。絵本、気に入ったのかな?
「むぅ……巨人……金のタマゴ……金タマ……ぬ?」
「………………」
風呂入ろ