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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
第〇三章 偽善者の眷族

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03-11 眷族特訓 その04

加筆・修正しました(2019/08/06)



 ノイズのお兄ちゃんが魔物を呼んだ。

 なんだか悪役っぽいけど、わたしたちが強くなるためには必要なことなんだって。


 数はわたしとお姉ちゃんの分で二体、そう教えてくれた。


「えっと──“鑑定”!」


 お兄ちゃんから借りたスキルは、上級鑑定スキル……金色のお姉ちゃんが教えてくれたことだけど、鑑定スキルを含めて、『視る』スキルはとっても大事みたい。


 よく分からないけど、『万象を見通すことができれば、望む因果を導ける』って教えてくれたんだ。


 だからお兄ちゃんのスキルの中で、一番分かりやすい上級鑑定スキルを借りた。


===============================


 名前:無し

 種族:人形Lv20[迷宮魔物]

 活動:地上 反応:受動 強さ:格上

 属性:× 耐性:×


===============================


 わたしが使っている普通の鑑定スキルよりも、いろんなことが分かった。


 他にも、わたしたちが使っているみたいなステータスに切り替えることができるみたいだけど……そっちはちょっとしか見れない。


 そのことをお兄ちゃんに訊いてみると──


「鑑定にしたんだね。普通に魔物を見るだけなら上級鑑定だけでもいいんだけど、もっと細かい情報が知りたいなら、他にも看破系のスキルが必要になるんだよ。だから、今はまだ難しいんじゃないかな?」


 だって……もう一回調べてみたら、たしかにお兄ちゃんは看破のスキルをいくつか持っていた。


 だけど、借りれるのは一つだけ……あんまり強くできないな。


「お兄ちゃん、鑑定スキルのレベルを上げるにはどうすればいいの? やっぱりずっと使わないとダメかな?」


「鑑定はとにかくいろんなモノに使うことも大切だけど、視れないモノを視ようとすることが、鑑定スキルの本質だからね」


「?」


「知りたい、そう思うことが大切なんだよ。どんなに分からないことでも、その想いがあればきっと視れる──端的に言えば、分からない情報を知れた時、鑑定スキルはより早く成長していくってことさ」


 そう言ってお兄ちゃんは指を鳴らした。

 するとわたしが鑑定を使った人形に、とっても黒いナニカが吸い込まれていく。


「可能な限り強力な隠蔽を施したよ。鑑定をしてみて」


「う、うん──“鑑定”!」


 言われた通りもう一回人形を視たけど、お兄ちゃんが隠しているからか、真っ黒に塗り潰されて分からなかった。


 ほんの少しだけ、隙間から視えることもあるんだけど、そこも『?』になっている。


「二重の隠蔽だよ。まったく視えないようにする隠蔽と、どういった内容かが分からない隠蔽。少し難易度が高いけど……鑑定を自分に使ってごらん」


「──ッ! もう上がってるよ!」


 お兄ちゃんのお蔭で、もう鑑定のスキルがレベルMAXになっていた。

 すぐに進化させようと思ったんだけど……お兄ちゃんがそれを止めてくる。


「スキルポイントはどれくらいあるかな?」


「えっと……あんまりないみたい」


 具体的な数を教えると、お兄ちゃんは何やらぶつぶつと呟く。


「……まあ、こうするかな? オブリちゃんには少し、手伝ってもらうよ」


「うん、なんでもやるよ!」


「なら、少し手を繋いでくれるかな?」


「えっ、いいの?」


 男の子と手を繋ぐのは、好きな人とじゃないとダメだってパパが言ってたけど……お兄ちゃんはわたしのことが好きなのかな?


 ちょっと分からなくて戸惑っていると、離れた場所に居たティンスお姉ちゃんがこっちに駆け寄ってくる。


「ちょ、ちょっと、オブリちゃんに何をする気なのよ!」


「何って……手を繋ぐだけだよ?」


「そ、それがダメなんじゃない! いい、オブリちゃん。男の人と手を繋ぐのは、本当に好きな人だけにするのよ」


「……お兄ちゃんは、わたしが嫌い?」


 お兄ちゃんと、いっしょにお姉ちゃんが突然胸を押さえて苦しそうな顔になる。


「「うっ!」」


「ど、どうしたの!?」


「……オブリちゃんのことは好きだよ。だけどね、好きか嫌いかで判別できない関係もあることを覚えておいてね」

「オブリちゃん、そういう訊き方を他の所でしちゃダメよ。いい、お姉ちゃんとの約束」


 二人とも、大きく深呼吸して落ち着いてからこう言ってくる。

 よく分からないけれど、きっと大切なことなんだろうから覚えておかないと……。


 少しだけ早く元の状態に戻ったお兄ちゃんは、わたしの前で傅いて手を差しだす。

 なんだか物語の王子様みたいで、わたしもお姫様みたいな気分になっちゃう。


「さぁ、オブリちゃん。どうか私めの手を握り返してください……説明をするなら、これはちょっとだけお得なことをするために必要なことなのさ」


「うん、分かった」


 言われた通り、ゆっくりと手を載せる。

 するとお兄ちゃんの掌がほんわりと温かくなっていき、それがわたしの方へじんわりと伝わってきた。


 全然嫌な感じはないし、逆にもっと温かくなりたいって思える。


 だけど、いつの間にかその温もりが失われたと思ったら、お兄ちゃんの手はわたしから離されていた。


「あっ……」


「オブリちゃん、どうかしたの? 何かされたならすぐにこのノイズをぶん殴るけど」


「それを本人の前で言うのかい!? いちおう私は、君たちの上司なんだよ?」


「上司が間違った判断をしたなら、それを正すのが部下の役目って教わったもの。だからダメなロリコン上司を正常にするため、私は悲しみの拳を振るうのよ」


 ティンスお姉ちゃんの声にハッとして、自分がボーっとしていたことに気づく。

 とっても温かくて、ずっと微睡んで痛くなる夢みたいな時間だったなぁ。



 レベル0でのスキル習得とは、外部習得したもの(装備品やアイテムによる一時付与)のようなもの……使い続けることで、スキル習得のリストに無かったスキルが出てくるという感じ


 ただし、装備スキルには装備固有のスキルがあるため、すべてが習得可能になるわけではない……聖武具・魔武具の大半はすべてが装備固有のスキルである


 あくまでスキルリストに出るだけであり、適正云々が変化するわけではない


 なお、スキル会得券は前に説明した通り定価にするか、スキルを習得させるもの

 しかし、結晶は使用者にスキルをレベル1で付与することができる……そのため非常に高額で取引される(ブラックな所で)

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