表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者とキャンペーン 十一月目

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

654/2526

偽善者と月の乙女 その09



 攻撃を掻い潜り、少女の姿をした大悪魔にドロップキックをくらわせる。

 男女平等主義ではないが、ドロップキックは特に悪いことではないと思ってます。


 体と口を同じくらい動かしていると、俺を調べていた大悪魔が話しかけてくる。



「随分と余裕そうだね。何重にも施された封印術式、その先に隠された力が君に安心感を与えているのかな?」


「そう、だな。掛けてある封印術式を解くことは俺独りでは不可能。特定の条件下で、一部だけなら可能なんだけどな。……覚悟ってのは、ただ強い想いだ。ただ、それが本人の想いでなくとも定まっちゃうのが問題なんだよな。怨念や憎悪、願望や期待。正だろうと負だろうと、善も悪も関係ない。そこに強い想いさえあれば充分だ。その想いと条件を満たしたスキルが合わさると……【固有】スキルが完成するってわけさ」



 まあ、仮説の部分が多いけどな。

 さらに言えば、膨大な量のリソースを注げばスキルは創れるそうだ。


 初期の【固有】持ちに関しては、こちらが主な理由だと思われる。

 条件と想いを燃料で増幅し、スキルという形で発現。


 ──これも本人とマッチしないと、激しい侵蝕が行われるそうだがな。


 本人の強い意志、他者からの強い想念、外部からの干渉……それ以外。

 どのような方法であろうと、【固有】の力は手に入る。


 ただ、一つ言えるのは──無償で手に入れた場合にのみ侵蝕が確認されている、ということだ。


 足踏みして地面を揺らし、ヒョロイ悪魔がグラついた隙に回し蹴りで吹っ飛ばす。



「SPを払えば話は別だ、対価があれば侵蝕は無いみたいだぞ。SPで払う分を体で払うのが侵蝕、そう考えるのが妥当だよな」


「言い方が嫌らしいです」


「……まあ、スキルを習得するなら正しい方法でってことさ。ご老人、行きますよ」



 最後に残ったのは、老人風の上級悪魔。

 確固とした経験に基づいた動きをしているので、伊達に老人の姿ではないのだろう。


 牽制に魔法を放ち、魔法で生みだした武器で近距離遠距離問わず、俺の視覚を突いて攻撃してくる。


 少々苦戦するものの、邪魔な四人を予め排除してあるので安定した戦闘を行えている。

 魔法と武器は()なして壊し、最後には肉弾戦となっていた。


 拳をぶつけ足を絡め、競技であれば反則と取れる禁じ手を使って行う闘い。



「捌けるけど、キツイですね。貴方にだけですが、使わせてもらいます──“気闘法(キトウホウ)”」



 神眼での観察を終え、老人の動きをトレースすることに成功した。

 魔力でのみ行っていた強化を、気との同時使用に切り替えて構える。


 老人も俺の中でそうした変化が起きたことに気づき、これまで以上に気を錬り込んで戦闘を行う。



「見えすぎると引っ掛かるフェイントってのもあるらしいが、実際それすらも見通せば意味ないんだよな。ご老人もよく理解していると思いますが、純粋な暴力は時として一切の妨害を打ち壊します。……貴方は話が分かる人です、この先に起き得る未来をなんとなく分かっているのでしょう。……そうです、一番望む未来になるように努力しますよ」



 だが、拳を交わす内に気付いたのだろう。

 老人はある結論に行きついた。


 俺は、あえて何も聞かない老人を肯定し、そう誓う。

 そして、鳩尾に一撃加えて闘技場の壁まで殴り飛ばした。


 老人が立ち上がることはなく、代わりに動き出したのは大悪魔の口だった。



「おめでとう、これで君はボクへの挑戦権を手に入れた。約束通り、直々に勝負してあげよう──」


「ちょっと待ってくれ、それって選手交代も可能か?」


『……え゛?』



 俺の突然の質問に、遠くで観戦していた少女たちはいっせいに疑問符を上げる。


 あーあ、食べ物も落としちゃって。

 わりと作るの大変なんだからな。


 大悪魔は、一見綺麗そうにも取れる笑みで答える。



「もちろんさ、だけどボクも馬鹿じゃない。今この場に居る者だけ、交代は一人につき一回という制限は忘れないよ」


「いやいや、そこまでやってくれるならありがたい。ただ、彼女たちはいっせいに挑ませてくれるともっと助かる。俺は見ているだけだ──大悪魔が彼女たちに、永続的不利益を与えない限りは干渉しないからさ」



 ここで最後の部分を言わないと、魅了してそのままお持ち帰り……なんて展開に陥ってしまうからな。


 クラーレの手に入れた【固有】スキルがあれば最終的には勝つだろうが、それまでに何が起こるか分からない。

 こちらに優位な条件を提示して、どうにか納得してもらわないと。



「……ボクが、それに応えるとでも? 別に君一人と戦っても構わないんだよ」


「いやいや。彼女たちには失礼だが、大悪魔は強い。彼女たち一人一人挑もうと、勝利は得る可能性はゼロだ」


「そんな未来は、束になっても訪れない」


「挑発と取ってくれて構わないが、俺は負ける気がしないんだ。だからせめて活躍したところを見せてから、死んで逝ってほしい」


「っ……! 本当に安い挑発だ。……けど、いいだろう。乗ってやろうじゃないか」


「なら、そうしますかっと」



 俺と彼女たちを隔てていた結界の形を組み替え、彼女たちを囲うような形状にする。



「結界を解除した時、戦いを始める。たぶん負けるだろうけど、胸を借りると思って少し頑張ってみようか」


「……なんだかもう、当初の目的からだいぶ逸れているんですけど……」


「ま、そのことについてはまた今度。今はその大悪魔を相手にバトルってことで」



 その後、準備を終えた彼女たちを確認してから──結界を解除した。




シズハシさんから職業の意見を頂きました(旅人→旅芸人→道化師とします)。

修正版に組み込む予定ですが……●次職という概念をそこで再認識することができました。

今回求めているのは二次職──AFOで登場したものでいえば忍者や鍛冶師、格闘家といった職業です。

さて、本当にどうしようか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