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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者とキャンペーン 十一月目

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偽善者とマグマゴーレム



 この場所はダンジョンだったみたいです。

 倒した魔物の体がそのまま残ることなく、魔核だけが残るからです。

 現れた魔物をメルちゃんが倒すと、何度も同じ結果が起きたので間違いありません。


 魔物の種類は少なく、ゴーレムやパペットなどの魔法人形と呼ばれるものが、主だってわたしたちに襲いかかってきます。



「──疾ッ!」



 メルちゃんは走りだすと二本の剣で舞い、そうして現れた魔物をバラバラに斬り刻んでいきました。


 どんなに軟らかい魔物だろうと、どんなに硬い魔物だろうと──すべて鮮やかに斬っていきます。

 断面から崩れるように二つに分かれ、魔物たちは魔核を露出して消えました。


 ……しかし、最初に再会したときには血が付いていました。


 どこかにきっと、血を放つ魔物が居るのかもしれません。

 油断だけは、いけませんね。



「お疲れ様です、大丈夫ですか?」


「うん。あれぐらいだったら、百でも二百でもバッチこいだよ!」



 メルちゃんはそう言ってくれていますが、少しずつ魔物が強くなっています。


 最初の頃は『マッドゴーレム』や『ウッドパペット』だった魔物も、今では『グランドスワンプゴーレム』や『ミスリルパペット』などという種に進化しています。


 他にも硬いゴーレムや軟らかいパペットなどもおり、それら全てをメルちゃんは戦闘を行っているのが現状です。


 ──今度こそ、今度こそ言いましょう。



「わ、わたしも……戦えないでしょうか?」


「ますたー?」


「メ、メルちゃんばかりに迷惑をかけていては、いけないと思うんです。だ、だから今の内に……わ、わたしも戦えるようになりたいの!」



 い、言えましたよ! シガン、わたし言えました!


 幻想の中のシガンも、わたしの発言にグッとサムシングしてくれています。

 言葉に詰まりながらも、どうにか自分の思いの旨を打ち明けらることができました。



「…………そっか。分かったよ、ますたー。だけど、危なくなったらすぐに救出に向かうからね」


「はいっ!」



 また、これも過保護な救出なんでしょう。

 わたしが少しでも攻撃を掠ったら、そのまま相手を屠るような……少し嬉しいので、一度してもらったあとに、止めてもらうことにしましょう。




 本当にメルちゃんは、わたしの予想通りのことをやってくれました。


 わたしが『ゴールドパペット』の持つ槍で傷をつけられた途端、自分が戦っていた敵を一瞬で消し去って助けてくれました。


 その行動にとても嬉しくなって、ついつい言うのを忘れてしまいましたが、四回目にはしっかりと伝えましたよ。



「本当に、本当に、ほんっとーに、気をつけてね、ますたー。いつもみたいに、私が武器になった方が良いと思うんだけど……」


「いいえ、メルちゃん。わたしは自分の力だけで、強くなりたいんです。メルちゃんに頼るだけでなく、頼られるように」


「…………ますたー」



 流れというヤツでしょうか。

 一度蓋を外せば、本当に伝えたいことを伝えられています。

 危機的状況だからこそ、自身の本音が出るのかもしれません。


 メルちゃんの嬉しいけど、悲しいといった複雑そうな顔にも気づかずに、わたしは少し浮かれていました。



「てやーっ!」



 わたしの武器は、伸び縮みする……西遊記の孫悟空が持つような棒です。

 普段は短杖(ワンド)として使っていますが、有事には長杖(スタッフ)(ロッド)としても扱える代物です。


 振り払う瞬間に魔力を籠めて長くして、遠心力を使った一撃を『ロックゴーレム』に叩きつけます。


 衝撃音が鳴り響くと、『ロックゴーレム』は壁に埋もれていました。

 全身に罅が入っており、体内に埋め込まれた魔核も露出しています。



「これが、わたしの力……そんなわけありません。メルちゃん、こっそりかけているすべてのバフを解除してください」


「ますたー!?」


「自力でやらないと……やらなきゃ駄目なんです。お願いします、メルちゃん。わたしもメルちゃんといっしょに、肩を並べて戦えるようになりたいんです。そのための特訓だったんじゃないんですか?」


「うぅー。その武器は、武技を使っている最中でも伸ばせることを忘れないでね。オートにしていると失敗しやすいけど、マニュアルでやっていればしっかりと使えるから」


「分かってますよ、見ててください」



 わたしの武器は、メルちゃんのお手製なのです。

 なのでメルちゃんが一番この武器について詳しく、こうしたヒントも教えてくれます。


 その言葉をしっかりと噛み締め、目の前に現れた『マグマゴーレム』に棒を構えます。


 全身がマグマに包まれたゴーレムですが、表面にマグマのコーティングがされているだけで、水系統魔法を使えば一定時間弱体化するらしいです。


 しかし、わたしには回復系統の魔法以外は使えませんので、強烈な一撃で倒す以外の方法はありません。



「正面突破……行かせてもらいます!」



 振りかぶった手を降ろすマグマゴーレムを躱し、魔核を探します。


 マグマの熱が肌をジリジリと焼きますが、予め“継続治癒(リジェネレート)”を使っているのですぐに癒えます。


 個体によって場所が違っていることが多いので、一撃で決めるためには場所を特定しておく必要があります。


 ゴーレムの体内で動く魔力の流れを調べ、流れの中心となっている部分を探すと──



「見つけた! ──“穿光突(センコウトツ)”!」



 探知した魔核に棒の先端を向けて、力強く押しだします。


 同時に魔力を籠めて長さを増やし、マグマの膜で火傷をしないように注意も払います。


 光速で突き刺さった棒は、見事マグマゴーレムの魔核に命中し……マグマゴーレムの動きは、停止しました。




現バージョンのAFOでは、魔物から血が溢れ出たり肉体がそのまま残るかどうかなどを、(解体)スキル無しで自由に選べます。

クラーレはそれがONですが、その状態で魔核しか落ちない場所はダンジョンだ……そんな風に思ったといちおう説明しておきます。

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