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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者とキャンペーン 十一月目

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偽善者と依頼選択

『月の乙女』篇です



 スロート



 再び彼女たちと共に、活動を行う。

 最近はメルモードでも実力を少しずつ出しているので、彼女たちも俺のやりたい放題を気にしなくなっていた。


 物語でヒロインが『さすが○○!』と言うように、彼女たちもまた『さすがメル!』みたいな感じになっている。



 現在はクラーレと二人で、ギルドで依頼を探していた。


 あ、シガンたちもギルドに居るのだが、少し離れた場所でゆっくりとしている……リーダーも任せっ切りってどうよ。

 依存しているわけではないのだが、せめてシガンは来ようよ、と思う。



「メルちゃん、こんな依頼を受けてみましょうか」


「……『ファッションモデル』? 絶対に嫌だよ」


「可愛いですよ、メルちゃん」


「……嫌、絶対に嫌」



 えー、と言うクラーレを必死に説得し、どうにか依頼を逃れることに成功する。


 眷属に頼まれれば少しは考えて前向きに検討することを善処しようとする気になろうとも思うが、運が悪ければ眷属以外にもその情報が伝わってしまうかもしれない場所で、着せ替え人形のようなことをしたくはない。


 というより、彼女たちだけがやるのならば何も言わない。

 ギルドメンバーは全員が美少女なので、例えどんな服を着てもだいたい似合うと思う。

 だけど、俺も参加ならば……速攻でキャンセルを選ぶ。



「そうですか……残念です」


「ますたー、私も怒るときは怒るんだよ?」


「…………あ、これなんかどうですか?」



 まあ、ノゾムとして会ったときに暗い顔をしていたクラーレが、こんな風に笑っていると思うと、そこまで怒る気にはならないが。


 はぐらかしながらクラーレが用意した依頼表を見てみる。



「『ダンジョンの調査』? こういう依頼を受けるなら、みんなと相談した方がいいと思うんだけど」


「みんな、メルちゃんの食べ物に弱いですから……。どんな意見も、メルちゃんの食べ物一つで変わってしまいますので」


「……そろそろ制限するかな? みんなが生産をできる人をギルドに入れてくれれば、私もそろそろ自由にできるんだけどねー」



 うん、餌付けっぽくなっている気がする。

 武具の手入れとかは、俺にも利があるから楽しんでやるけど……。


 料理はさすがに、そろそろ別の人に代わってもらいたくなってきた。



「メルちゃん、自由にって……」


「あ、ますたーたちが依存しない限りはいっしょにいるからね。だけど、そのときは……お別れになるかも」


「そんなっ!」



 ひどく、驚いた様子を見せるクラーレ。

 いやいや、俺だって使い魔じゃないんだから……って、いちおうそういう設定だっけ。

 まあ、使い魔によってはマスター殺す奴もいるから気にしなくていいか。


 あくまで【固有】持ちを探すための隠れ蓑として、俺は彼女たちを利用している。

 巻き込んでいるわけではないので罪悪感はまったくないが、それでもいつまでも彼女たちと居る理由がないのだ。


 全然そんな気は湧かないが、数人の主人公候補は見つけ出している。

 そんなプレイヤーの元で活動すれば、恐らく狩りも簡単に進むだろう。


(ま、特にそんな気はしないけど。それに、例の計画を進めれば、【固有】持ちが大量に釣れるのは間違いないしな)


 考えていることが悪役みたいな感じになっているが、事実なので何も取り繕わない。

 その計画が成功すれば、そうした柵に囚われる必要もなくなる。


 まあ、誰も不幸にならないイイ考えさ。



 ところで、クラーレの様子がおかしい。

 顔色がとても悪くなり、何やらブツブツと呟いていた。


 耳を澄ませてみると──



「メルちゃんが……いなく、なる……」


「あ、あれ? ま、ますたー?」


「……きゅーん(バタンッ)」


「ますたー!? え、えーせーへー!」



 気絶したクラーレは、緊急切断によって一時的にこの世界から去っていった。

 慌てふためいて衛生兵コールをしてしまったが、特に問題はないだろう。


 それでも、ギルドメンバーには伝えておかねばならないだろう。

 彼女たちの元に向かい、それを報告する。



「た、大変! ますたーが!」


「……クラーレ? メル、クラーレはどうしたの?」


「そ、それが──!」



 まあ、言ったことなどを掻い摘んで説明してみると……頭を抱えるシガン。



「気にしなくていいわ。しばらくすれば、すぐに戻ってくるから」


「そうなの?」


「いろいろとあるのよ、あの娘にも。今ではあんな風に明るく振る舞っているけど、そうじゃなかった時もあるの」


「そうなんだ」


「細かいことが聞きたくなったら、あの娘自身に聞きなさい。……そっちで耳を澄ませている人たちもね」



 ギクッ、という効果音が周りから聞こえてきそうだった。

 四人共が肩を一瞬上げて、自分たちが行っていたことを示してくれていたよ。


 しっかし、クラーレの過去ね。

 その気になれば、過去眼で即座にネタバレもできるけど……ま、スルーでいこう。


 メルのような見た目幼女に相談する程、クラーレも悩んではいないだろう。

 主人公みたいな奴か、親友ポジのシガンがいずれ、そんな問題を解決するさ。



 この日、クラーレが俺の前に現れることは無かった。

 どうやら、俺と顔を見せたくないようだ。


 俺が彼女と再会するのは、彼女たちがダンジョンへ向かう日となった。




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