偽善者と水着イベント前半戦 その05
無事水着も完成し、彼女たちはその水着を着用する……平野への配慮もあるため、詳細は記さないことにしておく。
ただ一つ言えることは……やっぱり、女性の体は神秘で溢れている、ということだ。
しかし、他の男たちの目に毒な果実、それらを野晒しにしておくわけにもいかない。
現在の彼女たちは、シャツやらパーカーやら(製作者:俺)を着て活動を行っている。
「うんしょ、うんしょ……よし、完成」
「わー! 凄いですよ、メルちゃん」
「ふふん、そうでしょう」
活動……と言っても、どうやら何をするかまだ決めておらず、現在シガンがそれを思案中である(母音が似ているが、ダジャレのつもりは無いからな)。
俺とクラーレは、なぜかいっしょにサンドアート的なことをやって遊んでいた。
どっちが言い出したかは分からないが、物作りで手を抜くわけにはいかない。
こんな時でも(生産神の加護)は発動し、俺の望むままに砂は形を変え、芸術へと昇華されている。
「1/10スケールのネイロ王国城!」
「凄い! 完璧に再現していますよ!」
「どう? ますたー。これならますたーも一緒にできr──」
「二人共……何をやっているの?」
このタイミングで、シガンがこちらへと向かって来る。
どうやら、彼女たちの次の予定は決まったようだな。
だが、俺とクラーレが今までに作った作品の数々を眺め、興味を持っているみたいだ。
──出発は、もう少し後かな?
「あ、シガン。これから、いっしょに魔物を砂で作ろうと思っていたのですよ。シガンもいっしょにどうですか?」
「……遠慮しておくわ。メル、アンタって本当に器用よね。スクショしたくなるぐらい、再現度が高いじゃないの」
「うーん? これも生産だし、そういうスキルがあればみんなもできるよ」
例えばそう──(砂像の指先)とかな。
「……どれだけ器用でも、城の詳細なんて覚えてられないわよ」
「そうかなー?」
天才ならそれぐらい、簡単にできるんじゃないのか?
うちの天災共(誤字に非ず)は、だいたいのことであれば瞬時に理解できるし覚えられるし……。
「まあ、窮すれば通ず? そんな感じかな。一度やってみないと、分からないよ」
「シガン……やりましょうよ」
「…………しょうがないわね。こうなりゃヤケよ、やってやろうじゃない!」
「シガン、いっしょにメルちゃんのよりも凄い物を作りましょう!」
「そうね、たまにはこういうのも好いかもしれないわね」
「それじゃあ、張り切って──スタート!」
なぜか始まった2VS1によるサンドアート対決。
少し緩んでしまった頬を隠しながら、早速製作に取りかかっていった。
◆ □ ◆ □ ◆
「そこー、右だよ右-!」
「いいえ~、左ですよ~」
「……二人共、失敗させたいの?」
「「ううん(~)。もちろん(~)、面白くしたいだけだよ(~)!」」
「ハァ……。ディオン! 真っ直ぐで大丈夫よ!」
「「……チッ」」
「舌打ち!?」
シガンは今日を安息日として、イベントへの本格的な参加は明日からにするそうだ。
なので彼女たちは現在、みんなで楽しくスイカ割りをしていた。
まったく、折角スイカ周辺の地面の硬度を上げておいたというのに……。
いっしょに考えたプーチも、俺と同様に残念そうな顔を浮かべている。
「そいやっ!」
ディオンが振り下ろした木の棒は、見事スイカに吸い込まれるような軌跡を描いた。
狙い通りに棒は命中し、スイカは──綺麗に七等分となる。
「ここら辺は、ファンタジーよね」
「あのスイカ……魔物でしたしね」
まあ、最初は手と足が生えていたとのことだしな。
その魔物のドロップアイテムとはいえ、叩いただけでそこまで綺麗に割れるなんて普通じゃありえないか。
「ん~~♪ 美味しい~!」
「本当ですね。瑞々しくて甘く、キメが細かい感じが堪りませ~ん!」
「塩があればよかったのだが……」
ふと、ディオンがそんなことを呟く。
「海水なら、いっぱいあるんだけどね」
「メルちゃ~ん、持ってない~?」
「ん? はい、深層水から作った塩。他にも色んな調味料があるから試してみてね」
「シナモンに黒酢に蜂蜜に……酒。メル、私たち未成年なんだけど」
「ちゃんと見て、これはブランデー風な飲み物だよ。アルコール成分が無いけど、何故かブランデーな味がする摩訶不思議な物なんだけど……使う?」
そのままの味もよかったが、やっぱり何か調味料を使うのも最高だな。
ちなみにだが、結局全部試していた。
◆ □ ◆ □ ◆
スイカも食べ終わり、本当にやることが無くなってしまった。
いや、彼女たちは再び沖の方に泳ぎに行ったりしているんだけどな。
俺はいつ彼女たちが戻って来てもいいように、ただ待機しているだけなのだ。
「(うーん、暇だな~。ヘルプ眷属~)」
《どうしたのだ、メルス》
「(クエラム~、聖獣状態でこっちに来てくれよ~。モフモフさしちくりぇ~)」
《……しょうがないな》
宙に上げた手の下に、魔方陣が出現する。
それが光ると、そこには手のひらサイズのクエラム(モフモフバージョン)が現れる。
「おお、ザッツプリティーアニモー!」
「モフモフの反応がするっs──」
「シーユーモッフル! (──“領域干渉”“空間転移”)」
モフモフの出現を感じたプレイヤーが、どこからともなくルハ°ンダイブをしながら飛び込んでくる。
乱入者の周りを空間ごと囲い、無理矢理飛ばして消し去る。
誰も居なくなった静かな砂浜で、俺はクエラムの毛並みを確かめていった。
「……ん、んぅ」モフモフモフ
「…………」モフモフモフ
「……ああっ、…………んっ、……うぅっ、め、めるしゅぅぅ…………」モフモフモフ
「…………」モフモフモフ
少しずつクエラムの気持ち好い部分を探り当て、そこを焦らすようになぞり始める。
クエラムは俺の指先が走る度に、ビクンビクンと動いて悦びを示してくれていた。
はい、この先はいろいろとヤバかったからカットしておきましょう。





