大壁都市(2)
冒険者ギルドに入るとテーブルや椅子が数個あり、そこには様々な冒険者がいた。目に付くだけでも剣士、魔法士、神官までいる。そして奥にカウンターがあった。それは市役所に似ており、数人が座って書きものや応接しているのが見える。さらに横には掲示板があり沢山の紙が貼ってあった。
まさに、想像に近いギルドの光景であり少し安堵した。
俺達が扉から入ってくると、一瞬だが大勢の視線を感じた。しかしそれも直ぐに無くなったようだ。
「どうやら、因縁をつけられたりすることもなそうね。よかったわ。」
少女は小声で話す。確かに、こういう場面で新人が絡まれるのはありきたりな展開ではある。
「そうだな。出来るだけ騒ぎは起こさないようにしたいな。」
「ねぇ、フラグって知ってるかしら?」
俺はただ少しでも緊張をほぐそうとしただけだが、少女がジト目でこちららを見てくる。
「おふた方、それでは目立ちますぞ。」
「・・・・・」「・・・・・・」
俺たちは心を引き締め、辺りを見渡しながら、ゆっくりと進んだ。
そしてカウンターにいる一番優しそうな女性に話しかけた。
「すみません。冒険者の登録について聞きたいのですが?」
女性職員は笑顔で答えてくれた。
「初心者登録の方ですね。ギルドのことはご存知ですか?」
その質問に少しだけ迷った。冒険者ギルドについては詳しい方だと思う。しかしそれはゲーム内のギルドである。ここが同じギルドだという保証はない。とりあえずは無難に聞いてみた方が良いだろう。
「噂で聞いたことあるくらいです。」
「分かりました。では重要な点を説明します。冒険者ギルドの仕事は『討伐』『依頼遂行』『アイテム買取り』が主です。『討伐』は魔物や野党を倒すこと、『依頼遂行』は、例えば草むしりから護衛まで個人の様々な依頼をこなすことです。『アイテム買取り』は魔物の部位や鉱物、薬草などをこちらで買い取ることです。ここまではいいですか?」
俺が頷くと女性職員は続けた。
「冒険者は基本誰でもなれます。冒険者にはランクが存在し、それにより受けられる依頼や報酬が変わります。」
俺はその言葉に少し引っかかりを覚えた。
「基本と言いましたが、なれない人もいるんですか?」
「はい、冒険者ギルドの立っている国で罪を犯し、指名手配をされている方は出来ません。冒険者証は身分証でもありますので、我々も犯罪者の身分を証明する訳にはいかないのです。」
俺達は職員のその言葉で息を飲む。しかし、その女性は続けて言った。
「しかし、我々冒険者ギルドには絶対的な方針があり、それはどの国にも平伏しないことです。したがって、その国で指名手配されていても他の国でされていないのであれば登録が可能となります。これは国によっては悪法もあることから、その処置として他国での罪は問わない決まりがあるのです。それと、冒険者になってからの罪は自己責任となります。」
職員の言葉で俺達がこの国で冒険者登録をすることが不可能なことが分かった。つまり、俺達が通常の手続きで国境を越えるのは無理だということだ。
「ねぇ、どうするつもり?」
少女が小声で聞いてきた。
俺は職員に向かい、「ちょっと仲間と相談したいことがあるので」と、いったんその場から離れた。
少し不審かもしれない行動であったが、職員は笑顔でこちらを見ているだけだった。俺たちは念の為、ギルドを離れた。
「参ったわね。これでは強行突破しか手が無さそうね。」
「あぁ、山脈の高レベルモンスターを突き抜けるという突破法だがな。」
「・・・コウ様、やはり巨大壁を夜に飛び越えるというのも無理ですかな?」
確かに、山脈を越えるよりは危険が少ないだろう。特に、巨大壁さへ一瞬でも抜ければ隣国である。この国もその時点で容易に手出しは出来ないはずだ。しかし、
「さっき見た感じだと、ここは王都の外壁より警備がきついし高い。難しいだろうな。」
結局、捕まればそれまでだ。
「他に方法を探すしか無いようね・・・」
彼女がそう言った後、突然後ろから声を掛けてくる者がいた。
会社の仕事が忙しすぎて、更新が遅くなる予定です。御免なさい(´;ω;`)




