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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者とキャンペーン 十一月目

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偽善者と白の魔本



 召喚属性。

 時属性と空間属性、その二つが合わさった時空属性が変質して生まれた特殊属性。


 それらを扱うことができる『召喚士』と呼ばれる者たちの中でも、魔法として力を昇華させる者がいる。

 彼らが使うその魔法こそ──召喚魔法だ。


 自分とは異なる存在と契約し、その力を借り受けて戦うことが主な使用法である。

 ただ異なる場所から対象を呼びだすものもあるが──AFOにおいて主な召喚魔法は契約を交わすものなので、この場では説明を控えておこう。



 召喚士と契約したものは、広義的に召喚獣と呼ばれる。

 召喚士の魔力を魂に刻み、召喚士の呼びかけに応じていつでも馳せ参ずる使い魔。


 魔物も精霊も天使も……人も神も、力ある召喚士であるならば契約が可能である。

 ただし、自身の器に合わない質や数の召喚獣との契約はできない。 


 それは召喚獣だけに頼らず、己の器を育てなければ不可能だ。

 ……さらに捕捉すれば外部装置で契約することも可能だが、その場合は召喚獣が成長しないのでまた割愛する。



 召喚獣は普通に成長することもできるが、召喚士の獲得した経験値でも成長する。

 それは、魔力を介して繋がっているため、召喚士の吸収した経験値が一部送られるからである。



 召喚獣は戦闘に出し、戦うこともできる。

 途中で死んだ場合も、時間が経つと再び召喚できるようになる。


 召喚獣となった時点で体の一部が変質し、召喚士の魔力があれば蘇る存在になっているからだ。

 そうした生死の法則を書き換える才能的な面でも、召喚士は特別な職業なのである。


『召喚士と召喚魔法──その特殊性より見出される可能性』より抜粋


  ◆   □   ◆   □   ◆


 赤色の世界



 再び遊びに来た灼熱の炎海。

 俺はついさっきまで、召喚士と召喚獣についてクーに熱く語っていた。



「──特に意味はない。ただなんとなく、言いたかっただけだ」


《それで、召喚獣を探すの?》


「大半は召喚嫁だけどな。まあ、イアの分の魔導書もできたし、召喚士として活動するのも楽しそうだなって」



 イアには作れないと言ったが、実は魔本はもう一冊存在していた。


 前にこの場所でランダム召喚をし、アマルが出たのをきっかけに作っていた白い魔本。

 ──眷属の召喚陣だけを記した魔本『イステクリスィ』があるのだ(これも造語だ)。


 これは作り方がまったく異なる、完全に俺仕様の魔本だったので説明しなかった。

 眷属に機能をしっかりと確認してもらいながら作成したので、まさに眷属公認のハーレムリストとも言える(一部除く)。


 言った通り、魔導書は完成している。

 というか、その日の内に求められる品質を超えた魔導書自体は作れた。


 ただ、機能性を求めていたら少々時間をかけてしまったけど……。



《ふーん。それで、どういう風に活動する予定なの?》


「放置していたヤツと契約して、またアッチの世界で召喚獣を探してみるさ」


《……ああ、あれね。前に来たときまったく絡まなかったのって、メルスが忘れてたからじゃないんだ》


「…………よし、それじゃあ行こうか」



 居場所は分からんが、それを見つけるのも旅の一環だろう。

 適当な冒険が、再び幕を開けた。




 まあ、当然見つからないが。

 探す方法もあるにはあるが、それをしたらなんか負けな気がするので使わない。


 そうなると、結局暇になる。

 なので一度国へ向かい、情報収集を行うことにした。



「やあ、今日も建国してますか?」


「おや? 誰かと思えば放蕩王ではないか。今さら何をしに来た」


「……厳しいですね。こちらもこちらで、やることがたくさんあるのですよ」



 アポを重ね、辿り着いた『姫将軍』の所でこんなやり取りがあった。

 俺自身がこの場所に来るのは久しぶりなので、彼女の言い分も分からなくはない。


 ──だがしかし、なぜに放蕩王なんだ。


 自分で言うのは良いが、他者に言われると心が痛いな。



「命令ならしたじゃないですか。『私がいなくとも私の願いを叶えてくれ』と」


「すでに私たちは貴公の奴隷でない。ならばその命令を聞き入れる必要も、無くなったというわけだ」


「……ま、それもそうですね」



 俺が言わずとも、いつかは建国してくれたと思うしな。

 彼女は亡国の姫、元配下の者も一緒に落札していたので、そうなることは眼で視なくとも見えた未来だ。



「国の状況は後で配下の者を通じて訊くとしますが、今回私がこの場所を訪れた目的を果たすことにしましょう」


「……訊かせてもらおう」


「聖炎龍、この言葉に心当たりは?」


「あるに決まっているだろう。この世界の生命を守る聖龍だ。……そして、私たちの国を救わなかった恨むべき龍なのだろう」


「おや? その様子では恨んでいないようですね」



 本人の中で、納得し終えているのだろう。

 言い方は悪いが、表情から嫌悪などの感情は読み取れない。



「救うのは生命であって、私たちの国では無かっただけだ。大衆を救うため、個人を斬り捨てる国の有り様と同じだな」


「──そして個人を救うのが、偽善者の役目ですよ。カカ教では、他者を見捨てず人に施しを与えることが教義。本人が望んでいようと望まずとも、善行によって救いへ導く……まさに、偽善です」


「己の信ずる神であるというのに……貴公もずいぶんな物言いだな」


「カカ様は、心が広いお方ですから」



 そう言って、笑う『姫将軍』に微笑む。

 この後聖炎龍の居場所を確認し、ため息を吐いてからこの国を去る。


 まあ、ある意味当然だったな。




召喚魔法の定義がひどく悩む今日この頃。

これから先の修正が多くなるかもしれませんが……そこまで詳しくこの小説を考える人、いませんよね。

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