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02-08 武具創造【嫉妬】

SPや職業関連でほんの少しだけ修正が加えられております



「まあ、使わないことにしたでござる」


 現実でも悩んだ結果、レイさんにわざわざ迷惑をかけるのもあれという考えに至った。

 彼女と懇意になるのは、公私それぞれに意義があること……だがしかし、本当に彼女がそれを望んでいるのかはまた別問題だ。


「そもそも、素の口調というのもかなり厳しいからなー。俺、あんまり女の子と話したことないし」


 いや、商業店での応答や事務的な会話ならちゃんとできるけどな。

 基本ソロ活動しかしていないので、俺に女子を喜ばせる会話のテクニックなど無い。

 ……スキルとして、この世界で入手すればどうにかなるのかな?


「スキルリストの中に、そんな便利なスキル載ってたかな~?」


 せっかくなので、そんなスキルがあるかどうかを探してみる。

 おそらく技能に当て嵌まるのだろうが、適性は(全技能適正・小)により向上している。


 なので探せば、該当するものがあると思った……のだが──


「えっ?」


 何一つ、存在していなかった。

 演技とか詐術とか睦言とか、もうなんでもよかった……けど、何も存在しない。

 そこまで俺にコミュニケーションに関する適性がないと、遠回しに告げられているように思えた。






「──ふぅ、今回もイイ武具が生みだせた」


 エッ、スキル? ナンノコトカナ?

 ……ナニモ、ナカッタンダヨ。


 そんなことは置いておくとして、新たに生みだした武具について説明をしなければならないだろう。


「うん、何を創ろうと思ってイメージを固めればすぐにできたな」


 これは創作物とは関係なく、現実でも存在しているからだろうか?

 ほんの少しのオプション、そして俺の個人的な感情を強く注ぐだけで創造できた──


---------------------------------------------------------

狂愛包丁 製作者:メルス


魔武具:【嫉妬】 自己進化型

RANK:X 耐久値:∞


今代の【嫉妬】所持者が創りだした魔の包丁

料理・解体時、または所持者が嫉妬する対象にのみ使用可能

後者として使う場合、刺突された対象は保持者の嫉妬度合によって防御判定を無視したダメージを受ける

また、この包丁は意思を宿しており、攻撃や主以外の者を拒絶する


装備スキル

(自我ノ芽)(病魔法)(完全解体)(料理:家庭)

(防御貫通)(強制痛覚)(刺突成長)(?)……

---------------------------------------------------------


「【嫉妬】、それすなわちヤンデレなり。包丁としての概念に加え、そうした要素を取り込んだ結果生まれた武具でござる」


 ヤンデレに似合わない解体と料理に関するスキルがあるのは、そういった理由だ。

 バラバラに切り刻む的な意味で解体を、調理的な意味で料理を入れるのは普通……のはずなんだがな。


 まあ、残りのスキルはヤンデレ要素をふんだんに注ぎ込んだつもりだ。

 それこそが、俺の目的である──


「リア充狩りじゃー!!」


 おっと、つい口に出てしまった。

 これこそが俺の本音、これまでに語ったことなど大いなる目的の九割でしかない。


「意気込んでも、どうせリア充に遭うことの方が少ないだろうし。というか町中でやれば捕まるし、外でやってもPKだしな……」


 俺、そもそも殺る気がなかったな。

 ずっと前、進化の際のログを視た限り犯罪歴が帳消しにされるように見えた。

 理論上は可能だが、それでも故意に罪を犯そうという気はない。



 閑話休題(180°てんかん)



 結論、俺は犯罪者になりたくない。

 目に見える形で罪を裁かれる気はないということで……よし、次行ってみよう。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 修練場


「うははっ! 大量大量!」


 一言で状況を語るのであれば──俺の周りに大量の神鉄鉱(オリハルコン)が並んでいる。

 色という概念で捉えがたい、ランダムで輝く眩い光が視界にチラつく。


「……いろいろとあったな、うん」


 高山にまだ神鉄が掘れるスポットが無いかと思い、野山を駆け巡った。

 そして見つけた鉱洞を掘り尽くし、ある程度の神鉄を見つけだしたわけだ。


 ただ、アレって回復するのかな?

