表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と再始動 九月目

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

569/2526

偽善者と五回戦 その後



 視界が戻る。

 野郎の心象世界から出て、元居た闘技場に認識が帰ってきたのだ。


 目の前には槍を突き刺した『物真似』がいる……はずだった。



「あれ……、どうなってるの?」



 目の前に居るはずの『物真似』はおらず、俺はなぜか右手に握った『無槍』を振るい、会場のあちこちから放たれる魔法やスキルを捌いている。


 左手にはお持ち帰りした魔剣が握られており、現実でもたった今、魔力による仮初の契約が結ばれていた。



《おや? お早いご帰還ですね》


「(なぁなぁアンさん、こりゃあいったいどういう状況なんでござんすか?)」



 困ったときは、アンに訊くのが一番だ。



《そうですね……まったく動かない二人に会場が揉めていましたので、代わりにわたしがメルス様を演じて凌いでおりました。その後他の眷属たちが干渉してきまして──なんやかんやの末、現在の状況に至ります》


「(……俺はその、、なんやかんやの部分が知りたいんだよ)」


《主犯格が判明しておりませんので、一部の愉快犯の仕業だとお考えください》



 まあ、別に良いけどさ。

『無槍』に吸収系の力を持たせ、消費した分のエネルギーを補給していく。


 心象世界での闘いとか、魔剣との契約でだいぶ消耗したからな。

 既知の能力は、全部吸収で良いか。


 放たれた技の数々を眼で視て捌いていく。

 欲しいスキルはこの身で受けて解析、要らなスキルは槍に触れさせてエネルギーを吸収する。


 一息吐くと、再び念話を繋ぐ。



「(それで、大会の方は?)」


《『物真似』の様子がおかしいとのことで、三位決定戦とエキシビションマッチは明日に延期されました》


「(へえ、そりゃあ良かった)」


《この会場に、イベント時に確認された偽者の反応は確認されていません。全くの別人、あるいはギリギリで生成されるかが当て嵌まるかと》


「(生成って、自分のコピーなのに同情を覚えずにはいられないな。要所要所でしか必要にされない虚しさ……うんうん、実に俺らしいところが可哀想だ)」


《メルス様に限っては、自業自得な部分が多いですがね》



 まったく、失礼なことを言う眷属だ。


 たしかにな、最近の俺は何もすることが無くてボーっとしていることが多かったぞ。

 赤色の世界や森人との交渉などもやっていたが、結局詰めは眷属が動くのだ。


 俺はあくまで仕立て役、物語で言うならば起承にしか出てこないようなキャラだな。


 コピーは一応転結ぐらいには出られそうだが、それでも中途半端な登場という点では変わりない。さすがは俺のコピーだ。



《では、御自身で行われるのですか? 世界間の変化や差異の調査、それに森人族と民達との折り合いや条約の締結、教育や情報交換と言った事柄を──》


「(…………すいません、俺みたいな奴じゃあやっぱり無理でした。これからも最初の方だけやらせて頂ければ充分ですので、申し訳ありませんがよろしくお願いします)」


《はい、承知しました》



 くっ、次こそは口撃で勝って見せる!




 そんな念話間で行われた口撃はさておき、未だに攻撃の方は続いていた。


 関係者からの攻撃は無いが、それでも大会参加者の一部から攻撃がされている。

 ちゃんとした証拠もある、だって客席じゃない場所から攻撃が来ているんだから。


 簡単に言うと──上から降り注ぐのが大体観客の攻撃で、それ以外は全部参加者の攻撃だと思われる。



「(えっと、アンはどんな口調で挑発してたか分かるか? さすがに急なテコ入れはビックリされるだろうし)」


《そうですね……たしか『へいへいこの──が! お前の自慢の────は────なのかよ!! テメェらもテメェらで──────じゃねぇか!!』などと言っていましたね》


「(放送コードに引っかかりすぎだろ。今時ヤンキーでもここまで言わないぞ)」


《資料だけなら図書館に沢山ありますから》



 適当な発言は止めてほしいな。

 それに前半、俺も心が折れそうになったから気をつけてね。



「(ま、いつまでも黙っていると怪しまれるだろうし……って、そういえばこれ、いつまで逃げれば終わるんだ?)」


《…………神殿に戻るまでかと》


「(死んじゃうから! 今の俺じゃあ死に戻りが転生と直結しちゃうから!)」


《冗談ですよ。……ほら、ちょうど聞こえて来ますよ?》



≪残すところ後一分、皆様頑張って狙い当ててくださいね!≫


「(え? ……これ、運営公認なのか?)」



 まさかの、公認でイジメですか!?



《メルス様の言葉は、運営神や運営の方々にも届いたのでしょう。当てたら景品と言う言葉に釣られて殆どの方が動きました。関係者は当然、後が怖いとの見解で辞めましたが》


「(……正解だよ、やっていたらとっちめていただろうさ)」



 生徒たちとやった屍鬼の強化版、そんなものでもやろうか。


 鬼は俺と俺のコピー、捕まったら罰ゲームルーレットでも回させそうか……ふははは。



「(ま、とりあえず理解できた。アンは解析作業の方の手伝いに回ってくれ。魔剣も仮の契約だからいつまで居てくれるか分からん。早い内に、今の分だけでも頼む)」


《了解しました、御武運を》



 そう言って念話を閉じ、一度“抑力の霧”で周囲の攻撃を一旦遮断する。


 そして、腹に力を入れて──叫ぶ。



「おいおいおいおい、もうこれでお仕舞いかよ! 所詮────なお前らじゃ俺に攻撃を当てることすら不可能だったんだな! それにそこの────共! 力を入れるのは──の時だけかよ! そんなんだから、いつまで経っても────なんだよ! もっと──をやれよこの────がぁ!!」



 するとまぁ、みんなのげんきがもりもりわいてきたよ。


 ──わーい、みんなやればできるフレンズだったんだね。


 残り時間が0になるまで、こうしたやり取りが続いた。




――の中身は皆様のご想像にお任せします。

次回からはこの章最後のバトル――ラスボス戦です。

描写不足は皆様のイマジネーションで補ってください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