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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と飛ばされて終焉の島 後篇 八月目

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偽善者と『封印邪神』 その05



夢現空間 修練場



「たっだいま~! ……って、どうしてそんなにお通夜感が満載なムードなんだよ」



 帰って来た俺を迎えてくれたのは、どんよりとしたオーラを放つ眷属たちだった。

 迎えてくれるのはありがたいんだが、そうも重たい空気だと……ちょっとな。



「あ、それとグー。人の記憶を微妙に良い感じに加工して観せてたらしいけど、アレはさすがに詐欺だからな。そういうのは、図書館で観たい奴だけが観ればいいんだよ。今度からは勝手に無理矢理流すのは禁止。OK?」


『……ああ、了解したよマスター』



 低いテンションで答えるグー。

 ……いや、本当にどうしたのさ。



「おいおい、なんでそんなにしょんぼりした感じなんだ? ほら、主様に相談しようぜ」


『…………』


「お、お~い。だ、誰か、返事してくれよ。主様って、寂しいと泣いちゃうんだよ」


『…………』


「……グスン」



 物凄く虚しく感じるよ。

 せっかく戻って来たっていうのに、まさかの歓迎ムード感0……泣きたくもなるよ。

 すると、マイフレンドのカナタが近くまでやって来る。



『なあ、怒って……ないのか?』


「怒る? 何を?」



 尋ねられた疑問の意図が、まったく読み取れない。

 何かされたっけ? 別に問題のあるようなことは無かったと記憶してるんだが……。

 {夢現記憶}の故障かな?



『いや、だから……その、お前が行こうとするのを、邪魔したことだよ』


「う~ん……別に、怒ってないが」


『本当ですか?』



 ありゃりゃ? アンまで訊いてきた。

 俺って、そこまで怒りやすい奴に見えるのかねぇ?

 ……よくよく思い返してみると、結構な頻度で怒っている気がしてきた。

 うん、たまにノリでブッ殺的なことも言ってたな。


 まあ、誤解を解かないとな。



「いや、結局俺は行ったわけだしな。お前たちは暴走がちな主様を止めようとしてくれただけだろ? それに、止めてくれたのだった必ず理由があるだろうし――家族だしな。本当に怒る必要も無いのに、お前らを意味も無く怒るなんてこと……俺にはできないよ」


『メルス……』



 カナタが微妙に感動している気がする。

 いや、これって普通のことだろ。


 ちょっと出かける前に鍵をかけられてたってレベルの話だろ?

 俺は普通に鍵を開けて出かけたんだから、もう別に良いだろうに。


 なのに眷属たちは、どいつもこいつも何故か目から涙の感動だよ。

 まったく、これで泣くぐらいなら、本当の感動ものの映画とかを観た時はどれくらい号泣するんだよ。

 あ、確か記憶の中にあったな(ちなみに、俺はそれを観て泣いた)。



 ――あれ? 前にも似たようなやり取りをしたよな? なんでまたやってるんだ?



「はいはい、この話はこれでお仕舞い。さぁ早くスマイルスマイル。泣いてる顔より、主様は笑い顔の方が好きだぞ」


『はい!』



 うんうん、可愛い娘には笑顔をさせよ、とは良い言葉だな。

 正にその通りだ。


 え? そんな言葉は無い?

 いや、まあ俺の造語だしな。

 ……って、そんなことはどうでも良い。


 大切なのは、目の前に広がる美(少)女たちのスマイルフェイスなのだ。

 普人や獣人、森人や魔人、更には希少な種族の娘までもが俺のため(?)に笑ってくれているのだ。


 もうこれだけで、俺の人生の運の大半を使い果たしたしても満足して死ねるよ。

 ……もう凶運の俺に、そんな運が残っているかどうかは別としてな。



『──で、われはいつまでこの茶番を見させられなければならないのだ?』


「『……あ』」



 俺の後ろでずっと待っていた邪神、リオンがそうツッコむ。

 ……うん、すっかり存在を忘れていたよ。



説明中

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



食堂



「――というわけで、終焉の島からの脱出の目途がついたことを祝して……」


「『乾杯!』」



 やっているのは、今言った通りだ。

 リオンとあれからいろいろと話したが、彼女の神氣(リソース)が一定量貯まれば脱出できるとのことである。

 いやー、長かったね~。

 これで俺もようやくログアウトできるよ。

 ……俺の体の件については、レイたちに訊いといてあるから心配してないぞ。

 (いちおうではあるが、)大丈夫らしいし。


 そして現在、それを祝したパーティー中。

 普段はあまり出すことのない豪華絢爛な食べ物や、日本の文化が誇るネタ飯など、さまざまなフードを食堂に並べて祝っている。


 そして、もちろん俺は――。



「ほら、じゃんじゃん食べろよ。今まで溜めておいた食べ物も一気に解放してるんだからな! 欲しいのがあればいつでも作るから、好きなだけ食べてくれ!

 へい、イカ焼き一丁とたこ焼き一丁!」



 厨房に籠もって料理を行っている。

 "不可視の手"も眷属の一部も料理を手伝ってくれるので、あんまり疲れないな(眷属は交代制でやってもらっている。じゃないと食べられないしな)。

 俺は腹が減らない体質になっているし、今は食べないで良し!

 みんなの分を一気に作り、そのあとに余った時間で賄い飯でも食べるさ。



『メルス、少しいいのだ?』


「お、どうしたんだ? 葡萄飴ならさっき十本持っていただろう? あ、林檎飴の方が良かったのか?」


『それは貰うのだ……じゃなくて、われは本当に眷属のままでいいのだ?』



 うん、あれからリオンの眷属印を解除しようとしたんだけど……外れなかった。

 理由はほぼ分かっているから、別に俺は構わない。

 全て本人(神)次第の話ってわけだ。


 ――それより今は、目の前の少女の不安そうな顔をどうにかしないとな。



「その内大きくなって、独り立ちするまではここに居ろよ。小難しいことは、大人になってから考えるもんだぞ」


『われは子供じゃないのだ!』


「はいはい、分かってますよお嬢様。はい、新作のメロン飴。あ、でも子供じゃないならいらない『……欲しいのだ』はい、どうぞ。

 ま、心変わりがあったらすぐに言ってくれよ。そしたら解除するからさ」


『分かったのだ。でも、絶対にメルスをギャフンと言わせてからにするのだ!』


「はいはい、オッケーオッケー」



 さて、リオンもムキーッとか言えるぐらいには元気になったし、これでまた平和な日々が訪れるな。

 ……と、思ったんだが。



《主様……いつものです》


「……またかよ」



 運営は、イベントが大好きなようです。




第一部これにて完結! 次回は掲示板回となります。

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― 新着の感想 ―
リアルの方の体の無事を確認、脱出の目処がたつ、魔導が使えるように…もうすぐか…?
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