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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と閉じた世界 十二月目

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偽善者とギルドハウス 後篇



「──ここは、空の上でしたか」


「ごめーとー! だからこの場所は、『始まりの草原』として表示されたんだよ」



 領土を求めることを諦めないまま、人々はさらなる【強欲】を満たそうとした。


 ──海と空、自分たちが生存することができない場所すらも領域として自分たちの所有物としようと考えたのだ。

 俺もまた、【強欲】にも空へ手を伸ばし、彼女たちに献上したのである。



「作り方は企業秘密。とにかくこの浮島は、これからますたーたちの拠点だよ」


「……あの、ここって動くんですか?」


「私が弄れば動くけど、基本は動かないようにしてあるよ。ここに置いておかないと、来ようとしても来れなくなっちゃうからね」


「来れなくなる?」



 ふっふっふ、疑問に思っているようだが、ちゃんとしたわけがあるのだよ。



「普段は魔道具で転移するんだけど……それだけだと、使えなくなったときにギルドに戻れなくなるもんね。新人の子たちがそうなったときのために、すぐに来れる場所にしてあるんだよ」


「そ、そうなんですか……」



 ちなみに、魔道具以外で入る場合は浮島の下に立つ必要があるぞ。

 予め登録した者の場合は、そこで特定の行動を取ることで自動的に回収される。

 来客の場合は、一度誰かが浮島に向かって訪問の許可を設定しないといけないがな。



「──とりあえず、これで場所の用意はできたね。あとは家だけど……本当に、みんなは書いた通りの家が欲しいの?」


「別々に書きましたけど……何か、問題でもありましたか?」



 問題、かー。

 言っても解決できることでもないし、気にさせることもないか。



「う、うん……なんでもないよ。ただ、造るのに少し時間がかかりそうだとだけ言っておくね。──はい、これが移動用に使う魔道具だよ。家が完成したら点滅するようにセットしたから、魔力を籠めて来てね」


「分かりました」


「それじゃあ、とりあえず『始まりの町』に送っておくね。待ち時間をどう潰すかは自由だし、魔道具は空があればどこでも同じ魔力で使えるから別のフィールドに行っても問題ないよ」



 そう言ってから、彼女たちを町へ送る。

 誰もいなくなった浮島で、小さくため息を吐いて……呟く。



「大仕事になりそうだな。別に豪邸を造れ、ぐらいだったらすぐにできたんだが……さすがにあそこまで無理難題を要求されると少々時間を費やす必要がある」



 それでも不可能と言えないのが、(生産神の加護)を持つ者の業であろうか。


 時間をかければ頭に浮かぶ、彼女たちの要望すべてを叶えた設計図(ビジョン)

 決してできないことでないならば──俺の持ち得るすべてを賭けて、完成させようじゃないか。



  ◆   □   ◆   □   ◆



「──そしてこれが、完成したギルドハウスだよ」


『……え゛っ、何これ?』



 連絡をして戻ってきた彼女たちは、全員が愕然と口を開いて驚いている。

 あまりの大きさにビックリしているのか、それとも外観に驚愕しているのか……。


 それを知る術は無いが、まあ嫌悪感を示すアクションはしていないので大丈夫だろう。



「えっと、まずディオン──お城がいいと要求したよね?」


「あ、ああ……」


「次にノエル──忍者屋敷っぽい仕掛けが欲しいと書いたね?」


「ええ、書いたわ」


「まずこの二つの要素から、和洋折衷のお城になることが決まりました!」



 先に言っておくが、洋風の城の上に逆さまのピラミットを乗せてさらに和風の城を置いたわけではない。

 基本ベースは洋風にしつつ、和風の要素を所々に散りばめた感じとでも纏めておこう。



「コパン──思いっ切り体を動かせる場所がほしい。プーチ、(憂さ晴らしで放つ)全力の魔法で壊れない部屋がほしい……間違ってないよね?」


「うん、書いたね」

「書いたよ~」


「これはどっちも同じだったから、前に行った闘技場と同じ部屋を用意したよ。環境も練習用オブジェクトも自由に出せるから、満足してもらえると思うな」



 修練場と似たような場所だ。

 空間を引き延ばしたので、わざわざ外に行かずとも室内でそれが行える。

 ……プーチの使用用途があれだったので、個人のプライベートスペースも確保済みだ。



「そして最後にますたーとシガン、二人の要求は簡単だったからすぐに組み込めたよ。他のみんなには今は内緒にしておこうか。その方が、見つけたときに面白くなりそうだし」


「言ってくれてもよかったんですよ?」

「というか、どっちも似た内容なの?」


「うーん……最終的な目的は同じだけど、その過程が異なる、みたいな感じかな? だけど、二人ともいいアイデアだったよ」



 おそらくすぐに発見されるだろうが、それが二人の要求したものかどうかは、なかなか判別がつかないと思われる。

 ──というか、もともと俺が用意しようとしていたものだから違和感がないのだ。 


 なので二人には特別に、あとでもう一つ要求を聞き入れる権利をプレゼントしよう。

 城の中を回ってみて、何か足りないと思えたそのときにその願いを叶える……まさに、匠の技でございます。



「さて、これで新人さんを迎え入れられるかな。最初に入る場所を城の外部じゃなくて内部に変更すればバレないだろうし、ログインしてくるのが楽しみだよ」



 はてさて、どんな感想を持つんだか……。

 今からドキドキわくわくだよ。




お城の明確なイメージ……はっきり言って作者にも難しいです。

とあるお城には洋館風の部屋もあるといいますし、そんな感じかと。

ただ、櫓などはほしいですよね。

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