表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と決意交わる水着イベント 十月目

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

589/2525

偽善者と水着イベント後半戦 その02



 とあるダンジョンの奥深く、プレイヤーたちは果敢にその地を攻略しようとした。

 それには、それだけの価値がその場所にあるからである。


 ──レイドモンスターの移動範囲制限。


 それが、この地を踏破することで得ることのできる報酬であった。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 一部の勇敢なプレイヤーたちによって、既にレイドモンスターの情報は暴かれた──


 凶暴ウツボ ギャングモーレイ

 海鯨火山 マグマホエール

 魔梶木 ウエポンマーリン

 針万本 ポーキュマイン

 猪突鮪 ロケットツナ

 王珠貝 シージュエル


 あくまで一部ではあるが、プレイヤーが現段階で手を出せたのはこれらがすべてだ。

 選抜隊はその後小手調べに挑むも全滅、少数精鋭でも敵う相手はいなかった。


 話を戻そう。

 なぜ、プレイヤーたちが先のダンジョンを攻略しようとするのか。

 なぜ、移動範囲を制限しようとするのか。


 ──それはレイドモンスター同士の共闘を防ぐためであった。


 後半戦の開始序盤、勇敢なプレイヤーたちが発見した中でも最も弱い王珠貝を討伐するという作戦が、考えられていた。


 計画は順調に進み、王珠貝を死の間際まで追い詰めることに成功した──その瞬間、別の場所に居たはずの凶暴ウツボがプレイヤーたちに襲いかかり、実行班は全滅したのだ。


 凶暴ウツボは何度もプレイヤーの攻撃を防ぎ、王珠貝はその間に体力を戻したため、作戦は失敗となった。


 そうした敗北を迎えた後、自由民からの情報によって移動制限の話を聞いたプレイヤーたち……何をするかは決まっているだろう。


  ◆   □   ◆   □   ◆


「……なんだよ、あの魔物。今までのヤツと全然レベルが違うじゃねぇか」


 本来、このダンジョンはすぐに攻略できると運営側は考えていた。


 できるだけ強い魔物を減らし、仕掛けられた罠も簡単に解除できる物を設置……あくまで、移動制限を早急に掛けれるようにして居たはずだったのだ。


 しかし、運営側も想定していなかった魔物が、ダンジョン内でプレイヤーたちを待っていたのである。


「やはり、■■■だけが特別なのか。器としては使えそうだが、入れる物がここまで汚いと吾も試す気が失せる」


「……何を、言って」


「しかし、死に戻りとやらの原理を確かめるにはちょうど良い。今は自由の身であるし、少々実験をしても構わないだろう」


「お、おい。止めろ、来るな。や、止めくてくれぇえええ!」


 それは、プレイヤーに恐怖を与えた。

 ゆっくりと近付いて来た肉付きが全くない白い骨の掌。


 虚空を映す空洞の瞳に緑の炎が宿り、プレイヤーのナニカを実験動物のように見つめている。


 この後、死に戻ったプレイヤーがこのダンジョンに来ることは無かった。


  ◆   □   ◆   □   ◆



 一部の眷属に助力を求めた。

 俺独りでも分身すれば、全ダンジョンをカバーできそうだったが、頼ることも大切なのでそう要請したみたのだ。


 すると、忙殺されている者を除き、全員がダンジョンの防衛に参加してくれたよ。


 過剰戦力とも言えるが、守れないよりはマシだと思って割り切った。


 ……やっぱり、報酬を期待しているのだろうか。

 そこら辺を言うのを忘れていたから、後で何を要求されるのか分からない。


 まあ、俺の我が儘に応えてくれたんだし、俺もある程度は応える予定だけどな。



「──でもな、さすがにGMに苦情が来るレベルで拷問しろとは……言ってないよな?」


「こ、これはあくまで、メルスのことを思ってだな……」



 そう言って、俺を説得しようとするネロ。

 まったく、やりすぎにも程があるだろう。


 俺のためにって単語で少々許しそうになったが、心を鬼にして叱る。



「たしかに死に戻りに関しては、気になっていたぞ。自分ができなきゃ、そのままポックリ死ぬかもしれないからな」


「おお! では──」


「だけど、さすがにやり過ぎなんだよ! どうやったら廃人になるまで、(なぶ)るように拷問ができるんだ!」



 ダンジョンの最奥で、マッドサイエンティストが狂気の実験を行っていた。


 すでにこの場で(・・・)拘束されていた被験者は解放しており、安らかな顔を浮かべて死に戻りをしたよ。



「うぐっ。……しょ、少々懐かしい感覚に襲われてな。す、少しだけ張り切ってしまっただけだ」


「ハァ……。それで、何か解ったのか?」


「そ、そうだ! 吾もただ、意味も無く痛めつけたわけではない。肉体の再構成に関して調べていたのだ!」


「ふむふむ、詳しく聞いていいか?」



 肉体の再構成。

 つまり、死んだ後の体が何故新品のような状態になっているか、ということだろう。


 ……これを応用すれば、ずっとマイサンが新品状態を維持できる、なんて考えが思いつく頭脳が虚しいな。



「再構成、と言ってもすべてが元通りになるわけでは無いようだ。あくまで本人が不必要と考える損傷、それだけを選別して前の状態へと回帰させる……それが死に戻りなのだ」


「えっと、要は受けたダメージを無かったことにしてもらっている、ということか?」



 俺のスキル{多重存在}も、一度体内にアバターを戻して再度呼びだせば、肉体の方は新品になるからな……すべてが、かどうかは調べようがないけど。



「そうだ。ただ、すべての者に使おうとするから効果が薄いのだろう。故に、高位の呪術が籠められたものを消すことはできない。吾の刻んだ呪印も、残っているようだしな」


「まあ、プレイヤーはいっぱいいるからな。なら、加護を授かった奴は綺麗サッパリ元通りになるのかな?」


「いや、それはどうだろうか。再構成を担当する神の加護ならばともかく、それ以外の加護では意味は無かろう」



 たしか、その担当は……誰だ?

 今度レイたちに訊いてみることにしよう。



「今は、呪印を通じてデスペナルティとやらの調査中だ。どうだ、吾の行動には明確な目的があっただろう」


「うーん、たしかにありと言えばありなんだけどさ……それやったの、一人だけだろ?」



 そう訊くと、体を強張らせるネロ。

 ……うん、決まりだな。



「被告、ネロは有罪(ギルティ)だ。その罪、強制的に体で贖ってもらうぞ」


「や、止め──」



 この後ダンジョンの中に、嬌声が響き渡ったという。




と、いうわけで眷属たちが働きます

一と三を使い分けていく予定です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