危険な王城(更新済)
そろそろ真面目に書こうかと思います。これから「全編改編』いたします。( ̄▽ ̄;)
改変文字数は元の2~3倍、さらに登場人物が数人増えます。
朝だろうか・・・明るい光を感じる。
憂鬱な気分で重たいまぶたを徐々に開けていく。
「・・・ここは何処だ?」
目に映ったのは知っている場所でなかった。
まだ夢の続きを見ているのだろうか、というボンヤリとした意識で再び目を凝らして見る。
目に見えるは広大な空間に高い天井、そして巨大な石の支柱が等間隔で立ち並んでおり、床の中央には長い紅の絨毯が広がっていた。。
どうやら巨大な部屋であるようだ。調度品や配色は美術館や博物館に似ているようだ。
(俺は一体・・・・)
この部屋の様子に思い当たるふしが無く少し混乱する。
周りに自身と同じように視線を彷徨わせている人達がいるのに気が付く。
詳しく数えた訳ではないが老若男女、20人近くはいるのではないだろうか。
よく見れば、彼らの全てが『質素な西洋服』を着て『剣』や『杖』を持っていることに気が付く。
仮装でもしているかのような不自然な格好であった。
「な、なんだこの杖は?」
まさか!と思い直ぐに自身の体に目を向けると、自身も同じような格好をしているではないか。
なんの冗談だろうか、自身の腰帯には1m近い木棒が差し込まれていた。
「おいおい・・・なんだよこれ?」
すぐ隣から男性の声がして振り向くと男が腰についている鞘から刀身を抜き、恐る恐る指先で本物かどうかを確認していた。
「なっ!?この重さに鋭さ、本物なのか!!」
男は重そうに床についた刀身を困惑しながら、しばらく凝視した後、今度は腰の袋に注目した。
その袋は茶色の布に紐で口を閉じただけの簡素なもので、全員が同じものを持っていた。
男は恐る恐るゆっくりと袋を開き、目を細めて中を覗き込んでいる。
俺はその様子を伺っていると、
「一体、なんだこれ?」
男がゆっくりと袋から取り出したモノは小瓶であった。
片手で持てるぐらいの瓶の中に入っていたのは緑葉が数枚であった。
「・・・葉っぱ?茶葉か?」
男は不思議そうにそれを眺めていたが、俺は何かが引っかかっていた。
どこかで見たかのような葉であった。どこだっただろうか?本か?公園か?いや・・・・
(そんな馬鹿な!あれはっ!)
思い出した瞬間、唖然として現実を疑った。
「まさか、『薬草』だと!」
「んっ?あんたこれを知ってるのか?ってかあんたはここがどこか分かるか?」
「いや、俺も気が付いたらここにいた。その前は部屋にいたはずなんだが・・・・それよりそれ、ゲームの詳細画面の説明書きにあった『薬草』の形に似ていないか?」
「はっゲームだと?・・・そうか!ファンタジー・オールドテールに出てくるやつか!」
それは以前、俺がオンラインPCゲームで見たことのあるアイテムと酷似していたのだ。
俺は半信半疑で自分の袋の中を慌てて紐解き、中を確認すると同じ物が入っていた。
実際に瓶を傾けて、多方面から注視してみれば、やはり『薬草』のデザインと似ていた。
「あぁ、そうか思い出した。俺たちのこの格好もゲームに出てくる一番初期の装備だ。」
確か、初期の選択で「剣士」か「魔術師」の二択を選択することによって、武器として剣か杖を与えられた筈である。
そこからレベルを上げていくことにより多彩なジョブを選択出来るようになっていた。
「おいおいこれって、ゲームの装備じゃないのか・・・・」
「そうだよ!初期装備じゃないか!」
周りの人たちも気づき始めたらしい。しかし、だとしたら「彼ら」はなんだろうか?
俺たちのような格好の者から離れた位置に、囲むような形で更に何人かの人がいるのだ。
その姿は俺たちと大きく違い、銀色の全身鎧を着て、大きな槍を握り締めて立っている。
更に数人、頭から足元まで真っ白なローブを着込んだ人影が混ざっている。
その姿は正しく、
(あれは・・・『兵士』に『魔道士』だと?)
それらは明らかに俺たちと違った格好であった。魔道士に関しては俺の知っているものに近かったが、装備のレベルは低いように見える。
彼らは俺たちと違い、静かにこちらを眺めているようであった。
それはマネキン人形のようで不気味であった。
「勇者諸君・・・ようこそこの世界へ。君たちを歓迎するっ。」
突然であった。広間に若い男の声が反響し響き渡る。
その声に反応するかのように、兵士や魔道士達が足並みを揃えて道を作り出す。
そして開け放たれた道から一人の男性が顔をだした。
その男はブルーの瞳と綺麗な金髪が目立つ20代ぐらい西洋人に見えた。さらに豪華な服にマントを身にまとい、身分が高いことが一目で予想できた。
男の両脇には先ほどの兵士と違い、綺麗な大剣と純白で立派な鎧を着込んだ側近が立ち並んでいた。
その姿はまさに近衛兵といった感じだろうか。
中心にいる先ほどの青年は俺たちを無表情で一通り見渡した後、口元を釣り上げ、さも嬉しそうな声と共に仰々しく言い放った。
「我に従うのなら、お前たちを許すぞ。」
(その言葉はどういう意味だろうか?従う?許す?)
