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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
第〇三章 偽善者の眷族

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03-05 路地裏 前篇

加筆・修正しました(2019/06/24)

前半と後半で視点が変更されます



 突然だが、新規称号を見てもらおう。


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戦闘系

武術中毒(バトルジャンキー)』:武術系専用のスキル枠+1

魔法中毒(マジカルジャンキー)』:魔法系専用のスキル枠+1

身体中毒(ボディジャンキー)』:身体系専用のスキル枠+1

技能中毒(テクニカルジャンキー)』:技能系専用のスキル枠+1


最初

『初めてのダンジョンマスター』:ポイント補填効率向上


特殊

『転職マニア』:転職条件緩和

『スキルマニア』:スキル習得時、最低必要SP-1[1より小さくはならない]

『神々の注目』:???

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 すでに意味を成していないスキル枠はともかく、神気によって効率を度外視した運用ができることになった迷宮もスルーでいい。

 問題は特殊系……いや、『マニア』系は気になるけれども置いておこう。


 詳細が不明な称号──『神々の注目』。

 なんだか『■■■』なる存在に干渉されたり、邪神(の欠片)を倒したりしたが……ついに注目を浴びてしまったようだ。


 偽善者たるもの、あまり目立たずに活動していたかったんだが……さすがにやりすぎてしまったようだ。


 王都の簒奪? 国民ごとこの世界から証拠隠滅したんだから、セーフだろう。


「まあ、とにもかくにもレッツ偽善というわけでござる」


 これまでの話すべてをぶった切り、それでも優先すべきモノ──それ即ち偽善なり!


 現実(リアル)ではただのモブである俺も、この世界であればチートとも言える経験値ブーストによってそれなりのレベルと行動力を持つ。


 まあ、要するに偽善がしたいわけだ。

 今日は新たな祈念者たちのログイン初日、つまり困っている偽善対象が指では数え切れないほど現れる──素晴らしい日である。


「テンプレ的なトラブルが起きないかな? こういうときってやっぱり、揉め事の一つや二つ無いとつまんないし」


 創作物であれば、何かあるだろう。

 例えば強引にパーティーに誘うやら、突拍子もない行動を取るやら。


「別に美少女じゃなくてもいいんだよ……というか、プレイヤーが美少女だろうとあんまり意味ないし」


 そりゃあこっちに居る限りは、俺も男として喜べるだろうけど……結局のところ、という思考に至ってしまえば虚しくなるだろう。


「だから、困っている人なら老若男女問わずウェルカムだ! さぁ、誰か来てくれ!」


 そんなこんなで、今日は困っている人を探すことに専念しよう……神様、注目しているならお恵みくださいよ。






  □   ◆   □   ◆   □


 SIDE:???


 ──私には、ゲームしか無かった。


 他愛ない、どこにでもある話だ。

 中学生の頃、イジメられているクラスメイトを正義感から庇った結果、その対象が自分へ移っただけ。


 やられたこともそこまで過剰じゃない。

 周りからありもしない陰口を叩かれ、行動の一つひとつに批判を入れられる。


 殴られたり物を隠されたりということは無かったが……表沙汰にしたくない、そこまでする気はないという考えが元だった。


 だけど日々の積み重ねは、次第に学校へ行く頻度を下げさせ……登校を拒否させる。

 今に至るまで──三学年となった今でも学校へは行っていない。


 そんな中、父が勤めている会社のゲームのCBT(クローズドβテスト)を手伝っていた私にとあるゲームが渡された。


 ──All Free Online


 史上初のVRMMOにして、父が勤める会社の提携先が開発したゲームだ。

 父は学校へ行かない私を心配してか、あの手この手でそのゲームを手に入れてくれた。


『何か、きっかけになってほしい』


 そういうメッセージもあるみたいだ。

 一月遅れてのスタートではあったが、新人応援キャンペーンがあるらしいので、すぐに追いつこうと思えば追い付けるんだとか。


 同じく父が用意してくれたVR機器の初期設定やらAFOソフトのダウンロードなどをすぐに済ませると、私は内心の昂揚感を落ち着かせ──AFOを起動した。




「凄い……ここがゲームの中なの……?」


 種族やスキルを決め、スタート地点である噴水広場へ降り立つ。


 噴水に映る自分の姿が、自分のアバターである『ティンス』の──キャラ設定した種族補正を受けた──姿になったことを確認して心が躍る。


 ──ここなら、またやり直せる!


 整形みたいなことはできないけど、髪と瞳の色を変えるだけでも見た目は変えられる。

 イジメが辛さから逃げた私だけど、家から出ていないわけじゃないし、誰かとの関わり合いを嫌っているわけでもない。


 ただ、環境が嫌になっただけだ。

 善意に悪意をぶつけられ、好意に敵意を向けられる……理不尽で不条理で、当たり前で常識的な日常が。


 だから努力が結果となり、行動が成果になるゲームの世界にのめり込んでいった。

 そこは仮初の世界だけど、その在り方だけは決して裏切らない場所だから。


「えっと……まずはチュートリアルよね」


 初期設定中に説明を受けた通り、視界の端に浮かぶ[メニュー]を操作し、[マップ]に表示された東門を目指して移動を始める。


 一度東門に行かない限り、他の場所へ出ることができないようになっているみたい。




 東門へ出ると、すぐに次のクエストである魔物討伐が表示された。

 ……どうやら初めての戦闘中は、一定時間無敵になれるみたいだ。


 その間に慣れろっていうことよね?

