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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と精霊踊る育成イベント 十四月目

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偽善者と育成イベント中盤戦 その09



 ナースはメルスの指示を受け、初めから全力一歩手前の魔力の解放をしていた。

 虚空の属性魔力を使わない、無属性の精霊としての最大限の力……それが今、リヴェルによって切り払われた。


『むー、こうだー!』


 こちらに向けて走ってくる黒色の剣士に向けて、さまざまな形にして魔力をぶつける。

 だが、そのすべてが一瞬の内に消滅し、動きを止めることすらできない。


 彼の持つ二振りの魔剣、その力を攻略しない限り目的を成すのは厳しかった。


「精霊よ、貴様に罪は無い。大人しくこの場から去るのであれば、おれとて原初の流れに還すことなどせぬ……魔王から放れろ」


『やだー! けいやくしゃはーナースといっしょー!』


 一度目と同様に、弾幕の雨を放ちリヴェルの動きを止めようとする。

 だがそこに一つ、虚空の属性魔力を籠めた一撃が混ざっていた。


「何度やっても無駄だ! おれのこの力は絶対──【即応反響】!!」


 光速の剣舞が魔力を霧散させていく。

 コンマ一秒の速度で減り続けている魔力の雨こそ、虚空の魔力を使うカウントダウンとなっていた。


「おれの魔剣は最強無敵、誰にも止めることなんてできな──っ!」


『やったー!』


 虚空の魔力に二振りの魔剣が触れた途端、強烈な光がリヴェルを襲う。

 無属性の魔力だと思っていた神代の力は、吸収できないほど膨大な魔力をその一粒の中へ凝縮していた。


 相殺もまた、不可能である。

 虚空の力とはただの魔力と一線を()す、荒れ狂う虚無に繋がる無敵の力。


 ──虚ろな(から)を生みだす力の本質は、絶対的な消去能力にあった。


「……油断するなよ」


『ほえー?』


 だが後ろから、メルスは忠言する。

 倒したと思ったのに、どうしてそのようなことを言うのかがナースは不思議だった。



「最後の一瞬まで、決して容赦をするな。たとえ弱りかけであっても、死んだ姿を見たとしても……プレイヤーは何度でも蘇る。常識が通用しない埒外の存在に、普通という概念は意味を成さない──このようにな」



 立ち込めていた煙の中に、剣を構えて立つ男のシルエットが映る。

 満身創痍、といったボロボロの姿ではあったものの……その目には不屈の闘志が宿っていた。


「貴様の忠義、見させてもらったぞ。だが、おれの力はあらゆる攻撃を反射できる」


「……ああ、だから『リヴェル』なのか。その力、どこで手に入れた」


「長き修練の果てに」


 短くそう告げると、リヴェルはついにナースのすぐ近くまで向かってきた。

 とっさに魔力の膜で防御するが──


「おれにその手は、悪手だぞ」


『まだまだー!』


「……チッ、今の力か!」


 ただの無属性魔法であれば、相殺・吸収されて内側に居たナース諸共すべて斬り裂かれていただろう。

 だが、ナースが用意したのは虚空の属性魔力で生みだされた高純度の結界。


『とっしーん!』


「そのまま動くだ──どぶぅっ!!」


 勢いを付けて吶喊するナース。

 固有スキルの力も借りて、どうにか攻撃を当ててはいたが……高濃度すぎる虚空の力を抑えきることも敵わず、リヴェルの肉体ははるか高く空まで舞っていった。


  ◆   □   ◆   □   ◆



 ──魔法、関係ねぇじゃねぇか!


 空高く飛んでいった厨二剣士を見ながら、俺はそう思った。

 結界を纏っての突進って、もうほとんど物理攻撃だよな。



「まあ、しかし……よくやったな」


『えへへ~』


「褒美は何にしようか。貴様は言ったのだからな、俺と共に居ると」


『!』



 おやおや、自分の台詞(セリフ)なのにもう忘れてしまったのかな?

 ギリギリの状況というモノは、生命に本音というモノを曝け出させる。



「──契約者といっしょ、だったか? つまり貴様は、それを宣言したわけだ」


『~~~~!』


「ふっ、気にするでない。貴様も進化をすれば、もっと俺の役に立つだろ」


『──けいやくしゃのばかー!』



 ほんの少し、ダメージもならない程度にポスッと魔力をぶつけてから、ナースは俺の中へ入り込んでいった。



「まったく、いい精霊を見つけたよ。だけどまあ……今度はこっちの相手をしないと」



 同時に、大きな水飛沫が上がる。

 間欠泉が噴き出したかのように、天高く水が昇っていく。


 先ほど上に跳ね上げられたリヴェルが落ちた衝撃で、こうなったわけだが……絶対に痛かっただろうな。



「ちなみにだが、コイツは男だ。そこに創作物特有の勘違いは存在しない」



 その気になればシャインと同様の処置ができるが……しっかりと{感情}を操作できるようになった今であれば、わざわざそうしたことをする理由もないので放置とする。



「それに、ナースはこの戦闘で何かを得ていた気がする。経験値も手に入れたし、間もなくそこへ至る……礼はしないとな」



 お礼参り、という意味では無い。

 ついでに言えば、【即応反響】や二本の魔剣をくれたりしたんだから……きっとコイツも悪い奴ではないだろう。



「となれば、まずは起こさないとな。叩きつけられれば気絶するだろうし。さっきの水飛沫から場所を特定して……よし、あっちの方向だな」



 厨二の患者の元へ、ゆっくりと歩を進めていった。




停導士、チャットアプリを更新しました

素で忘れてましたね……待っていた方、申し訳ありません


p.s.

花嫁以外の全作品、誤字脱字の報告機能をONにしました

これで感想に報告せずとも、作者のミスがすべて暴くことができます

……感想が寂しくなりそうですが、仕方のない事です


読み返せ、と酷な話はしません(900話超えてますし)

ですが、せめて修正した話(現在は02-19まで)だけでも見てもらえないでしょうか?

もちろん、最新話の辺りでもどこでも構いません……少しでもミスが減ることを作者は願っております

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