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街中(1)

俺たち3人は夕焼けの草むらの中から、顔だけを出し遠くを見つめていた。


「街だな。」


「街ね。」


「街ですな。」


俺たちの視界の先、300メートルくらいだろうか、そこには木の柵に囲まれた小さな街があった。周囲には十数件の民家が密集し、その奥に数は少ないが数軒の高い建物が見える。恐らく小規模の街だろう。


「どうしますかな?」


執事の質問は、街に入るかどうかということである。俺たちが目指している山脈の麓まではまだ目測だけでも4日以上かかるだろう。実際はもっと掛かるかもしれない。それまで街を避けて行くこともできるが、物資も無限ではないのである。それに、これは情報を手に入れる貴重な機会でもある。


「ねぇ、立ち寄りましょう。既にかなりの距離を踏破したわ。城の奴らだって徒歩でここまでの距離を進むとは思っていないわよ。恐らく奴らはポケットの収納ボックスのことを知らないはずですもの。私たちの物資力は想定外のはずよ。」


彼女の言っていることは正論であった。ただ・・・


「どうしたんだ?何だかやけにあの街に行きたいような口ぶりだな。まぁ、山脈も近いからそのための情報を集めたいのも分かるが・・・それに、今の俺たちならもし見つかっても全力で走れば逃げ切れる可能性も高いが・・・」


俺たちはここ数日、歩きながら戦闘を繰り返した。くしくも、その行動は当初の予定であるレベル上げと合致していた。睡眠と歩行以外の全ての時間を戦闘に費やしたと言える。その結果、俺たちの歩行速度や体力は明らかに上昇したと実感できた。


「コウ様、察して下さい。お嬢様は女性でありますぞ。」


「どういうことだ・・・・・?」


「爺!何も言わないことね!」


何故か彼女は顔を真っ赤にして怒鳴った。

彼女の強い要望もあり、俺たちは細心の注意を払いながら街に入った。

街の中を歩きながらも周りを警戒する。街の人間が少しでも不審な表情や動作をすれば、直ぐに走って逃げられるようにだ。

 街には仕事中の人や荷馬車、冒険者の姿がちらほら見える。そして、俺たちの警戒と裏腹に誰も注視している者はいないようだ。俺たちはまず、街の様子を見て回った。


「ねぇ、あれ・・・・」


注意深く警戒していると突然、少女が隣でクイクイ袖を引きながら建物を指さす。その建物は二階建ての少し大きな建物で、窓明かりと人声が漏れ出ている。そして扉の上にぶら下がっている木札には『酒の絵』が書かれている。


「おっ!あれってもしかして、酒場か!」


「そのようね。まずはあそこで情報を集めましょう。」


「私も異論ありませぬぞ。」


俺や少女が直ぐに反応したのは、酒場が情報を集める重要ポイントだからだ。他にもギルドや情報屋なども考えられるが、世間話や噂話しなど、幅広い情報を簡単に入手するなら酒場が一番だった。

早速、中に入ると20人近い人で賑わっていた。多くが男性であり、中には鎧を着た冒険者風の者、陽気に飲んでいる者、端で静かに飲酒している者など、酒場の風景そのままの様子であった。俺達が入口で見渡していると、身体の大きいエプロン姿のおばさんが直ぐに話しかけてきた。


「やー、あんた達この店は初めてかい?空いている席に座るといいよ。それか相席なんていうのもオススメだよ。ただ優しそうな奴の机にするんだよ。さっ!入った、入った!」


後方から、おばさんの体で押されるように店内に入った。


「ねぇ、せっかくだから相席にしましょう。その方が話も聞きやすいと思うわよ。」


「そうだな、でも分かっているだろう。」


それは、もしも何か問題が起きた時は直ぐに逃げ出すぞ、という合図であった。

「えぇ、分かっているわ。」と、少女は楽しそうな声で答える。俺たちは辺りを見渡し、笑顔で静かに雑談している人達の机へ向かった。その机では、髭の長い3人の年老いた男達が酒を飲んでいた。そこで少女は両手を後ろに組み、笑顔で話しかけた。


