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大壁都市(1)

俺たちは3日間、荷車に揺られながら小さな村々を経由し、田舎道を進み続けて目的の山脈付近まで到達したのだった。

その大きな山脈の頂上は雲の中をも突き抜けていた。その頂きには白い積雪が広がっているのが見える。山脈に近づくにつれ外気も下がり始めて肌寒くなった。俺達は、黒い魔術師用のローブを頭上から一層深く被って外の様子を伺った。

山脈の麓が目前まで差し掛かった頃、それは見えてきた。


「おいおい、マジか・・・・」


「あら、なかなかのものね・・・・」


「ほぉっ、これはこれは何とも!」


俺たちの目前に迫る壁のように巨大な山々の繋がり、その山間に深い谷があった。その谷を塞ぐようにし、大ななダムをも遥かに超える巨大な壁が見えてきた。壁の下には、隣接した黒色の高い城が続いている。その黒城の景観は美しいと言うよりも凛々しかった。細長い黒曜石を束ねたような黒城は、見た目や遊びを廃し、機能を追求したしたかのような作りであった。


「あれでは飛行による突破は無理そうだな・・・」


「良かったわね。これで方法が絞られるもの。」


「そうですな、話し合いの手間が省けましたな。」


その圧倒的な景色に驚愕しつつ、執事は表情を変えずに、俺と少女は顔を引きつって声を発した。

荷馬車が更に近づくと、黒城の眼下に広がる大きな都市が見えてきた。その街並みに高い建築物は無い。しかし一つ一つの建物は大きく数も多い。そして都市周辺には外壁も無く、警備兵の姿も見えなかった。


「随分と都市の警備は手薄だな。」


俺の言葉に御者は自慢げに話す。


「あぁ、この街は巨大壁に絶対の信頼をおいているんですよ。だから街の警備は重要に考えていないんです。まぁ時折、兵が巡回しているから問題なんで起こらないですから。それに他国の防衛に特化させているため、こちら側まで手が回らないって噂もあるんですよ。しかし、あの巨大壁が突破されることはまずないでしょうな。」


「大きな建物が多いのはなぜ?」と少女が訪ね御者は答える。


「あれは宿谷と倉庫です。宿屋が多いのは壁を通過するのに日数が掛かる事も多いからです。大きな建物が商人達や貴族の倉庫です。あそこに貿易の品を一時的に保管しているんですよ。この都市に来るのは商人や冒険者が多いですが、以前は国境を超える為に様々な人が集まったました。しかし、ここ数年は審査も厳しくなって一部の人間しか通れなくなったのです。通過するにはかなりの手続きや日数が必要らしいです。ただ・・・・」


自慢げに話していた御者は急に恐そうな顔をする。俺は先を促すように聞き返した。


「ただ・・・?」


それに御者は静かに続けた。


「私が言ったって事は秘密にして欲しいんですが・・・同行者から噂話で聞いたことがあります。どうやら裏ルートが存在するらしいのです。私も詳しくは知りませんが、どうしても壁を越えたい旅人を手助けしてる連中がいるとかなんとか・・・あくまで噂話ですが。」


そこで会話は止まり、俺たちは顔を見合わせた。そして少しだけその奇妙な話しが気になった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


俺達は都市の入り口で御者に礼を言って下車した。そして徒歩で都市に入った。歩きながら見渡すと確かに大きな倉庫や宿が多くあった。そして目前の都市の都道を歩く者は冒険者や荷馬車を引く御者が多い。更に目に付くものがあった。それは巨大な壁の下、黒城近くに設置された小さな門である。小さいと言っても、軽く馬車二台が並んで通れる大きさはあった。そして門からアリの行進の様に長い人の列が続いていた。

更に門に隣接した兵士の詰所があり、常時6人もの兵士が屋外で目を光らせていた。その厳重さは王都の門番の比では無い。


「かなり厳重だな。」


「そのようね。やっぱり強行突破は無理ね。冒険者ギルドに行った方が良いかと思うわよ。」


方向を変え都市内を散策していると、何度か巡回する兵士を見かけた。最初は兵士が接近する度に警戒したが、巡回の兵士達は何かを探っているというよりも、ただ都市を警備している感じであった。


「私たちを捜索しているようではないけど、この兵士の多さは心配だわ。」


「もしも見つかれば厄介ですな。下手をすれば全員を敵に回さなければならないでしょうな。」


「今までの村や街と違って比較にならないな。あの装備だと練度も高いだろう。戦って負けることはないだろうが数で押されれば危険かもしれない。悪いが念の為、野宿も覚悟した方が良いだろう。」


「我々の心配をしているのならば無用ですぞ。野宿に備えて水を補給しましたし、桶も入手したのですからな。」


「爺、それは私の事を言っているのかしら?」


今回の俺たちは予め街でいくつかの生活品を補充していた。俺のポケットには元々、最低限のものだけは備わっていた。しかし実際に生活してみて初めて分かることも多かった。その反省から買い足したのだ。

因みに・・・桶と水はルリ用である。


俺達はしばらく都市内を歩き続け、中央広場の近くで目的の建物を発見した。3階建ての大きな建物であり、壁には『向かい合う龍』の看板が掲げられていた。それは御者から旅の途中で聞いた通りの姿であった。その建物こそが『冒険者ギルド』であった。


「御者が言っていた通りだな。あれが冒険者ギルドで間違いないだろう。ただ、俺達の事が既に伝わっているかもしれない。出来る限り危険は抑えた方がいいだろう。まずは俺一人で先行して様子を見ようと思うがどうだ?」


その言葉に、少女が呆れたように言った。


「あなたね、ここまでこれば一緒よ。一人よりも三人で様子を見た方が緊急時に対応できるわ。それに、もしも貴方が捕まったら全員がアイテムも使え無くなるのよ。だってそのアイテム収納、残念なことに貴方と一心同体ですもの。だったらそのリスクを避けた方が今後のためだわ。それと先に言っておくけど、貴方のそのパンツを渡されても困るわよ。」


それに執事が頷きながら続く。


「お嬢様の言う通りですぞ、コウ様。水臭いではありませんか。ここまでこれば我々は一心同体ですぞ。そのアイテム収納のように。」


近頃感じるが、この二人はどうも俺がアイテム収納をポケットに設定した事に少々不漫があるらしい。確かに洗濯時、水が収納され続けて洗いづらいとか、簡単に人に貸せないなどの不便はある。しかし、そのお陰で今此処にあるのも事実なのだ。もう少し称賛してくれても良いのではないだろうかと、少し落ち込む


俺たちは黒のローブを頭まで深く被り、いつでも行動を起こせるよう執事はステッキを忍ばせ、少女は傘を布で包み腰に下げる。そして、注意深くギルドの門を潜った。


週間アクセス数(ユニーク数)がもう直ぐ『100』を突破しそうである・・・ (;´Д`A タイトルが 『・・・』の小説を読もうと思う強者が多のは何故だ?・・・自身なら「スルー」間違いなしだ・・・ヤバイな、本気で 「「「タイトル何とかしないと・・・・」」」

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