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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と再始動 九月目

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偽善者とPK 前篇



 始まりの草原


 今日も今日でクラーレたちに呼ばれないため暇な時間を過ごすことになる。

 いっそのこと眷属を呼べば楽しい時間が過ごせるんじゃ、とも思うがお仕事で忙しい者や戦闘に明け暮れる者が多いので、今日は止めておいた。


 最近ここでゴブリンにフルボッコにされたことが懐かしいので、今日はとある能力値とスキルを解放して、俺はこの地で闘争に身を委ねていた。


 そして今――。



「――――」「…………」



 星が見える綺麗な闇の世界で明らかに怪しい風貌をした存在と対峙している。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 さて、少し時間を遡ってみてみよう。


「“脚打(キック)”……そいやー!」


 GYAAA!!


 始まりの草原の奥地、そこで俺は一体のゴブリンと戦闘していた。


 武技を発動して目の前にいるゴブリンを蹴り飛ばす。光を纏った俺の右足が頭という名のボールに向かい――シュート!!

 ゴブリンはそのまま死という名のゴールににネットインして息の根を止める。


 ……うん、武技もちゃんと扱えるな。

 制限した状態でも、武技のマニュアルアクションができている。


 チャルの所持する(武技限界突破)によって武技をマニュアルで発動できるようになっている……だが最近は、プレイヤーもマニュアルにできるようになったとのことだ。


 武技を行うと宣言して、その武技の動きをなぞる……それだけで発動するんだから今まで練習していた甲斐があるってもんだ。


 あ、{夢現流武具術}を持っていると本当にイメージするだけで補正が入るので、適当な感じで武技を使っても武技として発動してくれる……うん、チートですね。


 蹴り飛ばしたゴブリンの元へ向かって、『ヤンデレ包丁』で解体する。スキル結晶も素材も解体できているがあまりレア度も高くはない。

 (錬金術)とか(合成)で纏めればそれなりに価値を作れそうだし、裏バザーで売り出すのもありだな。


 周囲にプレイヤーの反応は……今のところは確認できない。

 もう、ここら辺で狩りをするようなプレイヤーはいないのか? だいぶゲームとしても進んだだろうし狩場ももっといい場所が見つかったのかもしれない。


 第四陣とやらがチュートリアルに没頭する時期は終わっているので、今この場に来るのは依頼としてだけだろう。



「“指定召喚:(オーダー・)魔子鬼(デミゴブリン)”」


 GUGYYAAA!


 かつてダンジョンから解析して手に入れた魔方陣、それを組み込んだ(召喚魔法・偽)によってゴブリンを召喚する。

 これなら、集団戦を多く行うゴブリンと闘うことができるのだ。



「よし、次はこれ――"閃空斬(ライトスラッシュ)"」



 行うイメージは嵐脚、狙うはゴブリン。

 右足をゴブリンの首の辺りに構え――薙ぎ払う。

 鋭い何かが切れる音と共に、すると脚から斬撃が放たれ──ゴブリンの首が体から離される。脚に血液が飛ぶこともなく、綺麗な断面を残してゴブリンはバッタリと倒れた。


 ……うん、剣の武技だけで使えたな。

 これなら鎌鼬だろうが真空波だろうがやりたい放題使いたい放題だ。




 そうしていろいろな武技の練習を行っていると、周囲は暗闇に変化していた。

 上空では終焉の島で見ることのできなかった星々が見えており、なんだか感慨深いものがあるなー、と感じた。

 それでも俺は夜戦用の訓練を続ける。



「さて、次は……って、そこに隠れているのは誰だ? 早く出てこい!」



 ゴブリンを解体していると、<八感知覚>に反応があった。

 (望遠眼)と(魂魄眼)でそれを視認して本当にこの場に誰か居ることを察する。……魂を偽装するのは、なかなかに骨がいることだからな。


 魂にはさまざまな色が存在しており、その色によって本人の特徴を表している。

 そんな本人そのものとも言える魂を隠すということは自身の存在そのものをこの世から隠すということになる……うん、凄く難しそうだな。


 魂の色は――灰色、たしかその意味は……調和。

 黒と白の間の色で無彩色でありながら有彩色でもある。

 何色とでも上手く馴染めて周囲の色を引き立てる……そんな色だ。

 プラスに言えば穏やか、マイナスに言えば地味。

 いったい、どんな奴が来るんだ?



「ほら、さっさと出てこい!」


「――――」


「おっ、やっと出てきたか」


「――――」



 再び警告するとソイツは俺の普通に見える範囲に現れた。

 陽炎のように空気を歪ませ、外套を被って視界に入っているようで入っていないようにも感じる……そんな不思議な奴だった。


 俺はソイツと対峙して、無言の(せめ)ぎ合いを行っていく。


 そして、冒頭部分に戻る。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 いつまで経っても攻めて来ず、何をしたいたが皆目見当がつかな……ハッ!



「お前……まさか、PKなのか!」



 PK――プレイヤーキラーの略である。

 他のプレイヤーに対し、悪意を持って攻撃する悪質と思われる行為を続けるプレイヤーのことだ。


 AFOでもPKは存在しており、噂で存在自体は聞いていた。

 AFOではPKは公認でありキルされた場合アイテムや()、何より膨大な経験値を落とす。

 PKはそんな落とし物を拾う欲に何かを感じて殺戮を続けているのだ。


 ……いろいろと種類があったり、それの対応となるプレイヤー()キラー()キラー()、またそれらのみが関わることができる職業やスキルもあるのだが……今はその説明は良いか。


 コクコク


 俺の質問に多分頷いたと視える。

 ……歪んでてめっちゃ分かり辛いけど。


 なぜ今の弱々しい俺を狙うかは分からないが、相手も殺人桜桃を捨てていないなら、こうした弱者を狙う理由にもなる。


 初めてはいつも緊張するものだ。

 俺の場合は魔物は食べるという微妙な戦闘と、その後の{感情}による精神の異形化で全然気になっていなかったから関係ないが。


 ……そもそもあっちの桜桃を捨て切れない俺にそれを言う資格は無いのかもな。


 今の俺は何も武器を装備しておらず完全に無手の状態である。

 対して相手は外套の中に大量に武器を隠して持っている可能性もまた存在した。


 ……どうやって、対処しようかな?




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― 新着の感想 ―
 ……いろいろと種類があったり、それの対応となる|プレイヤーキラーキラー《PKK》 ルビが振れてないです
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