 ゲームによっては一度限りの採取スポットとか、あとで恨まれるような設定を施すのもあるからな……。


「お蔭様でスキルがうっはうは! SPがまた、だいぶ溜まったでござる」


 とりあえず、(採掘)が中級から上級へ至る程の経験値が稼げた。

 補正があることを祈って先に進化とレベル上げもしたので、プラマイはゼロだけど。


 他にも体を使っていたので経験値は大量にゲット、そのすべてを貯蓄しているので、好きなタイミングで配分しておこう。





 さて、俺は今生産を行っている。

 大量に並べられた神鉄のインゴットは、これから行う『お楽しみ』のためだ。


「それに、これを使いますっと」


 取りだしたのは、試作的に用意した水晶の小型版だ。

 別に例の水晶のような機能があるわけではないが、品質としてSを叩きだした超激レアな水晶として取っておいた物だ。


「これらを神鉄を融かして造った錬金陣の上に並べていきます。インゴットは、それを高めるための素材だな」


 神の名を持つ職業【鍛冶神】によって、俺の鍛冶系技術は極みに達している。

 合成の魔法陣、その線に神鉄を触媒として使用しているのだ……性能は桁外れの物に昇華しており、これから行う『お楽しみ』にも関係していた。


「合成……そう、それ即ち錬金なり!」


 鍛冶の際と同様、すでに『錬金師』をカンスト状態まで上げてある。

 枠が無かったが、そこは『槍士』をパパッとカンストさせることで解決した。


 錬金術士として、やらなければならないことがいくつかある。

 しかし俺はポーションにばかり固執していたため、これまでやってこれずにいた。


 ……それも、今回の『お楽しみ』でやりたいと思っていたんだよ。


「触媒はもう一つ──俺の血っと」


 血で錬成陣を書くのはすでに王道になっているので、俺はあくまでメッキするような感じで血を陣の上に塗っていく。


 痛いのは嫌なので、変身魔法で手を蛇口のようにするというアイデアを捻りだし、どうにか痛みを発することなく血を用意したのだが……そこは、カットしておこう。


 この世界では、モブな俺の血でもそれなりの価値を示してくれる……高レベルの奴は、高い身力値を秘めているからな。

 お蔭様でこういったことができる。


「ここに【譲渡】と【矛盾】を使う。この血に発動したスキルを使わせ、【矛盾】で発動者を俺だと誤認させる」


 要するに血の中に魔力が存在する限り、あるスキルがずっと発動するということだ。

 長期的なアレは見込めないが、どうせすぐに錬成を行うのでそこは問題ない。


「その作業を……何度も、何度も……や、ります……」


 発動するたびに頭痛がひどくなるが、気にせず作業を続行する。

 錬成陣に引かれた血のライン一本一本、それぞれ別にスキルを籠めていく。


 籠めるスキルの中には、俺の血程度では使用できない物もある……が、そこは神鉄の補助を受けることで一時的に可能となる。


 やればやるほど負担や錬成時の消費魔力が尋常ではない桁になってしまうので、選別したスキルたちだけを注いでいく。



「そ、して──合成!!」



 使い続けた【矛盾】の力によって、ありえない現象を魔力を対価として現界させる。

 武具創造や神器の製造ができるまでに、俺の魔力は高まっていた。


 本来であれば足りないが、【節制】による補正もあって消費魔力は極限まで抑えられている。

 今では『堕落の寝具』もあるので、回復も即座に可能だ。


 触媒を利用した莫大な魔力によって、それらも使った錬成が行われる。

 水晶へ捧げられた力が集い、束ねられ、最適化された形で組み込まれていく。

 ──眩い光が、視界を覆う。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 光が収まった。

 世界最高と言っても過言ではなかった錬成陣を消滅させ、ソレはこの世界に生まれる。


 アイテムをする際、身の丈以上の物に挑むとこういったことが起きる場合がある。

 鍛冶であれば槌、裁縫であれば針、錬金であれば錬成陣……他と異なり陣そのものが失われるのは、錬金術だけに見受けられる特異性が原因だろう。


「さて、完成したか」


 ヨタヨタと錬成陣があった場所に近づき、メルスはそこに置かれたソレに触れる。


 万色の輝きをその中に宿した、ソレそのものが幻想的な光を放つ水晶。

 神鉄を触媒として使ったため、神々しい力の波動を放出する。


「うーん、リーと同じだな。これが神の気ってヤツなのかな?」


 メルスが語るのは、神気のことだ。

 神々だけがその身に宿す、あらゆるエネルギーを超越した力。


 神鉄は神々が放った神気を帯びることで、その硬度が高まった鉱石。

 それを用いたアイテムが神気を宿しているのは、至極真っ当な理由であろう。


「でも、ゲームも序盤のなのにこんな簡単に用意できちゃっていいのかな? いや、鉱山が枯れるまで掘った奴の台詞(セリフ)じゃないけど」


 メルスが掘ったシンフォ高山の鉱洞は、プレイヤーもかなり成長を重ねなければ向かうことのできなかったフィールド。

 彼の想像以上に、掘りだした場所は危険区域でもあったのだが……誰も幸せにならない話なので、今回は省略する。


「とにかく、これが生みだせた。煩わしいあれこれもバッチリ解決だな」


 煌く水晶を見ながら微笑むメルス。

 水晶に映る彼の姿は──歪みもあってかひどく歪な笑みを浮かべていた。


  ◆   □   ◆   □   ◆


---------------------------------------------------------

模倣宝玉 製作者:メルス


神器:宝玉 自己進化型

RANK:X 耐久値:∞


神気が宿る万色に輝く宝玉

力を複製し、保持者のモノとすることが可能

魔力を籠めることで、一度登録したあらゆる装備に形を変えることができる

装備が宿す能力も、効果を劣化した形で完全に複製される

方法は問わず武技や魔法を解析することで、同じ現象を引き起こすことが可能

ただし、その際は発動に必要な身力値を最低使用値分支払わねばならず、威力向上などの補正を受けることはできない

また、この宝玉は意思を宿しており、担い手の行動を補助することがある


装備スキル

(自我の芽)(完全模倣:装備・武技・魔法)

