表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と精霊踊る育成イベント 十四月目

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

965/2525

偽善者と育成イベント終盤戦 その04



≪試合終了! 勝者──ナース選手!≫



 歓声と共にブーイングが上げられる。

 だがその片方は、ナースに向けられているものではない。


 次々とアイテムが俺の下へ飛来する。

 そのすべてを風精霊に弾いてもらい、ナースが来るのを待つ。



『けいやくしゃー!』


「ああ、よくやったな」


『うんー!』


「これで残るは準決勝と決勝だ。だが、相手は強者揃い……本気を見せるときだな」



 おー! という勇ましい返事を聴く。

 ここまでナースは快進撃を繰り広げ、ちょうど二回戦を勝利したところだ。

 球体の精霊ということもあって、一回戦は油断されて……二回戦は魔力にのみ対策が施された。


 しかし、上級精霊であるナースにそんな付け焼刃の策が通じるわけもなく。

 どちらの試合も勝利し、見事準決勝へ進出することが確定した。



『だいじょうぶー?』


「なんのことだ?」


『それー』


「…………」



 今も降り注ぐアイテムの数々。

 誰かが用意しているのかと疑問に思えるほど、ずっと落とされているのだ。


 理由はとっくに理解していた。

 ならば、俺は俺らしくあろうじゃないか。

 語彙力だけでなくポージングに関する情報もあまりない俺なので、いつものように大袈裟に両手を広げると──



「ふははははっ! 精霊も倒せぬ雑魚が、ずいぶんと驕ったものだ! 所詮は祈念者、信念も覚悟も持たぬ低俗な人形……神の奴隷ごときが俺の道を阻むなど烏滸がましいわ!!」



 清々しいほどのブーイング。

 ナースに向けられていた歓声は、今や俺を罵る熱いラブコールになっている。

 具体例を挙げるなら、ナースを解放しろ系の発言とかがあるな。



『だいじょうぶー?』


「気にするでない。貴様の契約者だぞ?」


『うんー……』



 俺たちの会話が盗聴や読唇される心配は、予め防いであるので問題ない。

 厨二病乙、といった発言も減ってきた。

 この調子で勝ち進んでいけば、そのうち新しい二つ名を得ることもできるだろう。



「ナースよ、休息に向かおうか」


『うんー!』



 投擲スキルで投げてくる奴も居るな。

 結界が受けるダメージからそんなことを考えながら、俺たちは控え室に向かっていく。



  ◆   □   ◆   □   ◆



「まだ進化はせぬか」


『…………』


「構わぬ。結果がどうあれ、貴様は確実に強者との戦闘経験を積んでいる。あとは理想の形を定めるのみ……今のままでも充分に強いが、聖霊は確実に別の形が必要だ」


『うぅー』



 ユラルは生まれた時からあの姿だったらしいし、ドゥルは人形に組み込んだので実際はどうか分からない。


 だが精霊って、少なくとも上位の精霊って丸い球体のままじゃないだろう?

 精霊王とかがただの球体です、と言われて大衆はそれを崇めたくなるか? いや、そうはならないだろう。


 今の時代、スライムだって人化している。

 そんな中、すでに人型などの特殊な姿を確立している精霊が今さら球体?


 いちおうでも俺は【色欲】にして【傲慢】なる者──否が応でも変化はしてもらおう。



「どうなりたい、といった姿はないのか?」


『……たいよー』


「今と同じままでも成れる。もっと他に、理想の姿などだ」


『うーん……』



 待てど待てども、ナースから明確な返答は聞こえてこなかった。

 すでにナースは俺の契約者、そのことに苛立ちを感じることはない。

 だがしかし、少しだけ寂しくなる。



「貴様には望むべき姿がないのか」


『…………うんー』



 絞り出すような声が伝わってきた。

 何がそうさせるのか、それは分からない。

 だが思いだせば、その理由もどこかで教えてくれていたかもしれないと思う。



「貴様は何も思わない下級精霊だった。そんな貴様を拾ったのだが……今なお貴様には、当時の自分が照らし合うわけか」


『うんー』


「やはりか。さまざまなものを見せてきたつもりだったが、それでは貴様を変えるには足らなかったのだな」



 太陽、というより日の出には満足してくれていたようだが。

 あれと他の共通点を探した方がいいか?



『──ナース選手! 準備の方をよろしくお願いします!』



 だが、それも一旦中止のようだ。

 扉越しに聞こえるスタッフの声が、間もなく準決勝のスタンバイを要求してきた。



「ナース、今はまだいい。俺も焦りすぎたのかもしれない」


『けいやくしゃー?』


「貴様はまだ子供だ。契約者として、そして親としても俺が面倒を見よう。だがその対価は、貴様自身の努力で支払ってもらおう。俺にはできぬことを、行うことでな」


『うぅー』



 そういえば最近は、分からないと言うことが無くなってきたな。

 できるだけ自分で俺の言葉を解釈しようと励み、それでも理解できなかった場合のみ小さく唸り声を上げる。


 これもまた、成長なのだろうか。

 ずっとナースを見てきたお父さんポジとしては、喜ばしい限りである。



「さぁ、次は誰が相手であろうな。どのような敵であれ、俺が居る限り貴様に敗北など決してありえぬ!」


『おー!』


「行くぞ! 貴様の優勝という未来を、その手に掴むため! 俺の望むべきものを、奪い取るために!」


『おーーー!!』



 そんな感じでテンションを高めながら、俺たちは控え室を出て待機場所へ向かった。




一回戦と二回戦はカットです

つまり、準決勝と決勝のみですね……さて、相手は誰でしょう?


p.s.

寒い日々が続いていますね

作者は(色んな意味で)窓際で活動しているせいか、足が冷えて困っています

寝る前までは靴下を履くなどして、対策はしてますが……暖房を使わなければ乗り越えられない、というのはなんだか


訳:感想来ない!

誤字脱字報告で赤文字だと脳を誤魔化しても、やっぱり限界だ!

だけど、感想が欲しいというのも……(チラッ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