表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と飛ばされて終焉の島 後篇 八月目

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

477/2526

偽善者と『白銀夜龍』 その08



夢現空間 修練場



「ほへ~~」



 再び【怠惰】モードへとシフトした自身の体のために、俺は"不可視の手"を発動させて上空でまったりとしていた。


 ……うん、まさかマッサージまでできるとはな。

 最初の頃は力の制御に苦労したが、今ならそういった微細なコントロールも可能になったよ。


 そうしてだらだらと休んでいるが、口の中では鼈甲飴のようなものを舐め回すために活動中だ

 甘ったるい味が口いっぱいに広がるのが、疲れた脳に良いんだよ~。



「にしても頑張ってるな~」



 地面を覗くと、眷属たちがたった独りを相手に協力しながら、戦いを挑んでいた。

 だが相手もそれを相手取れるほどに強者であるため、戦いは激化の一途を辿っている。


 ……いろいろなことがあったものだ。

 俺はこちら側に戻って来た際の出来事を思い出し、そう考える。


 今回はガチでヤバい闘いだったので、日常に用いるさまざまな機能をOFFにして闘いへ向かった。

 その影響で眷属の大半が、今まで行っていた盗聴方法を取れなかったらしい。

 ……うん、この時点でいろいろとおかしい気もするが、そこら辺はもう慣れだな。


 そのため、情報を知れる眷属の元に他の眷属が集まっていたらしい。

 そしそういったことからなぜか、帰って来た俺は様々な批判の嵐を受けることになったのだ……本当に、なぜそんな目に?


 曰く、『せめて動画配信ぐらいしてください』とか『ごしゅじんさま、ぼくたち凄ーく心配したんだよ』とか、『おいおい、連絡ぐらいつくようにしようぜ? 今回俺もかなり仕事させられたんだぞ? ったく……あ、美味い飯で手を打とうじゃないか』などと言われたな。


 最後の奴に関しては、冗談九分九厘で媚薬入りと言って、Mの店のバリューセットをプレゼントしたぞ(そのとき、なぜかソイツの相棒が舌舐めずりをしていた光景を、俺は見てしまった)。



 まあ、とにかくいろいろあったわけだよ。

 あれから、体感で一週間ほど経っている。


 本当に、やる気が湧いてこないものだ。

 既に膝枕療法はやってしまったからな、長時間やる気を継続することはできなかった。


 俺に色んな意味で勇気があれば、山脈やムチムチを枕に寝ることもできるだろうが……桜桃にそれは無理だ!

 一応でも【色欲】を持ってるんだけどな。



『主様よ、儂の戦いはどうであったか?』


「……すまん。正直、黄金糖と最近のことを思い返していたから観ていない」


『……むぅ。ならば、儂にもその黄金糖とやらを寄越すのじゃ』


「へいへい、ゆっくり舐めろよ」



 何が『ならば』なのかは知らないが、顔をムスッとさせている目の前の女性に、俺は自身の舐めていたのと同じ鼈甲飴――通称黄金糖を渡した。



「それで、みんなはどれくらい強くなれそうだ? ソウ」



 ……ああ、説明を忘れていたな。

 目の前にいるのは、銀龍改め名を『ソウ』と言う。

 理由は植物の一種『ギンリュウソウ』だ。

 俺のセンスはもうどうしようも無いから、気にしないでくれるとありがたい。


 ソウは俺の質問に、腕組みをしながら答える……ワォ、乗っかってるよ。



『うむ。儂のお蔭である程度は向上してようじゃ。これは褒美の一つや二つ、あるかもしれんのう』


「へぇ~。本当にソウ自身がその戦闘力で満足しているなら、褒美について、考えないこともないんだがな」


『……むぅ、その言い方は失礼ではないかのう? 主様よ』


「そうか――なら、止めようか」


『そ、そうは言ってはなかろう。儂はただ、今までの功績を認めてじゃな……』


「……ハァ? 功績も何も、ただ舞台から一歩も動かず眷属たちを弾いてるだけだろ? ソウのやっていることを客観的に言ったら、所詮それしかできてない能無しって結果しか残ってねぇんだよ。大体、最強の生命なんだろう? なら、なんで俺に負けてるんだよ。なんで眷属たちとの戦いで掠り傷が付いてんだよ。本当に駄目だな、ソウは」


『~~~~~~~~ッ!! も、もっと、もっと罵ってほしいのじゃ、主様!!』



 ……ここ最近、俺の心身を最も悩ましているのがソウのこの性癖である。


 これは俺が原因とのことなので、仕方なく責任を取って、時折こうして対処している。

 甘い言葉でも喜ぶと言えば喜ぶのだが、罵ると悦ぶので……仕方なくやっているのだ。

 まあ、今のセリフに関しては素で浮かんだものだけどな。



「……さて、アイツらはどれくらいしたら俺に勝てると思うか?」


『……放置プレイは勘弁してほしいのじゃがのう。お主の眷属じゃ、そう長くない内に儂らと同格の力を手に入れるじゃろう』



 落ち着いたソウが答えてくれる。

 ……同格、か。


 修練場に置かれた一つの門を見ながら、俺はソウに尋ねる。



「ソウは最強の生命だったんだよな」


『……うむ。主様に貫かれるまでは、神すらも撃退する最強の生命じゃったよ。それがどうかしたのかのう?』


「いや、俺はどうせなら最強より、無敵になりたいなってさ」


『無敵か。この世界にその言葉を冠することができる者は、神を含めても存在せぬじゃろうて。何せ、生命は生きているだけで敵を生むからのう。敵がいない者など、その者以外に生命が存在しない世界にしかおらんじゃろうに』



 最強には誰にでもなれる可能性がある。

 強くさえなれば、その最終到達点が自動的に最強になるのだから。


 なら、無敵はどうすればなれるんだ?

 敵が一人もいない環境にする?

 ……それこそ不可能だろう。

 誰かと関係を持てば誰かの反感を買う。

 誰とも関係を持たないならば、それもまた反感を買う。

 リアル人生ゲームはそんなものだととあるゲーマーは言っていたが――要は無敵は不可能に近いってことだな。



「……まあ、自分の手が届く範囲での無敵なら可能なんだろうけどな。自分の知っている奴の中に敵がいるかいないか……それぐらいだったら、まだどうとでもなるのかな?」


『主様は無敵になってどうするのかのう?』



 ソウが尋ねてくる。

 う~んと……クソッ! 『そうだな~』って言えないから面倒だ。



「……偽善者として行動するだけだよ」



 敵がいないなら、思う存分活動ができるからな……あのときと違って。

 少し下がったテンションを盛り上げ、この後はただソウと色々なことを話した。

 (なじ)ることも忘れずにやったぞ。




『白銀夜龍』篇はこれにて終了です。

作者のイメージ的に、ドラゴンにMな気がします。何故でしょうか?

何故そうなったかは、なろう小説を読めば幾つか似た案件があるので分かると思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ありふれてない無職のところの龍さんもドMですか…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