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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と再始動 九月目

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偽善者と贈り物



「ノゾムさん、下がっていてください!」


「は、はい(――"異常眼")」



 突然襲ってきた魔中鬼(デミホブゴブリン)を見て、彼女は俺にそう指示する。

 その指示に従って後方へ下がると、こっそりとホブゴブリンへと状態異常を起こす。

 それによって少々弱ったホブゴブリンを相手に、彼女は杖を振り回して戦っている。


 ……結局、俺は彼女の事情は訊かないでおいた。

 彼女にはパーティーがいるんだ。

 本当に困ったら、きっと彼女たちがどうとでもするだろう。


 ――モブには、関係ないことだ。


 強者たちは、決して対等の存在がどうにかしてくれるような悩みではなかった。

 あとはどうであれ、上から支えるような救い方でなければ、例え主人公であろうと一度は失敗するようなイベント……それが強者たちの面倒事である(はい、面倒だったです)。


 さて、強者のことは今は置いておこう。

 魔中鬼の討伐適性レベルは──確か30。


 イベント時は別だとしても、本来ならばかなり高いといえるだろう(今の俺だと、土下座もする暇も無く首をシュート! って感じになりそうだ)。


 一方、彼女の(種族)Lvは33。

 一応の適性Lvは超えているが魔法職、それも回復系統の職業だ。

 そう簡単には倒せなかっただろう。



「凄いですね、さっきの戦闘。さすが、回復職でこの道を行こうとしていた実力の持ち主ですよ」


「…………」


「あ、あの……どうしましたか?」


「い、いえ。前に戦った時より、何だか弱くなっているなぁ、と思いまして。もしかしてノゾムさん、何かしましたか?」



 か、完全にバレとるぅぅうう!!

 お、落ち着けスティーブ。

 待てばなる、待たねばならぬ柿の種だ(意味不明)。

 ここは誠意を持って誤魔化せば……って、むしろ怪しまれるだろうが!!



「いえいえ、私は隠れることしかできませんでしたよ。レベルが上がったから、などの理由からではないんですか?」


「……確かに、そうかもしれませんね。あ、早く急がないとですね」


「はい、行きましょう」



 そう言って、彼女は再び足を動かした。


 ……フゥ、危ねぇや。

 やっぱり(異常眼)は禁止だな。

 その気になれば即死にもできただろうし、一般ピーポーが使うようなスキルじゃないよな、これ。


 あ、彼女は(解体)持ちじゃないのか、倒したホブゴブリンは光となって消えたぞ。

 自動解体がなされて、インベントリの中に入ったのだろう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ウーヌム 転移門前



「……本当に、ありがとうございました」


「いえ、わたしはただ、ノゾムさんとお話をしていただけですよ」


「ハハッ。では、そういうことにしておきましょうか」


「フフッ。お願いしますね」



 無事にウーヌムの入場審査も終えて、俺たちは町へと辿り着いた。

 景観は……やっぱり中世のちょい田舎みたいな感じかな?

 例えるなら、元過疎地?

 まあ、とにかくThe・田舎って程ではないが、懐かしさを感じる、と言った場所とでも思ってくれ。


 転移門に登録をして、現在の会話に至るというわけだ。



「……すいません。まさか、既にクエストに向かっているとは思いませんでしたので」


「いえいえ、もともと駄目元でって気分で言いましたので……あ、そうだ! ここまでわたしの会話の相手をしてくれましたので、お礼を差し上げたいのですが」


「えぇ!? お、お礼だなんてそんな! わたしは、そんなつもりじゃ……」


「それはさっき聞きましたよ……っと、これが良いですね。では、これをどうぞ」



 ボッチに構ってくれる優しい人には、俺もしっかりと礼をしないとな。

 そう思い、“空間収納(ボックス)”からある物を取り出して渡す。



「これは……結晶、でしょうか?」


「その通り、見ての通り結晶ですよ。嫌がらせという程に隠蔽や偽装系の効果が掛けてありますので、鑑定や看破系のスキルの育成用に使ってくれてもいいですよ」


「……この結晶って、どんな効果なんでしょうか?」



 少し疑心の色が混ざった目で、彼女は俺にそう尋ねる。

 まあ、そこまで怪しいですと勧めた物に、何もツッコまないのは少々問題だしな。



「簡単に言えば、召喚の媒体です。それを割ることで中の魔法が発動して、ちょっと面白いことが起こります」


「面白いこと……ですか?」


「えぇ、そうです。そのときに何を必要として使うかは分かりませんが、それが正しいことである限り、その際現れる存在は必ず手を貸してくれます。死者の蘇生であろうと、世界最強の魔物の討伐であろうと……復讐であろうと」


「…………」



 それを聞いた彼女は、何やら思案するように目を伏せる。



「一度しか使えませんので、使い所をよーく考えて割ってくださいね」


「…………本当に、何でもやってくれるんでしょうか?」


「……はい?」


「例えば……友達を助けてほしいという願いでも……」



 そう言った彼女の目は、あのときと同様に悲しみを帯びていた……気がするよ。

 さっきから感情云々って言っているが、あくまでなんとなくだぞ。

 なんでモブに、そんな細かいことが解るというのだ。


 ま、質問の答えは決まっているがな。



「安心してください。手を貸すだけですが、必ずどんなことでも叶えてくれますよ」


「……そう、ですか……ありがとうございます。ノゾムさん」


「いえいえ、私自身が何もできないのが、とても残念なところです」


「フフッ。いえ、ノゾムさんはちゃんとしてくれましたよ。では、わたしは仲間の元へ向かいますので」


「はい、お気を付けて」



 そう言って、俺たちは互いに別方向へと歩いていく。

 ……さて、使う機会なんて、無い方が良いと思うんだけどな。




暫らく他キャラサイドでの話が続きます

好まない方もいると思いますが、それがAFOクオリティでございます

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