状況がつかめないし、言っている意味も分からない。周りの群集も困惑したように青年を眺めていた。
そんな状況の中、一人の若者が青年に詰め寄って行く。
その男は眉を釣り上げ、目で青年を睨んでおり、明らかに怒っているのが分かる。
青年の近くまで近づくと、瞬時に側近の兵士が剣の柄に手を置いたが、青年自ら手でそれを制した。
「あっ?従う?何を言ってるんだ!それよりここはどこだてめぇ!お前誰?まずは状況と自己紹介しろやこらっ!」
若者は青年に詰め寄り、顔を近づけ怒鳴りつけたのだった。態度は最悪であったが気持ちは分からなくもなかった。
ここが「どこ」で、「どうして」ここにいるのか誰しもが知りたいことであるだろう。
「そうだ!ここは何処だ!あんたら知ってるのか!?」
「ねぇ、何処なのよ?」
「ま、まさか誘拐・・・・」
男の言葉に不安を吐き出すように数名が続いた。
目の前に事情を知っていそうな人が現れたことで、その不安の矛先が向かったのだった。
「私はこの国の王位第一継承権にあるロアブロ第一王子である。君たちからしたら、ここは異世界というものらしいな。私が君たちを召喚したのだ。ここでは私が法であり私が神である。だからお前たちは私に付き従うのだ!」
(異世界だとっ!!馬鹿なっ!・・・カメラは無いようだが。)
テレビ番組のドッキリかもと、隠しカメラを探したが分からない。ただ彼の言う「異世界」というのを信じるには無理がある。余りに現実離れした話であった。
確かにゲーム好きなら一度は夢に見たことがあるだろう。ただ、現実の生活を生きる者にとって異世界など、所詮空想の世界であるはずだ。
(・・・もし・・・もし、ここが本当に異世界なら誰しもが羨む状況だが・・・)
ゲームやアニメを見たことある人間なら一度は思ったことがある筈だ。本当に魔法が使えたら?本当に剣一本で冒険できる世界があったら?と。
しかし、やはり信じがたい言葉である一方、心の隅でそうだったらと願う期待で心臓が激しく鼓動する。
「あぁ!てめー何言ってんだ?そんな馬鹿みたいな話しがあるかよっ!それになんで俺がお前の言うこと聞かなきゃいけないんだよ!ってか、なんだその阿保みたいな格好?それにここはどこだって聞いてんだよ!」
若者は今にも飛びかかりそうな勢いで王子と名乗った青年に怒鳴る。
「そうか・・・お前はどうしても駄目そうだな。残念だ・・・・」
青年は酷く冷めた目で男を眺めながら静かに言うと、手に何かを持ち、それをいきなり上から振り下げたのだった。
『グシャッ、グシャッ・・・』
それは本当に突然で一瞬のことだった。
スイカを叩き割るような鈍い音が聞こえたと思った瞬間、男は血の涙を流しながら眼球をグルリと回し。身体が糸が切れたようにその場にドシャッと落ちたのだ。絨毯には身体が小刻みに痙攣している男の姿があった。
そこに来て俺はやっと、王子がメイスで男の頭を潰したのだと悟ったのだった。
銀色の棍棒の様なメイスは若者の頭にめり込み、若者は口から泡を吹き出していた。
俺の頬には若者の頭蓋骨から飛び散った生暖かい血が数滴着いた。その感触と温度は現実のそれと全く変わらない。
「「「イヤァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーァァァッ!」」」
一斉に広間に絶叫が響き渡った。
多くの叫び声が鳴り響く中、群衆の半分が一目散に後方の大きな扉へ逃げるように走って行く。
それはなんの秩序も無い本能的な逃亡であった。何人かは転びながらも四つん這いで逃げようとし、何人かは人を踏みながら、中には相手を押しのけて走り出す者もいた。
しかし走り出してから気づいてしまった。後方の扉の前にも槍を持った兵士が数人いることに・・・
「えっ?嘘?やめっ・・・」
一番先頭を扉に向かって走っていた女性の言葉が最後まで続く前に、兵士の矛先が女性の胸にめり込んだ。
門番の兵士が突き刺したのだ。女性は胸から血を噴き出し地面に転がった。またその横で両膝を着いて苦しんでいる男性の腹からは腸が飛び出ていた。
「「「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ―――――――――――――――――!!」」」
後方の何人かはその場で腰を抜かし、何人かは兵士や王子から慌てて距離を取った。
中には錯乱して武器を振り回す人もいたが、一瞬で殺された。
武器にも力量にも差があり過ぎるのだ。
