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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者とキャンペーン 十一月目

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偽善者とアースマンティコア



 休憩が終わった後も、メルちゃんとなかなか話すことができません。


 普段ならメルちゃんから、わたしに話題を振ってくれるのですが……今回は、わたしから話さねば会話が始まりません。


(…………どうすれば、いいのでしょう?)


 シガンなら……という考えも先ほど潰えてしまいましたので、アドリブで行わなければなりません。


 彼女はどのような話の振り方であろうと、わたしへ親身に話を返してくれます。


 ですが、メルちゃんはわたしみたいな面倒な相手に、応えてくれるでしょうか?

 メルちゃんにとって意味の分からない話を振ってしまい、不審に思われてしまうかも知れません。


 しかし、こちらから話しかけなければ覚悟が決まらないです。

 メルちゃんに依存すれば、いつかお別れになってしまいます。


 現実ではまだできませんが、こちらでならできる……ときもあります。

 ──はい、コミュ症ですけど頑張ります!



  ◆   □   ◆   □   ◆


 怪獣の巣 第四層



「──それで、どうしてまだ話せてないのかしら?」


「うぅ……」


「こっちでなら、誰とでも話せるって前に豪語してたじゃないの。あの言葉は偽りだったの? 一言言えば、あの娘は応えるって言ったじゃないの」


「……でも、迷惑なんじゃ。それに、どうしてもメルちゃんと話そうとすると口が開かなくなるんです」


「(……これは重症ね)」



 結局、話す機会もなく最深層の手前です。

 何を話そうか、どうすれば話せるのかをもやもやと考えていれば、いつの間にか時間は過ぎ去っていきました。


 メルちゃんは必要最低限なことは言ってくれますが、会話として成立するようなことは一度もありません。


 わたしはそれにすら応えられず、ただ首を縦に振ることしかできませんでした。


 メルちゃんは今も、わたしたちから離れた場所で生産活動と警備を行っています。

 ……メルちゃんって、過保護なんですよ。


(それなのに、依存してはいけないというのは……少し、難しいことを要求していると思います)


 初めの頃は分かりませんでしたが、いつもメルちゃんは休憩中に魔物が来ないように、魔法を使って対処してくれていました。


 みんな分かっていますが、メルちゃんはたくさんの秘密を抱えています。

 訊けば関係が壊れると分かっています、なので誰も訊きません。



「クラーレ、本当に話さないの?」


「話したいです! 話したいですけど……」


「そう、ならいいわ。それならメルに伝えて来るわ」


「伝える? ……いったい何を」



 シガンの顔が恐いです。

 いつも突拍子もないことを考えると、必ずシガンは不敵な笑みを浮かべます。


 そして、それは予想通りでした──



「貴女がこのダンジョンから出る前に、もしメルと話さなかったなら……メルには、このパーティーから離れてもらうわ」



  ◆   □   ◆   □   ◆


 怪獣の巣 第五層



「■■■■■──“火焔渦(フレアストーム”)~!」



 プーチの放った炎の嵐が、目の前の魔物に襲いかかります。


 GUOOOOO!!


 名前は『アースマンティコア』、蠍の鋭い棘を尻尾から生やしたライオンのような魔物です。


 アースマンティコアは雄叫びを上げると、自身の周りに土の防壁を築きました。



「魔法が使えるのか、面倒だな」


「そんな壁、強烈なので壊せばいいのよ!」



 巨大なハンマーを振り回して、コパンがその壁に近づきます。

 そして、グルグルと回って──



「“廻戦槌(カイセンジョウ)”……って、あれ?」


「みんな、下に警戒!」



 回転した勢いを使った武技で壁を破壊しますが、そこにアースマンティコアの姿はありませんでした。


 しかし、シガンは下に潜っていると考え、そう注意を勧告します。



「“光防御(プロテクション)”!」



 わたしはその言葉に、全員の足元へ防御用の魔法を発動させます。


 メルちゃんに鍛えられて手に入れたスキルで、わたしも潜っていることが分かっていましたので。


 一度だけダメージを緩和させる、といった魔法ですが、即座に発動可能なので一気に行使します。


 GUAAAA!!


 地面から飛び出したアースマンティコア。

 その際に狙われたディオンは、すぐに剣を突き立てて攻撃しました……が、



「なっ!」



 刺した途端、アースマンティコアであったものは、ただの土塊と化しました。


 どうやら魔法かスキルで創った偽物を、先に囮として放ったようです。

 本物はまだ下に居て、複数の囮と共に待機しています。



「厄介なボスね。【未来先撃】もあの速度だとカウントダウンが間に合わないわ」

「挑発もあまり効かないようだ」

「いっそのこと、水責めとかしない?」

「MPが~、足りないよ~」

「クラーレ、どう思う?」



 アースマンティコアもこちらの隙を窺っているようで、動きを見せません。

 その間にこちらの意見を纏めようとしますが、あまり対策は浮かばないです。


 わたしの考えを聞かれました。

 どうしてもメルちゃんを頼りたくなる弱い自分を叱咤して、答えます。



「プーチ、地面を軟らかくすることはできますよね?」


「う~ん、できるよ~」


「では、それをお願いします。魔法で軟らかくなった地面を、コパンが魔法ごと破壊してください。それをシガンが【未来先撃】で待機させた攻撃で当ててください。ディオンとノエルは陽動です。アースマンティコアがどうやって相手を見つけているか、それを特定したら誘きだして倒します」


『了解!』



 シガンを真似して考えてみましたが……我ながらナイスアイデアです。

 メルちゃんも、そう感じてくれたでしょうか? そう思って見てみれば──



「…………」



 とても深刻そうな顔で、俯いていました。

 ……何かあるみたいです、メルちゃんのこのような顔は滅多にみたことがありません。



「気を引き締めていかなければ……」



 短杖(ワンド)をしっかりと握り締めて、作戦を実行していきます。




戦闘描写が難しい!

魔物が壁を作って、穴を掘って、地中で分身を作って一匹上に出しただけなのに……。

次回、一気に進む!


p.s.

ほとんどの人は気にせず、一部の人は気にしてしまったSP。

作者自身がとある設定を勘違いしてこれまでの話を進めていた結果、修正に二日かかる重大なミスだったと今更気づきました。

それを修正するためにまた一つの矛盾の種を生み出してしまい、大丈夫か? と苦悩する作者でした。


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