「ねぇ・・おじ様方、私達も相席よろしいでしょうか?」


その言葉と彼女の仕草に、少し驚いた顔で此方を見ていた彼らも直ぐに満面の笑顔で答える。


「ほっほっほ。お嬢さん見たいな若い別嬪さん、断る輩などいないぞ。君達好きに座るといい。そうだろう皆?」


「あぁ、ちげーねぇー! ちげーねぇー!」


とても感じの良さそうな人達だ。どうやら選択は間違いでないらしい。

俺達が着席すると直ぐに、見計らったかのように先ほどのおばさんが話しかけてきた。


「ところであんたら、せっかくの酒場だよ!何頼むんだい?」


机上に目を向けると、文字が塗られた木の薄い板が置いてあった。

そこで初めて俺達は気づく。文字はゲームと似ているようだが、本来ゲームでは自動で日本語に翻訳され、メッセージウインドウに表示されていた。よって、俺達には理解出来ないのである。

すかさず、執事が気をきかせる。


「そうですね。お勧めは何でしょうか?」


「そうさね、酒ならハニービールだね。食事なら、この付近で取れた山菜を使ったシチューだよ。値段は1杯200シークエンス、1皿は400シークエンスだよ。」


・・・何故か今、聞き慣れない単語が聞こえたような気がする。シークエンス?確か、ゲーム内の金銭はガリオンだったはずだ。俺は聞き間違いの可能性も疑い聞いてみた。


「えっと・・・いまシークエンスって聞こえたんですが、それが通貨単位ですか?」


それに、おばさんは不思議そうに答える。


「あぁ、そうだよシークエンス、この国の通貨だよ。もしかして、あんたら国外の旅行者かい?よくここまで来れたね。物物交換でもしてたのかい?でも悪いが、内の店ではシークエンスでしか支払いできないよ。」


俺は迷ったが、もう直ぐ山脈も近い。それにこれからの事もある。何時か何処かで必ず確認する必要があると考え、ポケットの金貨を取り出し見せた。それを、おばさんは驚いた顔でみる。


「あんたそれ金貨かい?結構な金持ちだね。でも見たことない金貨だね。本物の金貨なら同量の金貨と換金できるよ。ただし手数料がかかるわよ。」


俺達はその発言で、自分たちの金銭が国の通貨でない事を確信する。言葉が共通でゲームに近い法則の世界。だから自然と通貨感覚も同じだと思い込んでいたのだ。その瞬間、俺はあることに引っかかりを覚えた。


「なあ・・・ルリ、確か前に金貨を使ったことがあったよな?」


そこで彼女は少し考えてから、思い出したのか急に険しい顔で答える。


「えぇ・・・そうよ。初日でしょ・・・確かあのとき、商店の人から値段を聞いたらガリオンで言っていたから・・・私てっきり共通貨幣だと思っていたのよ。」


その言葉に俺は驚愕した。どいうことだ?この店のおばさんはこれが外貨だという。そして、彼女が都市で花火を買った時に使ったのはガリオン金貨だ。店主はそれを普通に受けったという。可能性として、その商人が何処かで見たことがあったのだろうか?しかし、店主が自らガリオン通貨で話しかけたのは何故だ・・・・


えぇっと・・・(;´Д`A ここから謎が謎をを呼ぶ展開になっていきます。それはもう、迷宮入りするんじゃないか?っていうくらい、謎のダンジョンに潜っていくのです。きっと筆者が、最下層まで無事生きていたら伏線回収はするはず・・・でも・・途中で死んだら・・・(´Д`;)・・・謎は永久に闇の中です・・・・あぁ・・筆記が辛い・・ (´;ω;`)・・・筆者はしばらく『全体原稿』書き直し(推敲)のため『休みます』・・多分一週間後に続く・・・

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