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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と再始動 九月目

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偽善者と無視される語り

あるキャラのセリフが全て『――――』になっていますが、仕様です



 彼女たちも主人公君のやる気が失われないよう、いちおうでも話を聞いているふりはしているようなのだが……うん、面倒だ。

 音は聞こえないようにしているはずだが、最大限の警戒心を籠めて念話にして──。



「(ますたー、帰っていい? 必要になったら印で呼んでくれれば戻って来るからさー)」


「……助けてください、メルちゃん」


「(えっと……殲滅? 撲滅? それとも――壊滅?)」


「……あの方のやる気を削がないよう、穏便な方法でどうにかできませんか?」



 と言われてもな~。

 困っているクラーレに手を貸したいのはやまやまだが、手が多すぎて難しいんだよ。


 現状を今一度洗ってみようか。

 俺たちがいるのは冒険者ギルド、正確には中心辺りに置かれた席の一つだ。

 主人公君はギルドの上の階から叫び、偶に彼女たちの良い点を挙げ、チラチラと見る。

 そういった視線に敏感な彼女たちは、うんざりな感じで俺に遮音結界を要求した(ま、見ていたのは主人公君だけじゃないがな)。


 ……ここまでが、状況のあらすじかな?

 あとはそこに、前回話した事情を織り交ぜれば大体が理解できるだろう。

 主人公が訪れた町は、レイドボスに襲われる危機に直面していた。

 主人公はプレイヤーたちに呼び掛け、レイドボスに挑もうとする。

 しかし仲間がいない(?)主人公君は、見た目麗しい女性プレイヤーたちが話しかけてくるその瞬間を今や今やと待ち侘びている……うん、馬鹿だ。


 最後は俺の勘でしかないが、なんとなく当たっている気がする。

 男の大半はそんなもんだしな。

 ……あれ? 最近の主人公は異形な精神の持ち主が多いんだっけか?


 おっと、今はどうするかだったな。



「(じゃあ……洗脳? 催眠? はたまた――隠れ身?)」


「……最後の提案はどういうことなの?」



 ここで話を聞いていたリーダー、シガンが俺に尋ねる。

 初めて会った頃のツンケンした感じがなくなり、だいぶ丸くなっている。

 やっぱり、【固有】の侵蝕のヤバさがよく分かる実例だよ。


 にしても、今まで彼女たちと共に色んなクエストをこなして来たが、困った時のメル任せが激しくなって気がするな。

 ……うん、これが終わったら使用制限を掛けようか。縛りすぎるとこっちが暇になるから……一週間に一回は論外だが、せめて二日に一回ぐらいにしようかな?


 だって、生産の大半を俺任せにしてくるんだぞ。ギルドやってんなら、生産担当の仲間ぐらい誘っておけよ!

 なのに彼女たちと来たら……『メルがいるから問題なし!』って言ってくるんだよ。

 ハァ……、わざと劣化した物を作るのって大変なんだぞ。


 また、主人公君対策を忘れていた。



「(そうだねー、時間になるまで身を隠しているだけだよ。空間転移でも完全偽装でもあの人から見えなくなるようにするでも……言われれば大体のことはできるよ)」


「空間転移!? 魔法は使えないんじゃ」


「(……えっと、魔道具を持っているんだよ。ますたーたちが条件を呑んでくれるなら、私はそれをあげようとしてたいるんだけど……まだまだ渡せないねー。あ、説明だった――ますたーたちがその魔道具を使えば、迷宮都市への移動が可能になるよ。プレイヤーで行けるのは極少数しかいない幻の都市。いつか普通に行けると良いね)」


「迷宮都市……聞いたことないわね」



 うん、秘匿させてるからな。

 もしバラしたらそいつは通行不能するぞ、と脅してあるし、俺からの制裁があるとも告げてある。


 ただPvPをするだけなのに、どいつもこいつも怯えやがって……今の俺は、もう負け犬なのにな。


 あ、魔法に関してはすでに説明してある。

 あれだけ近接戦闘無双を見せていれば、いちおうの理解はしてもらえた。

 魔法っぽい現象を気力で再現できると誤魔化すのは……少々大変だったが。


 主人公君の話はまだ続いているのか、口を未だにパクパク動かしている。

 暇な時間に読唇術を齧ってみたが、別に聞きたくないから読み取らなくていいか。



「(それで、みんなどうする? 私としては、あそこにいる人を気絶させるのが一番いい方法だと思うんだけど……)」


「メルちゃんって、たまに黒い部分が出てくるよね」

「可愛いのだし、良いのではないか?」

「いつも~、お世話になってるしね~」

「もうこの娘なしじゃいられないしね」



 他の方々の感想はこんな感じだな。

 うん、今まで俺の出した料理をずっと食べてたんだよ。

 だから無言だったし、意見もこっちからは出していなかったんだが……やれやれ。



「メルちゃん、あの方はわたしたち以外の人にも言葉を伝えています。その言葉で依頼を受けようとする人もいるだろうし、邪魔をするわけにはいきません。ですから、わたしたちはこの場を去って、ダンジョンのある場所に行きましょう」


「(ますたー、最後のが本音?)」


「うっ……」


「クラーレ、昔話したダンジョン物に興味を持っててくれたのね。そういうことだから、メル、転移をお願いできるかしら?」


「(はーい、ますたーが望むならー。あ、だけどこの場では使えないから、フィールドに出てからね)」


「――と、言うわけよ。今すぐ外に出るわ」


「「「「「はーい!」」」」」



 ガタガタッと椅子を動かす音を鳴らし、彼女たちはギルドを去ろうとする。

 それを見たプレイヤーの一部が、それを追いかけようと同時に立ち上がる。



『――――!』


「……何の用?」



 主人公君が上の階から飛び降り、俺たちの前にやって来る。

 手話で指示(ハンドサイン)を俺に送ってきたシガンに付与した結界を解除し、主人公君との会話役に任命する。


 ちなみに、さっきのセリフは『ま、待ってくれ!』的な感じだった。



『――――、――――!』


「ごめんなさい。私たちは私たちで動くから必要ないわ」


『――――――。――――――――!』


「ええ、貴方の助力は要らないの。それじゃあ、私たちはこれで失礼するわ」



 再び彼女がハンドサインを送って来た。

 今度は用済みの意を示していたので、周りにいるプレイヤー全てにそれぞれ結界を生成し、俺たちを追ってこれないようにした。


 ふぅ……、これで面倒事の半分は終わったようなものだな。

 あとは彼女たちを迷宮都市(ラントス)に案内して、ボス戦を待つだけだ。




今回主人公はガチで主人公君の言葉を聞く気が無かったので、セリフが全て『――――』となっていました。……あ、いえ、作者が書くのが面倒と言う訳ではないんですよ。本当ですよ!

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