 どうせなら、ずっと無敵にしてくれてもいいと思うんだけど……ログイン時間ギリギリまで無敵なのは、何か意味があるのかしら?


「──“切斬(スラッシュ)”!」


 たしかに殺すのに時間は掛かった。

 ゲームの中で、文面上で殺すのと自分で殺すのとでは絶対的に異なる物があった……その五感を通じて伝わる『死』だ。


 選んだ種族のせいで倫理コードが働かず、五感のすべてでそれを味わうことになる。

 飛びだす血を目と口と皮膚で、その臭いを鼻で、苦しむ声を耳で……最初は吐きだしたくなるほどの不快感に襲われた。


 それでも、私は魔物であるウサギを殺す。

 自分がこの世界を生きるために、それが必要なことだから。


 剣から伝わるその感触に顔をしかめつつ、何度も何度も魔物を殺していった。




 私は種族『吸血鬼(ヴァンパイア)』を選んだ……というより、『吸血鬼』になった。

 種族選択を悩んだ結果、ええいままよと天に委ねたからである。


 種族説明のテキストを見ながら、初期設定の手伝いをしてくれたGMに質問をしてみたところ、日光に当たってもすぐに死なないと教えてもらえたので、そのままプレイしてみることに。


 ただ、浴びている間は少しだけ他の種族より高い能力値が、一割まで下がってしまう。

 そうでなくとも日中活動していると、それだけで七割から五割まで低下している。



 だから可能な限り、日陰を移動しなきゃいけないのだけれど──


「なぁいいだろぉ? 俺らといっしょにパーティー組もうぜ?」


「初心者でも大歓迎! お兄さんたちが手取り足取り教えてやるからさー……そっちの子も、姉ちゃんがいっしょなら安心だろー?」


 面倒な男の人たちに絡まれていた。

 暗い路地を歩いていた私は、小さな女の子が彼らに囲まれているのを見てしまう。


 現実でイジメられていたからこそ、この世界でそういうことがあるのが許せなかった。


『そこの人たち、嫌がっているんだから止めなさいよ!』


 ……そして、現在に至ると。

 啖呵を切るまでは良かったのだ。


 だけど、彼らは私にも目を付けたらしく、同じように囲まれてしまう。

 その女の子とどうにか逃げようとしたのだが、第一陣として一月もこの世界で強くなっていた彼らには太刀打ちできなかった。


 純粋な速度で逃げても追いつかれるし、複数のスキルを自慢するように見せてきた。


 その間に女の子と情報共有を済ませておいたけど、私同様に真新しいステータスでこの状況をどうにかする力はなかった。


「なあ、そろそろ申請に〔はい〕を押してくれよ。こっちが誠意を見せている内にしてくれねぇってんなら……こっちも相応のやり方があるんだぜ?」


 すぐに[GMコール]をしようとしたが、それも物理的に止められてしまった。

 けど、この話に従ったら解放されないことぐらい分かっている……AFOのWikiにもそんなことが書かれていた。


 ──また、失うのだろうか……現実でも、この世界でも。


「おい、聞いてんのかよ!」


 力が欲しい。

 どんな困難も耐えられ、そのうえで抗うことができる……そんな力が。


 その想いを通すだけの、奇跡みたいな力を手に入れたい!


「チッ。おい、そろそろやっちま──」


 強く願ったそのとき、目の前の男たちは動きを止める。

 だけどそれは違和感だらけで、まるで時間が停まったかのような現象に思えた。


 いったい、何が起きているのか。

 ふと視線を感じた先を見れば、私と同じように何が起きたのか分かっていない女の子が首を傾げている。


「……、…………?」


 不思議な音が脳裏を過ぎる。

 目の前の空間が陽炎のように歪むと、テレビでたまに見るノイズのようなモノが突然そこから現れた。


「……ぁ、…………ぃ?」


 人型のソレはジジジッと音を走らせながらも、少しずつラジオの周波を合わせるように声を届けてくる。


「──やあ、力が欲しくないかい?」


 そして、私たちにこう伝えてきた。



 邂逅時のレベルです

 彼女は(吸血)を保有するため、『倫理コード:流血』が解除されています

 ……倫理コードにも種類があり、対応するスキルや種族や職業で解除されます


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ステータス

名前:ティンス(女)

種族:(魔族/吸血鬼種Lv2)

職業:(戦士Lv4)・(料理士Lv1)


状態異常:(日光弱体)

    L[能力値六割低下]


HP:200

MP:200

AP:200


ATK:20/-8/

VIT:20/-8/

AGI:20/-8/

DEX:20/-8/

LUC:40

 BP:5→0


スキルリスト

武術

(剣術Lv2:職業)(盾術Lv1)(格闘術Lv1)


魔法

(闇魔法Lv2:職業)(血魔法Lv1:種族)

(回復魔法Lv1)(呪魔法Lv1)(生活魔法Lv1)


身体

(飛行Lv1:種族)(身体強化Lv1)(瞑想Lv1)

(駆足Lv1)(跳揚Lv1)(体内魔力操作Lv1)

(日光弱体Lv-:種族)


技能

(料理Lv2:職業)(鑑定Lv1)(隠蔽Lv1)

(機械術Lv1)(調教Lv1)


特殊

(戦士の心得Lv4:職業)(料理の心得Lv1:職業)

(吸血Lv1:種族)


SP:40

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