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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と飛ばされて終焉の島 後篇 八月目

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偽善者なしの『極塔之主』 その04



 0:05


 第一階層の扉には、召喚の際に使われていた物とは異なる魔方陣が描かれていた。

 予め召喚しておいたネズミやゴブリンが、出撃の命令を今や今やと待ち望んでいる。


 0:04


 それは、相手のダンジョンへと向かうための魔方陣。

 当然、相手側にも同様の魔方陣が展開されている。それが決まりだ。

 この魔方陣には初回使用時のみ、半径5mに外部からの侵入を防ぐ結界を生成する効果が付与されており、開始前にNPCを送り込むことはほぼ不可能である。

 しかし、それ以降は両者で共有する物となり、どちらかが使用している間はもう一方は使用不可能になる、そのような仕様へと変更される。

 使用条件は第一階層の制覇。

 相手が侵入した階層は改変や魔物召喚が不可能となる為、このような条件が設けられている。


 0:03


 そのため、第一階層には彼らの他にも、階層の守護者が存在しており、第一階層を制覇されないように警固を行っている。


 0:02


 ここで、疑問を抱くかも知れない。


 ――何故、強力な魔物を召喚して攻めさせないのだろうか、と。


 確かに、それをすれば相手側の第一階層を取るのは容易いだろう。

 ……だが、それもまたルールとは別の規則によってある条件が課せられていた。

 と言うより、魔法陣の大きさを知っていただけると理解することになるだろう。


 魔方陣の大きさは半径50cm程の物であり、大型の魔物が通ることは不可能。

 さらに、魔物の強さをある基準で測定する機能も備わっており、ある一定基準を超えた魔物も通ることが不可能である(端的に纏めれば、転生したスライムであったり、3cmの法師への対策が施されている)。


 これは、自チームが送り込むNPCに別途の魔方陣を持たせることで解決が可能だ。

 魔方陣展開用のアイテムはDPによって購入が可能であり、その中には基本オプションとして用意されている魔方陣より高性能な物も存在している。

 それを使用することで、より強力なNPCたちを送り込めるのだ。


 0:01


 そして、魔方陣が仄かに光り始め、起動可能な状態になっていく。

 最上層でそれを眺める彼女たちも、久しぶりのダンジョンバトルのためか、少し緊張気味であった。


「……やるぞ、コア」


《ええ、勝ちましょう、マスター》


 0:00


***********************************************************


これより、ダンジョンバトルを開始します!


『天極の塔』VS『凶楽の花園』


ルール:無制限


勝利条件:コアルームへの到達


制限時間:∞

征服率:0%  被征服率:0%


***********************************************************


 SIDE CHANGE →『凶楽の花園』マスター


***********************************************************


これより、ダンジョンバトルを開始します!


『天極の塔』VS『凶楽の花園』


ルール:無制限


勝利条件:コアルームへの到達


制限時間:∞

征服率:0%  被征服率:0%


***********************************************************



 一方、『凶楽の花園』側でもさまざまな出来事があった。

 最下層では蒼銀の髪と黄金の瞳を持つ少女が、画面を操作しながら一人呟く。


 画面の右端には、自陣のダンジョンから解き放った魔物がいる階層が映っており、少女はそれを眺めていた。


「……主様、ご無事でしょうか?」


『天極の塔』側が放った魔物は計十五体。

 現在見つけ次第、第一階層の魔物たちが駆除を行っている。

 だが一方で、『凶楽の花園』側が送り込んだのは――たった一匹の魔物である。


 それは、小さな子鬼(ゴブリン)であった。

『天極の塔』側が放ったのが普人族の半分程の大きさのゴブリンであったのに対し、そのゴブリンは、さらにそれを半分にした程の大きさである。


 ――だが、その説明は刹那の間に覆る。


 小さな子鬼が器用に指を擦り合わせて鳴らすと、一瞬眩い光が映像を白くする。

 映像が元に戻ったとき、光る前と違う点が一つだけあった。


 ――子鬼が居た場所に、一人の男が立っていたのだ。


 全てがノイズが掛かったように不安定で不確かな、だがそれでも男と分かる容姿を持ったその者は、体の調子を確かめるかのように腕をグルグルと回している。


『天極の塔』側の魔物も、突然現れたその男に困惑しているのだが……驚くのはさらにその後の展開に、である。


「……どうか御武運を」


 今度は画面中に白い霧が出現し、辺り一面が真っ白な空間になる。

 すると、光っていたはずの魔方陣が輝きを失い、魔法を放とうとしていた魔物も魔法が発動しなくなる。


 だがその中で一つ、輝きを放つ魔方陣が存在した。

 それは、その男の足元に展開された魔方陣である。


 扉に描かれた魔方陣よりも複雑かつ広大なソレは、七色の光と共に発動する。


 光が収まるとそこに男の姿は無く、代わりに複数の女の姿が確認された。


 全ての女性が同じ鎧を身に付け、魔法陣の上に立っていた。

 その中には連絡役として『天獄の塔』に訪れた少女もおり、楽しげな笑みを浮かべて別の女性との会話を行っている。


 ――そして、あの男は今……。



 SIDE OUT



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