表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者とキャンペーン 十一月目

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

678/2526

偽善者と神聖国



 聖炎龍は神聖国に居る。

 そんな厄介な情報を聞いた俺は、ついにこの世界で一番面倒臭そうな国へ向かうことにした。

 ……あの性格だから、騙されたか?


 移動は徒歩を選び、しっかりと地面を踏んで進んでいく。

 飛んでいると、聖炎龍に途中でバレるかもしれないからな。

 ……ほら、ドッキリとかサプライズの方がなんでも楽しいし。



《……現地妻?》


「ドラゴンって、最初性別ないだろ。召喚獣にするなら無性のままでいいさ」


《はてさて、どうなるんだか》



 全然信用されてないな。

 まあ、ソウという例があるので、俺もあんまり否定できないんだが。


 そもそも、俺に現地妻っていないだろ。

 ある意味洗脳とも言える眷属化を受けた眷属だけが、俺のハーレムなのだから。


 ……ちなみにリオン以降の眷属化には、当初からの情報共有がされなくなった。

 必要なことは本で読ませればいいので、いきなり洗脳される必要はもともと無いのだ。



「それより、宗教国なんて初めてだな。日本には無かったからなー」


《仏教の建物なら、日本にもいっぱいあったじゃないか。寺にも行ったことあるんだし》


「……西洋系の宗教の建物に向かうのは、礼拝堂と転職用の神殿以外だと初めてだな。いや、結構行ってるな」


《やれやれ、修正のしようがないね》



 物忘れが激しいというか、物に無頓着というか……。

 覚えていても認識しなきゃ、記憶に意味などないのだろうか。



「にしても、まだまだ遠いな」


《嫌なら飛べばいいだろー》


「縛りプレー」


《まあ、そう言うなら構わないよ》



 未熟ながらも全能の力を持っている。

 選択肢が多すぎて悩むこともある。


 そんな貴方にお薦め──縛りプレー!


 あえて狭められた行動が、自身の新たな可能性を見つけだします! (めっちゃ高い声)


 移動手段とチートの一部を縛っているぞ。

 本当は空間属性で縛りたかった移動手段なのだが、“空間収納(ボックス)”も空間属性だったので止めておいた。


 チートは神系のスキルと[スキル共有]を禁止中だ。


 所持者が複数いるスキルは重複して共有できるので、それを応用するとチートになることを最近深く感じた。



 閑話休題(いろいろトラブった)



 歩いていても、必ず時間は過ぎていく。

 神聖国は遠目に映る場所まで近づき、もうそろそろ辿り着くだろう。



「神聖国ってさ、どこら辺が神聖なんだろうか。神のご加護があるってことか? それともその加護を受けた法王がいることか? まあ何にせよ、それならリーンもルーンも神聖国って言えるよな」


《メルスは神様だし、みんなの中にも何人か神様はいるしね》


「クーも神だったろ」


《クーは例外だよ。イメージのベースが、神だったからそうなっただけ》



 そう、クーはすでに受肉を果たしている。

 本来はただ熾天使として受肉するはずだったのだが、元となったイメージが影響を及ぼして神の力を会得した。

 能力が遊戯系だったのはご愛嬌だ。



「まあ、そこはさておき。何を以って、神聖と定義しているんだろうな。古き誓いも遠き未来では寂れてしまう。どれだけ神聖な決意も、過去の思いを朽ち果てさせる。……昔のホワイト教は知らないけど、今の噂だけを聞くと特にそう思えるよな」


《でも、宗教ってもともとそんなのだよ? 最初の決まりなんて、次代の者たちが次々と書き換えていくんだからさ》


「そうだよなー。次代に合わせて変化するってのは、良くも悪くも影響があるのか。そこでプラスが多いと言えないのが、なんとも人間の業の深さを示している気もするけど」



 時代に合わない法典も、内容を書き換えれば継続して使われる。


 だが、時の為政者によって自由に書き換えられ、なおかつそれをその先の者が続いて悪用すれば……っていうのが、何度も繰り返されてるんだよな。



「ま、そんなビックなことはどうにもならないしな。その場その場でどうにかしていくのが俺のベストさ」


《……考えるのが面倒になったみたいだね》



 そうとも言う。



  ◆   □   ◆   □   ◆



 そして辿り着いた神聖国。


 前に一度確認した通り、国の外見は白一色で染まっている。

 巨大な壁に開いた唯一の門の前で、現在入国審査中だ。



「──はい。偉大なホワイト教の総本山、一度でいいから拝みたいと思っていまして。始めて来ました」


「おお、そうですか! しかし……お独りで来たので?」


「すべては神のご加護のお蔭です。盗賊や魔物にも襲われることなく、この場に辿り着きました」


「なるほど! そうですか……はい、入国審査はこれで最後です。こちらの水晶に手を当ててください」



 渡された水晶に手を置くと、中で淡い光を放つ。

 犯罪者……そして宗教家だと別の色に光る仕組みだ。



「何もなし……。お疲れ様です、入国は許可されました」


「ありがとうございます、ではまた帰国時に会いましょう」


「滞在期間はどれほどで?」


「そうですね……三日程お願いします」


「……はい、では行ってらっしゃいませ!」



 門兵の見送りを受けて、俺は神聖国へと入国する。

 ……ふと握らせた硬貨に目の色を変えていたのも、あの声のデカさの原因だろう。


 まあ、三日と言ったが用件は一日足らずで済むと思う。



「どこに居るかな? 聖炎龍は」



 宗教国家でドラゴンを探す、何やらシュールな気がするな。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