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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と生命最強決定戦 十三月目

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偽善者と二回戦第四試合 その02



 無詠唱ではなく、詠唱を行うことで発動する事象に関するイメージを強める。

 詠唱を省けば魔力をより多く消費することもあって、瞬時の使用が求められない場合は詠唱を行う場合がある。


 そうして無詠唱スキルを持つ者であれば、これを巧みに使い分けて戦闘を行っていく。


「──“紅蓮獅子(ブレイズレオ)”」


 だが、メルスの眷属たちはその常識に当て嵌まらない。

 詠唱中に発動を阻害されることを防ぎ、その兆候からどういった魔法を使うのかをバラさないため、必ず無詠唱を用いる。


 ……無詠唱スキルはかなり希少なのだが、独自の方法によって後天的に習得させることが可能だったからだ。


「先の試合で用いた魔法か……甘い」


 杖として振るわれるレーヴァティンは、炎系統の事象に大幅な補正を施す力を持つ。

 そのため杖から飛びだした獅子は、一回戦で放ったものより巨大であった。


 ネロマンテは静かに剣を構えると、燃え盛る獅子に向ける。

 すると一瞬だけ剣が輝き──舞うように動いたネロによってバラバラに獅子を刻む。


 その腕前は達人級。

 スキルに頼るだけではない、熟練した剣士のような手捌きであった。


「何か仕掛けがあるな。ネロ、お前はいったい何をした?」


「言うわけなかろう。知りたければ、己が身で味わって知ればいい」


 死属性の魔力を注ぎ込み、ネロマンテは再度剣を輝かせる。

 炎の衣に包まれたフェニもまた、杖を剣と化して受けの構えを取った。


「では、行くぞ」


 魔力で強化した脚力で、ネロマンテはフェニの元へ急接近する。

 そして振るわれた一閃──フェニは剣を当ててそれを防ぐ。


 攻防は連続して行われていく。

 その一つ一つが確実にフェニの命を奪う一撃で、捌き切れず軌道を逸らすだけで終わったものが皮膚にダメージを与える。


 今回の特殊ルールは二人にとって大きな問題にはならないが、フェニックスであるフェニに予め設けられていた特殊ルール──相手からの攻撃では蘇られない──が働き、死なずに剣を捌く必要があった、


 だが、平時は死んで受ける闘い方をしていたフェニにとってそれは、神経をひどく使う行いでもある。


「そうか……そういうことか。先のレヴィアタンの幼生体、あれは憑依だったな。ならば同様に、別の方法でも扱えたか」


「ほぉ、意外と早かったな」


「その剣自体に宿した想念、それがネロを動かしているのか。剣であれば、握って死んで逝った者など何人もいただろう」


「正解だ」


 ネロマンテの魔剣──銘は『怨身動剣』。

 宿した剣士の想念によって、その形状と動きのプログラムを自在に変える剣である。


 今回宿したのは、とある国の凶悪犯。

 国に奴隷として使役され、強引にネロマンテと闘わされ……()(すべ)なく死んでいった殺戮狂であった。


「使用した者も、吾同様に救われぬ男であった。血を見ることを好み、魔物ではなく人を殺すことに生き甲斐を感じていたそうだ」


「ご主人が怒らぬ人材にしたな」


「……罪を重ね衛兵に捕縛されても、牢屋の中で死を生んだ。そして、吾の元へ送り込まれた。もちろん、吾が手を出すまでもなかったがな」


 ちなみにだが、これはアマルたちが挑む前の──彼らの大陸に訪れる前の話だ。

 彼らがネロマンテと出会うのは、はるか先の出来事である。



 フェニの言葉から目を逸らしながらそう答えたネロマンテは、視線を彼女に戻して剣を動かしていく。


 肉体の主導権は剣にあるものの、大まかな指示はネロが告げなければ動くことはない。

 加速させた思考を巡らせ、どういった動きでフェニを翻弄するかを指示する。 


「タネが分かっても、吾がどの死者を使って攻めるか分からねば意味がない。だからここまで話した……さて、いつまで耐える?」


「耐えれば耐えるほど、我は強くなる。いつまでも耐えてやろう」


 レーヴァティンを大剣へ変えると、その巨大な剣身を生かして防御を行っていく。

 これまでよりも重厚になった大剣は、所持者の意思に反して動くネロマンテの剣撃を丁寧に防いでいた。


「思ったのだ……要するに剣は死霊を憑りつかせ、生みだした物。直接纏ったその幼生体ならともかく、それであれば浄化できるのではないか? とな」


「……どうりで長期戦を望むわけだ」


 死属性の強化を行っていた魔剣だが、少しずつネロマンテが押され始めていた。


 フェニが握るレーヴァティンの剣身に、薄らと白い炎が宿っている。

 聖炎と呼ばれるその炎によって、憑りついていた死霊を浄化していたのだ。


「だが、浄化は無理なようだな。足掻いても弱体化、強化を阻害するのが限界なようだ」


今は(・・)、それで充分だ」


 身を焦がす炎がフェニを殺し、肉体にさらなる強化を齎す。


 禁忌魔法“心身燃焦(オーバーヒート)”──命を賭けて闘う者へ最後の祝福を与える魔法だが、再生を司るフェニックスが使うことで、本来とは違った用途で用いることができる強化魔法だ。


「我は力を増やし続ける。均衡を保っているこの状況も、やがては変化を起こす」


「……その前に、終わらせてもよいぞ?」


「できるならすでにやっているだろう。準備が必要なのか遊んでいるのか……どちらにせよ、ありがたく粘らせてもらう」


 浄化の炎が相手を弱らせ、禁忌の炎が自身の強化を、そして自前の炎が失われた生命力に再び火を灯す……三つの炎を巧みに操り、フェニはネロと闘っていた。



眷属の外伝を書こうと思えば、一人一冊分は書ける……と前に一度記述した気がします

いずれ終わったら、完結したら……と考えてはいるんですが、残念? なことに数年は作者の中に渦巻くネタが尽きない気がします

それがとてつもなくマンネリで、誰一人として望まぬ展開であろうと、作者は書くでしょう……それが作者としてのちっぽけな意思ですので


p.s.

せっかくの三連休、自動車教習があるので実質一日のみです

土曜日はディスカッションなどをやりましたね、そのさいに自身の運転を記録(レコード)したのですが……服の色が変色していて気になりました

わりとどうでもいいことを気にしたせいか、教員の説明の半分を聞き流してしまいました(笑)

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