イリオス王国(1)
ワルキア王国と山脈を挟んだ先には、広大な自然が平がるイリオス王国が存在しいた。
自然から取れる恵と、一部の農作物は有名であるが、鉱山資源も国を支える基盤であった。
それが、現在のワルキアと同等とも言われる国力を支えてる。
領土の中央に位置する王都は、中心街こそ一般的な大きさの家屋が並ぶが、外周に行けば行くほど大小様々な形・大きさの家屋が目立つ。
そして、王都の中心には、巨大な教会を複数集めたような城がそびえ立っていた。
その王城内の上層部、大きな部屋では国の重鎮達による会議が開かれていた。
「報告を。」
玉間ほどではないが、それに近い巨大な部屋には、これまた大きな長机が存在感を見せていた。
そして、周囲に座る十数の影の奥で、一人の男が低く唸るような声を発する。
その体は明らかに人より巨漢であり、腕は樽のように太く、顔は金色の毛に覆われ、人と言えば人、猛獣と言えば猛獣のようにさえ思える。
巨漢な男の、地を這うような声に、緊張しながらも誰かが答える。
「はい。隣国ワルキア王国の国境沿いには、昨年に続き王国兵が増えつつあります。我々、イリオス王国も国境軍の武器増強と、近隣の諸侯に中央軍三軍を配備しております。さらに情報収集のため諜報部隊も配備しておりあます。」
その報告を聞き、巨漢な男の低い声が続く。
「次っ!」
机の奥から上がった声に、続くように大きな声が答える。
「はい、隣国のアーマイゼ帝国では『新しい』技術の開発をしているとの噂があります。諜報部によりますと、何でも魔法と同等の力を発揮する技術であるとか。詳細まで分かりませんが、引き続き情報収集を行います。」
その声に、巨漢の男の次席に座る者が声を上げる。
「何を言っている、魔法と同等だと。そんなものあり得るのか?密偵の情報は確かなのか?」
「諜報部隊には我が国の精鋭、第一諜報部隊をあてています。しかし、帝国もかなり秘密にしているのか、市民達は一切しらず、一部の関係者より漏れ出た情報であるため、真意は断定できません。ただ、警戒していくことは重要かと・・・」
獣人の一人が机を激しく叩く。その力は人間の数倍もの力であり、普通の木の机なら、簡単に壊れているはずだ。
しかし、目の前にある長机は獣人専用であり、材質も大きさも特別であり、軽く揺らぐだけであり、大きな音だけが響いた。
「くそっ!国境付近の不穏な動きに兵力も裂かなければならない。かといって帝国の動向にも注意しなければならない。これでは国力が疲弊するぞ。」
イリオス王国は、ワルキア王国とアーマイゼ帝国に挟まれる形で存在ていた。
彼らの領土は大きく。領内は湿原や高原なども多いが、一部で整備が遅れていた。
その理由は、種族の違いによるものである。
例えば、兎族、鹿族にとっては道も草原も大して変わり無く、道路の意味が理解できないのだ。
また、食料事情の違いが、国としての開拓を遅らせている原因である。
ただ、彼らの身体能力は人間より高く、何かに優れている者が多かった。それが、数百年もの間、彼らの国が守られてきた要因であった。
「事はそれでけでは無い。聞くところによると、海では海賊の動きも活発になりつつあるそうだな。」
「えぇ、しかし我が国の海軍が他国より優秀なことが幸いです。」
皆の話しを聞きながら、巨漢の男は憤りを声に出す。
「ここ数年の動きは異常だ!これは偶然か?それとも何かの予兆なのか?」
「して、王国に潜入中の密偵の話では国境沿いだけでなく、王国内でも不穏の動きあり、とのことです。」
「あぁ、第一王女の急死と貴族の反乱か?」
「はい・・・それ以外にも、国家転覆罪での手配書が布告されたらしいです。また、国境から入国する商人の中に『うさん臭い』者がいたと。」
「そうか、『うさん臭い』か・・・」
その言葉に、巨漢の男は「フンッ」と鼻を鳴らす。
普通、他国の法や犯罪など、こちら側には関係ないことである。
両国では和平を結んでいるが、内容は戦争による不可侵条約である。
むしろ、自国内で他国の者が動きまわるのは問題だと言える。
「・・・なら間違いないな。勝手なことをしよって!おい、確か獣人長は王国軍大将、アンドリューと顔見知りだったな。」
「はい、かつて親睦試合にて戦ったことがあります。しかし、最近はやり取りもなく・・・」
「そうか。もし連絡が取れるようなら、捜索隊の件を問いただしてくれ。それに、商人に扮した奴らの情報をつかめ、人選は任せる。また、皆は引き続き各国の情報を集めて注視せよ!我ら、獣人国の為にっ!」
「「「「獣人国の為にっ!」」」」
その声が、大きな室内を震わし、会議を締めくくった。
そして・・・巨漢の男の言葉により、ある男が防壁方面へ捜査へ向かうのであった。
既に、書下ろしは大量にある・・・が、修正するのに膨大な時間が・・・(TT)




