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隣国(6)

食堂での小さな『お茶会』もお開きになり、それぞれが自由に過ごす中(といっても殆どが部屋に戻ったが)、俺は一人で食堂にいた。

やっと得た安息の時間に、未だうわずった気持ちが冷めず落ち着かないためである。

そんな心を落ち着かせるため、客の会話と談笑が響く食堂の端で、賑やかで陽気な空気に浸っていた。

ジョッキを片手にツマミを頬張る姿は外からみれば酒場の常連の様に見えるが、飲んでいるのはジュースだったりする。


「ちょっとここ、良いかしら?」


透き通る様に高い声音が耳に届き、それが聴き慣れた少女の声だと分かると俺は振り向いた。

そこには動きやすそうな軽装に着替え、後ろに手を組んだ少女がこちらの顔色を見定めていた。


「ああもちろんいいけど。どうしたんだ?部屋で休むんじゃなかったのか?」


既に食事も終えた彼女がこんなところにいる理由に思い当たる節などない。

追い返すのも不躾けだろうと思い軽く椅子を引くと、彼女はそっと腰を下ろして言う。


「えぇ、まだ寝るには少しだけ早いと思ったのよ。それに折角の旅ですもの、少しだけ楽しもうかなって思って。ダメ?」


首をかしげてこちらの顔を覗き込む姿に少しだけズルいと感じた。無論断りなどしないが。


「いや、ダメじゃない。」


「そう。有難う」


手を挙げ店員を呼び出した彼女は飲み物を頼みだす。

それがお酒で無かったことに俺は内心ホッとしながらも、近くのツマミを食べながらジョッキに口をつける。魚を干したものだろうか、噛みごたえが有りほんのりと塩辛い味がした。


「やっと・・・ここまで来たわね。」


飲みものが来ると、それを受け取けとったルリがジョッキを見つめながら静かに話しだした。


「私たち初対面から大変だったし、心配だらけで、ここまで無事に来られるとは思っていなかったわ。」


「そんなことないだろう?ルリは最初から俺達を引っ張て来たじゃないか。助かるために必死に。」


「・・・そうでもないわ。強がってるだけ。正直に言うと私ね、初めて王城の窓から飛び出す瞬間、本当は泣きそうなほど怖かったわ。皆と接するときも本当は不安でいっぱいで・・・それを隠すように振舞っていただけ。」


彼女の言葉に俺は驚いた。普段のルリは前向きであり、あまり怖がらないというイメージがあったからだ。いつも前向きで困難にも積極的に立ち向かう、それが俺の中での彼女の印象だ。

それにしてもどうしたのだろうか、今になって急にそんなことを話し出すとは。


「それでね。本当の私は臆病でトロくさいから、昔から友達は爺しか居なかったわ。爺とは昔から顔見知りだったから気軽に話せたの。」


ということは二人は現実世界でも知り合いだったのだろうか。何となく二人の様子からただのパーティーメンバーを超えた信頼感があるのは感じていた。


「私、こっちに来て初めて爺以外の人とパーティーを組んで、初めて同世代の友達とお茶をして、笑って、怒って、死にそうにもなったけど、本当に生きているんだって、人生って楽しいって心から思えたの。きっとそれは・・・・貴方のおかげだと思うわ。」


