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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
第〇三章 偽善者の眷族

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03-17 眷族決闘 その03

加筆・修正しました(2019/09/17)



 闘いの幕は開いた。

 しかし、それは戦闘が始まったことと同意ではない。


≪おーっと、両者ともに相手の様子を窺っているのかー? 銅鑼が鳴ったというのに一歩も動かない!≫


 どちらも相手の挙動を観察し、警戒するように緊張を張り詰めていた。

 一瞬でも気を抜けば負けるのは自分、そう意識しているからである。


「……けどまあ、それはフェアじゃないな」


「「ッ!」」


「まずは一発、何でもいいから撃ってこい。先輩からのサービスってことで」


 メルスは両手を頭の上まで掲げ、瞬時に迎撃できないことをアピールしながら少女たちに声を掛けた。


 訝しげにする吸血鬼の少女(ティンス)だったが、共に戦う妖精の少女(オブリ)はそれを受け入れる。


「やろう、お姉ちゃん!」

「……そうね、どうせ何もしなくても負けかもしれないんだし、当たって砕けろよね」


「どれだけ時間が掛かってもいいから、凄いのを一発撃つか? それとも何か罠があると考えて、牽制の一発にするか? さて、二人の答えがどんなものか──」


「──“妖精招来フェアリーインビテーション”!」

「“挑発(タウント)()(ロウ)”」


 言葉を遮るように放たれた二つの事象。


 半透明の門が少女たちの後ろに出現し、そこから妖精たちが飛びだしてくる。

 そしてオブリの指示に従い、それらはいっせいに攻撃魔法を放っていく。


 ──それに対応しようとしたとき、ティンスが使用した“挑発・劣”が機能する。


 本来ならば仲間に向けられたヘイト値を奪うスキル──挑発の劣化版として機能するそれは、ほんの一瞬でもメルスの注意を逸らすために使用され、その効果を発揮した。


「! ……なるほどな」


 魔法を迎撃しようとしたはずが、ティンスの方を向いてしまったメルス。

 何が起こったかをすぐに把握したが──すでに魔法は目の前に達していた。



 爆発音が鳴り響く。

 土煙が立ち込め、少女たちの視界を奪う。


 神経を研ぎ澄まし、その先に居るであろう対戦相手の様子を窺い──そこに何もいないことに気づく。


「「ッ!?」」


「まず一つ、お前たちはどうやってこの世界にやって来た?」


「「ッ!」」


「そう、空間魔法。たとえ注意が逸れようと逃げる手段はある。……緊急脱出(エスケープ)とかな」


 メルスは不意打ち対策の一種として、反射的に思考詠唱スキルを用いて魔法を発動できるように動作を叩き込んでいた。


 その動作とは──瞬時に“時間減衰(スロウ)”を発動し、思考に余裕を持つというものだ。

 時間に余裕があれば、物事を冷静に判断することができる。


 今回の場合、ティンスの“挑発・劣”の影響から脱してから対応する時間が無いと判断し、“空間移動(ムーブ)”で回避行動を取った。


「まあ、防御してもよかったけど──っと」


「チッ、外したか」


 ティンスはメルスがペラペラと話す様子を隙と見て攻撃したが、それはあっさりと回避されてしまう。


 そのままバックステップを踏み下がろうとするメルスだが、再び魔法の雨が降り注ぐ。


「いけー! ……ふぇ?」


「これが防御だな──名付けて混沌壁(カオスウォール)


 妖精たちの放つ高威力な魔法の数々は、生みだされた禍々しい巨大な壁に阻まれる。


 基本七属性を強引に束ね、築き上げられたそれは──触れた瞬間に妖精たちの魔法を消滅させていく。


「観客へのアピールだから、これはあんまり使わないが……かなり燃費が悪いんだよ。二人とも、何もしないと満足してもらえないから何かやってくれよ」


「……オブリ、やるわよ」

「うん、やろう!」


 オブリは妖精たちに頼んでティンスに補助魔法を掛けてもらい、そのうえで自身も付与魔法によって彼女を強化する。


 高められた力を以って、地面を蹴りつけ勢いよく剣を振るう。


「“切斬(スラッシュ)”!」

「“切斬(スラッシュ)”」


 互いに武技を発動し、剣を重ねた。

 ……つい先ほどまで、帯剣もしていなかったメルスがである。


「これも空間魔法……と言って誤魔化してもいいが、正しくは武器換装というスキルだ。複数の武器を使おうとする奴なら必須のスキルだと思うから覚えておいた方がいいぞ」


「ええ、最初から想定済みよ。スキルリストに入っていたじゃない!」


「おっと、それを忘れていた」


 少女たちは予め、メルスの使用する大半の一般(ノーマル)スキルを把握していた。

 眷族の恩恵である能力共有、その共有リストを見ることで何があるか調べられるのだ。


 だが、それ以上にスキルを保有していることは察している。

 故に警戒心は失われることなく、驕らず剣戟が振るわれていた。


「“氷矢(アイスアロー)”!」

「“無矢(ニルアロー)”」


「“闇薙(ダークモウ)”!」

「“切斬(スラッシュ)”」


 オブリが死角から魔法を放とうと、ティンスが武技を叩きつけようと──メルスは最初期の魔法や武技だけでそれらを相殺する。


 派生魔法や属性武技に威力が劣るはずのそれらは、適切な量のエネルギーを籠めることによって相殺を成していた。


「いちおう言っておくが、今の俺のステータスは調整してある。本来の四割程度、二人よりほんの少し格上ってところか? オブリの鑑定で視れば、そんな評価が出るぞ」


「……うん、本当みたい」


「それで、わざわざそんな舐めプをしていますよって自慢して──何が言いたいの?」


 その言葉を聞き、待ってましたと言わんばかりに高々に右手を掲げ指を鳴らす。

 するとスポットライトが再び降り注ぎ、メルスへ注目が集まる。


「イッツア、エンターテイーメント! 盛り上がっていこうぜ、アリーナーーー!!」


 調教された信者たちによる大歓声。

 半ば白けた表情を浮かべる吸血鬼とわくわくした瞳を輝かせる妖精を置いてけぼりに、偽善者は両手を横にバッと広げ叫ぶ。


「縛って封じて制限掛けて、足掻けもがけよ挑戦者! さぁ願え、さぁ求めよ──舐めプの果てに勝利を得よ!!」


 そう告げた瞬間──投影装置が映しだす映像が切り替わり、文字が現れた。



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        封印

 好きなものをお選びください──選ばれた系統スキルが封印されます


    1.武術スキル封印

    2.魔法スキル封印

    3.身体スキル封印

    4.技能スキル封印

    5.特殊スキル封印


[一定時間、『メルス』は指定した系統スキルが使用不可となります。その間、『ティンス』と『オブリガーダ』が指定した系統スキルを使用しなかった場合のみ、時間経過後も『メルス』の系統スキルを封印します]

[制限時間はランダム。十秒から六十秒の間で算出されます]

[判定終了から六十秒後、再び封印する系統スキルを選べるようになります。ただし、一度選択した系統スキルは不可能です]

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