「はっはっは愉快愉快。お前たちは人を敬うことを知らないのかね?」
「どうなんだ、んっ?」と覗き込むように笑顔で王子が話しかけた。腰を抜かし歯を小刻みに鳴らす群衆は、ただ震えて何も言えなかった。その何人かは失禁さえしている。
「グシャッ」
王子の近くにいて、震えながら腰を抜かした男の頭蓋骨にも再びメイスがめり込んだ。
再び大きく悲鳴がこだまし、誰しもが恐怖に支配され動けなくなった。
「さて家畜ども、私に従ったら手厚く扱うぞ。どうだね、私に協力してくれるかな?どうだ?」
この地獄絵図の状況にとって、それは蜘蛛の糸のようで甘美な響きに聞こえた。
皆、助かりたいという渇望から、一人が「是非、協力させて下さい!」と頭を床に擦り付け、武器を置き土下座すると、波紋が広がるように皆同じ行動をとっていく。
それはまるで神に許しを請うかのような仕草である。いや、王子が俺たちの生死を握っていることから神といえるのかもしれない。
そして俺もその一人である。絶対に助かりたいという生への本脳が身体を支配している。もはや助かる為ならばなんだってするだろう。
兵士たちの虐殺行為は、俺たちの思考を麻痺させるのに十分な効果を示した。皆が、ただこの瞬間生き残ることだけを考えている。そして、それと同様にこの後どうなるかの不安も大きかった。
「はっはっは!それでこそ家畜に相応しい!よい、余はお前らの愚行を許すぞ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
騒乱の後、俺たちは全員武器と革袋を没収され別の部屋へと集められた。
そして数列に整列させられ、順番に鉄製の首輪を嵌められているところだった。
誰かが勇気を出して震える声で質問した。
「こ、この首輪は、なんでございましょうか?」
その問いに純白のロープを来た神官の様な男性が笑顔で答えた。
「たいしたことありませんよ。我々の信頼の証と、プレゼントとでも受け取って下さい。それとも、今すぐ神の下へ行きたいですか?」
質問した男の顔は一瞬で真っ青になり、それ以上何も言えなくなった。
しかし、その首輪はとてもまともな物とは考えられなかった。
俺の前方で『ガシャンッ』と重々しい金属音と共に首に嵌められていく人たちは、地獄の入口に立つ罪人のようである。
一体この後、どのような目に遭うのかを想像するだけで、恐怖で身体が震え何も言えなくなる。
「お・・・お願いします。お願いします。いやだ、助けて、助けて・・・・・」
目から涙を流し、鼻水を垂らしながら必死に助けを懇願する女性がいた。
ガクガク震えながらも首輪を手で押しのけようとしたが、周りの兵士達に力ずくで押さえ込まれ無理やり装着されていた。
「い・・いやっ、死ぬのはいやっ・・・お願い、何でも言うこと聞くからこれを外して・・・」
恐怖でパニックになっているのだろうか。必死に懇願していた。
「ふむ、まだ見せしめが足りませんでしたが・・・しかたありませんね。」
神官が手に何かを握るのが見えた。そして何かを口にした途端、
「痛いっ!ぐあっ!!!!!あ・・・・・う・・・・・」
急に女性が床に丸くなり、両手で必死に首輪を外そうともがき出したのだった。
何かの苦痛に抵抗するように必死に足をばたつかせ、飛び出しそうなくらい見開かれた目は充血しており、口を大きく開けて必死に呼吸しようとしている。
しかし、必死の抵抗も虚しく数秒の後、女性の意識が飛んだ。
さらに数秒後、部屋に臭い匂いが漂った。
それは糞尿の臭いであろうか?
(ま、まさか・・・絞め殺されたのか!)
誰も何も言わずじっとその状況を見ていた。部屋は静寂が支配していた。広間と違い叫び出さなかったのは叫んでも何も変わらないと知っているからだろう。または同じような目に会いたくないからだろう。
「持って行きなさい。」
ただ一言、神官の声が聞こえると兵士は動かなくなった女性の髪を掴み引きずりながら部屋を出ていった。
その状況が決定的だった。誰も何も言葉を発さず、ただ震えながら涙を流しながら従うだけとなった。
俺は数列に並ばされた列の中、黒っぽく頑丈そうな首輪を見ながら、恐怖が心を支配し口が渇き、全身から汗が吹き出し始めていた。
実は・・・半年前に召喚場所のストーリーを5つ筆記した結果・・・この話しが一番インパクトが強かったので、これに収束しました・・・(´Д`;) 他にも何十という没原稿から、主人公たちはいろんな平行世界を経て、この話に収束されているのです・・・(;´Д`A




