表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と再始動 九月目

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

567/2526

偽善者と五回戦 その03



「(……とは言っても、制限かかってるし。まあ、程々にやればいいか)」


《台無しですね》


「(全力でやるなんて言ってないんだから、別に良いじゃないか)」



 遠く離れた場所にいる『物真似』に向け、武器を構えて──突き出す(・・・・)

 捻るように前に押すと『物真似』の鳩尾に当たり、空気を吐かせる。



「ぐ、ぐぉおおおお! て、てめぇ……今度は何をしやがったぁあああああ!!」


「当ててみてください、それか真似てみてくださいよ。ねえ、『物真似』さん?」


「な、舐めやがってぇエえエエええエエ!」



 あ、壊れた。

 目がイッちゃってる人のヤツだよ。

 ……まったく、侵蝕されすぎだろ。


 武器を一度引っ込めもう一度、横に払うように振る。

 大気を揺らす程の轟音が鳴り響き、『物真似』が弾かれるように吹っ飛ぶ。



「【亜空転移】ィいイいいイイイい!!」


「わぁお、便利」



 自分の吹き飛ばされる方向に空間の罅を創りだし、そこへ入ることで飛ばされる勢いをその中で減衰させた。


 その後勢いが治まってから上空方向に現れて、元の位置に着地する。

 疲れ切っている様子を視るに、あまりコスパは良くないのだろう。


 それにしても、亜空への転移ねぇ……。

 亜空は物理法則が通用しない空間のことだよな、そこで慣性の法則的なものが消えれば勢いも無くなるのか?


 地球において物理法則は何重にも存在しており、魔法があるこの世界でも一部がそのまま法則として機能している。


 エントロビーやら万有引力やら、まあ色々あるわけだが……それならそれで理学魔法でも充分か?



《……解析完了しました、対【亜空転移】用に“抑力の霧”をアップデート──適応》


「(うん、なんか罪悪感が湧いてくるな)」



 そう言いながらも辺り一面に無色の霧を散布し、同じ手は使えないようにしていく。


 そして武器を再び初期状態で構え、今度は縦に振り下ろす。



「アぁアあアアああアアアあああ!!」



 もう言葉も発せていない『物真似』は、剣でそれを受け止める。


 強烈な重圧に足元に罅割れを作るが、それでも踏み止まっているんだから凄いよな。

 適当なところで振り下ろしを止め、武器をまた戻す。


『物真似』は荒い息を吐きつつ、こちらを睨み付けるように見ていた。



「ヨコセヨコセヨコセヨコセヨコセヨコセヨコセ……ヨコセェエエエ!!」


「(あーあ、完全に狂った。もうどうするんだよあ、これ)」


《まだスキルは隠しているでしょう。すべて曝け出すまでお待ちください》



 そうは言ってもなー、『物真似』の魔剣がギラギラとどす黒い色で輝いているぞ。


 持ち主を乗っ取ったのか? それならそれで、面白くなってきたから別に良いけど。


 というか『物真似』さんよ、寄越せってのはつまり奪うってことだろ? 全く、領分を弁えて欲しいよ。

 ──【強欲】な(うばう)のは、俺の仕事だろうに。



「ヨコソェエエエエエエエエ!!」


「……ウザい、行くぞ“無槍”」



 今まで振るい続けた武具の名を呼ぶ。

 薄らと槍の周りの空気が歪み、俺の呼びかけに呼応している。


 虚にして実、実にして虚の性質を持つこの槍は、透明で伸縮自在な便利な代物だ。

 敵が遠くにいるならば長く伸ばし、それを掻い潜って来たならば短くする。


 透明であるが故にそれを視認することは叶わず、真実を知らぬままに死へと旅立つ。


 え? 俺の動きでバレる?

 ノンノン、そんな甘い考え捨てなさいな。


『物真似』は今まで以上の動きで、俺を攻め立ててくる。

 右、下、回転からの左、右、上、左……暴力的な荒々しさの中に、凍てつくような冷静さが感じ取れた。


 スキルと魔剣の侵蝕を受け、今の『物真似』はどうなってるんだろうな? そこだけ少し、気になるや。



《二つの意志は現在、メルス様を倒すという目的の元に手を取り合っているようです》


「(完全に悪役ポジだな。最後には本人の意志も混ざって覚醒ってか?)」


《……楽しみですか?》


「(ああ、当然じゃないか!)」



 放たれる殺気などどうでもいいし、攻撃はすべて反射眼で捌いている。


 だから早くしてくれよ、俺もたまには親切なことをしたいんだよ。


 どんな奴の技も真似続け、並み居る猛者の権威を貶める最悪の存在。

 思いも、歴史も、そして意思を踏み躙り、真似た先に何があるかは分からない。


 だからこそ、それをやった先が気になる。

 ラーニング+魔剣持ち? 大丈夫、主人公ぐらいなれるさ。


 ちょいと弄らせてもらうから、こっちでは俺の楽しい傀儡(オモチャ)になってくれよ!



「(『物真似』を補助するスキルは……あ、そうだ──“精神破壊(マインドブレイク)”)」


「グォン!」



 眷属の固有魔法──精神魔法を使い、一時的に『物真似』の精神を破壊する。


 あ、ほら、元に戻すスキルもいくつかあるからさ、たぶん大丈夫だろう。



「さて、さっそく弄るか……って、そんなに簡単にさせてはくれないよな」


「ヨコセヨコセヨコセヨコセヨコセ……ヨーコーセェエエエエエ!!」


《『物真似』の精神しか破壊できなかったようですね。スキルの意志と魔剣の意志、それぞれを折らなければ駄目かと》



 再び攻めてくる『物真似』を、槍一本で捌き続ける。


 途中、俺の動きを真似したり、コピーしたスキルを使っていたが、そこら辺はアンに任せ、面白いことのために思考を集中させる。



「仕方ない……かな? それじゃあ──無理な方法で入るか(──“精神侵入(サイコダイブ)”)」



 槍を媒介に発動させ、瞬脚で一気に切迫した『物真似』に一刺し。


 そして俺は、『物真似』の心象世界へと侵入した。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
それにしても、亜空への転移ねぇ……。  亜空は物理法則が通用しない空間のことだよな、そこでベクトルの法則が消えれば勢いも無くなるのか? ベクトルの法則→慣性の法則が自然だと思います
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