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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と再始動 九月目

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偽善者とルナ再誕プロジェクト 後篇



 三種の神器の内、八尺瓊勾玉と呼ばれる神器を知っているだろうか。


 三つの中であまりパッとしない、むしろ本当に三種の神器なのか? と言われるような代物だが……。

 とある説では、『月(陰)』を司る神器とされている。


 そう、月である。

 今回の目的であるルナと呼ばれる種族の再誕には、恐らく月に関係する神からの加護が必要と思われる。


 だがしかし、加護が欲しいと言うだけで加護が与えられる存在など……まさに世界に愛された者か、神々に観られている者だけだ。



 故に、それを自らが創り上げた、偽りの神器を以って再現することにした。


 可能な限り調べ上げた神の権能や伝承。

 それを矛盾が起きない程度に自分に都合が良いように作り変えて……擬似的に、地球の神話に存在する神の力を振るうことができるようにした。



 そこで、メルスは八尺瓊勾玉に注目する。

 自身の母国である日本。そこに伝わる月の神『月読』。


 とある小説でその神の素晴らしさを曲解して学んだメルスは、創り上げた八尺瓊勾玉にさまざまな効果を与えていった。


 それを発動し、イアスがその力を浴び続ければもしや……そう思い、下調べとしてそれとは相反する力を振るうことで、月の力を目覚めさせようとしていたのだ。




「おお、だいぶ慣れてきたみたいだな」


「ハァ……、ハァ。と、当然だ」


「ま、特に今までの特訓に意味は無かったんだが、これで次に行けるな」


「まだあるのか!」


 メルスは確証を掴んではいないが、イアスは里にいた森人の中でも神童と呼ばれる類の天才である。


 成長があるときから遅くなる森人なため、メルスはイアスを成人していると思い込んでいるが、地球人と比較するならばまだまだ子供なお年頃だ。


 そんなイアスはまさに傑物である。

 すでに八咫鏡によって天照の力を擬似的に使用しているメルスに、イアスは対応していたのだから。



 メルスがこっそり鑑定眼でイアスを視てみると、とても興味深いスキルが新たに記されていた。


 それを視て軽く苦笑いをしてから、八尺瓊勾玉を握り締めてイアスに語りかける。


「それじゃあ、今度は待ちに待った月の力で戦闘を行うぞ。さっきとは全然違う戦い方を取るから、今までの情報は全部捨てろ」


「あ、ああ……」


 真剣な眼差しで見つめてくるメルスを見たイアスは、反論する毒気も抜けてしまい、そう答えてしまう。


 それが、間違いだったのかもしれない。


「よし、全部捨ててくれるみたいだし……なら一気に作り変えるぞ」


「――はっ」


 気づいた時には時既に遅し、メルスは八尺瓊勾玉のスキルと(因子注入)を使用して、月の力を体に取り込んでいた。


 髪や瞳の色は月のように冷たくも美しい銀色の輝きを放ち、容姿もまたクール系なものになっている(先ほどまでは、逆に親しみやすい相貌であった)。


「それじゃあ、月の力を籠めるから――耐えてくれよ」


「くっ。やるしかないのか」


 弓柄を握り締め、イアスは再びメルスと対峙していく。


 イアスがルナに目覚める時は、そう遠くない未来である。



  ◆   □   ◆   □   ◆



 迷いの森 隠れ里



「――これが、お前たちの望んでいた姿そのものとまでは言わない。だが、少なくとも俺なりに工夫はしてみた。……というか、ルナに関する情報も無いのに、どうやって元のルナを知ればいいんだよ。せめて口伝以外に情報を保存する方法を取っておけよ」


「こ、これがルナの力……」


「おーい、ちゃんと聞いてるのかー?」


「なんという神々しい姿なのだ。まさかあのイアスが、ルナに至るとは……」


「イアスが一番至りやすかったってだけで、理論上ではお前達でもこの状態のルナにならばなる可能性はあるぞ。ただ、血が薄くなってるみたいだから、全員が必ずルナになるってわけでもないけどな」



 月の力を手に入れたイアスは、無事種族を変更することに成功した。

 ――その名も、『月読(ルナ)森人(エルフ)』。


 完全に日本の神様の名前が入っているのだが、それでも彼らが望んだ月の力はしっかりと宿っている。

 その結果が、この状況なのだろう。


 イアスの新たな身体的特徴を挙げるとすれば、月光のような銀色の髪と瞳が映えているということだろうか。

 元々イアスは一族の中でもやや髪の色などが銀に近かったので、まさかな……とは思っていたのだが本当にできるとは……ビックリです。




「さぁお前ら、俺は契約を果たした。だからこそ履行してもらうぞ」



 しばらくして、冷静になったと思われる長老たちに軽い威圧をかけてから話を行う。



「分かっている。契約に従い、我らは祈念者への敵対行動を極力控えよう」


「ん? おいおい、本当にそれだけか?」



「……は?」

「……へ?」



 うーん、どうやら相互の理解に差があったみたいだな。


 ちゃんと説明するか。



「俺は言ったはずだ。俺がルナを誕生させたら、俺の提示する条件に従ってもらうとな。俺が進化させたイアスの姿を、お前たちはルナと認定した。なら、契約は成立だ」


「ま、待て! だからこそ、我らは祈念者の無為な殺戮を控えると――」


「だから、それも一つなだけだ。お前たちにはまだまだ俺に従って動いてもらうんだ。俺がお前たちに対して感じた負の感情は一つだけじゃないんだぞ? 自身の罪に気づけば、お前たちから俺への贖罪をするのが正解だと思うんだけどなー」


「……あ、悪魔だ」



 誰が悪魔だ。

 ……成れるには成れるが、別に今やる必要は無いか。


 この後、いろいろとごっそり貰いました。




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