そうだろうか。ただ俺は普通に接して話していただけである。もしろ彼女に誘われなければ、俺は今ごろここにはいなかっただろうし、既に死んでいたかもしれない。

そして、なにより言いたいことは


「ルリ・・・それってフラグじゃないのか?」


「あら?あなたそんな迷信信じているの?ふふっ大丈夫よ。貴方ならそんなもの折ってくれるって信じているもの。」


俺が気恥ずかしさを誤魔化すために言った言葉はルリには効かなかった。むしろ余計に恥ずかしくなる。

ルリはこちらに笑顔を向け、そして全てを信じるような強い眼差しで俺の眼をじっと見つめてくる。


「ええっと、そうだな。俺もルリや爺さん、それにあの二人だって大切な友人だと思ってるし感謝しているよ。・・・命を掛けてでも助けたいと思えるほどにはな。」


「ふふっ・・それってなんだか・・・・いえ、なんでもないわ。」


丁度空になったジョッキを覗き込みルリは話を切る。


「それじゃあ、私は戻るわね。話を聞いてくれて有難う、それに・・おやすみなさい。」


そう言い残して椅子から静かに立ち上がると、こちらに手を振って去っていく。

何とも言えない空気が残る中、ただ店の中には楽しそうな音だけが響いていた。


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残された俺はさらにツマミとジョッキを追加し、静かにジュースをのみ続けていたが、


「ほほー、仲が良さそうでなによりですな。」


「見ていたのか爺さん?それで今度は爺さんが相手をしてくれるのか?」


気づけば爺さんが後ろに立っており、俺の横にゆっくりと座るのを見ながら、もしかしてその次も誰か控えているのか?と思いつつツマミ皿を勧める。

爺さんは嬉しそうにそれを口にして話し出す。


「たまたま今、通りかかっただけですぞ。そうですな、コウ殿がよろしければ一杯付き合いますぞ。」


「これって、そういうイベントなのか?」


「イベント?はて分かりませぬな。でも良いではないですか。たまには男同士ゆっくりと話すのも。」


普段から男同士、一緒の空間で寝ている気もするが。


「コウ殿、ここまでお疲れ様ですな。」


「またフラグ立てるのか?もしかして職人なのか?ちょっと怖くなってきたんだが・・・俺、もう直ぐ死ぬのか?」


「おや?コウ殿はあらゆるフラグを折って行くのではなかったですか?」


「って、やっぱり聞いていたのかよ!」


「はっはっは、良いではないですか。それにこうやって楽しむ機会も久々。これから忙しくなればどうなるかわかりませんしな。」


爺さんは少しだけ神剣そうな表情をする。そして何となく爺さんが危惧していることを察する。


「ユーリアの依頼か?」


「そうですな。それもありますが、それ以外にもあります。コウ殿も気づいておられるでしょうが、彼女らは何かしら大きなものを抱え込んでいる様子。」


「ああ、確かにな。」


俺は先ほどの二人の様子を思い出す。そもそもサファイアなど一般の平民が所持しているものではない。考えられるのはかなり裕福な家庭か、それとも商人かである。どちらにせよ一般人ではないだろう。

さらにあの時の切羽詰まった表情も気になるところだ。


「オルガ神殿跡地か・・・・」


「ここまでコウ殿、お嬢様、私も無事に困難を乗り越えてきましたし、今後どのような壁が立ち塞がろうとも大丈夫でしょうな。それにもしもの時にはこの爺がついておりますから心配ありませんぞ。」


「ははっ、それは心強いな。爺さんのことは信用してるよ。」


「有難うございます。その思いが大切でございます。パーティーに一番重要なものは信頼です。そして強い信頼によって結ばれたパーティーはどんなものにも負けないはずですぞ。爺は昔からそう信じております。」


俺も爺さんの意見には賛成である。過去様々なパーティーがあったが結局最後まで残ったのは、お互いを助け合い信頼していた者達であった。


「爺さん、もう少し付き合ってくれるか。」


どうせ爺さんと俺は同室である。だったらと、結局俺たちは深夜まで飲み明かしたのだった。

実は小説を書くのって結構つらい(´;ω;`)

【構想】⇒【文章】⇒【修正】⇒【書直し】⇒【修正】⇒【投稿】

手順に<<4時間>>かかる。(;゜Д゜)!

1つの原稿に生活時間の4時間も割り振るのだ。

そこまでして投稿するのは何故か?

それは好き(自己満足)だからと、ブックマークが【1件】されているからだろう。

この小説は【1件】の読者がいるからこそ執筆を止められない事実があるのだ。

これこそ究極的な個人小説と言うのだろうか(;´Д`A

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