(完全再現:装備・武技・魔法)(戦闘学習)

(再現成長)(行動補助)(?)(?)(?)(?)……

---------------------------------------------------------


 ──ぼくのかんがえたさいきょうそうびである。


 鑑定結果を見れば分かるように、今回の神器『摸倣宝玉』のコンセプトはコピーだ。

 相手の武具や必殺技をすべて真似し、何倍にも強めた状態で返す、THE・主人公のような現象を再現したくて生みだしてみた。


「というか、なんで物語の主人公は相手の能力を全部使えるようにしないんだろう。絶対に、『あっ、これが使えたらなー。一度試してみよう』とか思うはずなのに」


 使える技は多いに越したことはない。

 いつ如何なる場合において、何が必要となるかなんて分からないからだ。


 この世界において、装備品は特にそういった危機を防ぐために使うことができる。

 地球と異なり超常的な現象が起こせるのだから、まあ当然と言っちゃ当然だが。

 なので、装備品もコピーできるようにしてみたのだ。




 そして現在、俺は水晶の前に居る。

 前回同様、俺の予想が正しければ例のアレが出てくるわけで……。


「これで俺は神に……グフフフフッ」


 おっと、少しだけ本音が漏れてしまった。

 これも包丁を作ったことで、いちおうは好きなタイミングでリア充へ想いの丈をぶつけることができるようになったからだな。


「ゲフンゲフン。さて、転職先はどこでしょうねーっと」


 これまで手に入れてニヤついていた水晶とはまた別もの、職業を変えることができる水晶に手を当てると──


***********************************************************

転職 [絞り込み:適職]


矛士・投擲師・【?界??士】・【闘?】・【?中?王】・【?器?い】・【錬金?】

***********************************************************


「うん、バッチリだな」


 あからさまに載っている。

 というか、隠す気無いよな~と思いつつ、それを選んでから転職を行う──


  □   ◆   □   ◆   □


特殊固有職業:【錬金神】への転職を確認

要求者『メルス』に【鍛冶神】を確認

→【鍛冶神】と【錬金神】を統合します


特殊固有職業:【生産神】となりました

加護:(錬金神の加護)を授かりました


 ERROR 異常なコードによる介入

 $E&*#……???による上位アクセス

 以降の導きは???主導の元行われます


加護:(木工神の加護)を授かりました

加護:(裁縫神の加護)を授かりました

加護:(耕作神の加護)を授かりました

加護:(調合神の加護)を授かりました


『木工士』は『木工師』LvMAXになります

『裁縫士』は『裁縫師』LvMAXになります

『耕作士』は『耕作師』LvMAXになります

『調合師』はLvMAXになります


『木工師』は【木工神】に進化しました

【木工神】は【生産神】に統合されます

『裁縫師』は【裁縫神】に進化しました

【裁縫神】は【生産神】に統合されます

『耕作師』は【耕作神】に進化しました

【耕作神】は【生産神】に統合されます

『調合師』は【調合神】に進化しました

【調合神】は【生産神】に統合されます


条件を満たしました

加護:(生産神の加護)を授かりました

称号:『生産を極めし者』を獲得しました

権能スキルが習得可能になりました

称号:『神様見習い』を獲得しました


  □   ◆   □   ◆   □


「えっと、その……ほ、『矛士』に転職しますね!」


 あたふたと、しかも敬語が出てしまったが気にしないでもらいたい。

 俺だって、ここまでになるとは思ってもいなかったんだから。


「よ、よし……けど、どうしてこんなことになったんだ?」


 間違いなく、例の『???』とやらがやらかした結果であろう……ログに書いてあるからそれは確定事項だが。

 あのときも、少しは調べようと思ったのだが……結局何も分からなかったなー。


「まあ、日頃の行いが善すぎる俺に対するご褒美って線も捨てがたいし、悪い影響が来るまでは放置でいいか」


 なぜ、どうして【生産神】なんだろう? 正体は生産に関する神様? といった疑問はとりあえずスルーの方向で。

 この世界の神が本当に神であるなら、俺たちのような矮小な存在の疑念などどうでもいいし関係ないだろう。


「俺はただ、偽善をしたいだけなんだし」


 どういった理由があろうと、偽善を行いやすくなればそれでいい。

 主人公みたいに重大な使命があるわけでもない……嗚呼、それだけなんだから。




 その後、俺は新たにいくつかのスキルを習得してからログアウトを行う。

 特に理由は無かったが……このタイミングだったのは、心機一転の意もあっただろう。



  ◆   □   ◆   □   ◆

---------------------------------------------------------

ステータス

名前:メルス (男)

種族:【天魔】 Lv50

職業:【経験者】Lv30・召喚師Lv30・中忍Lv40・暗殺者Lv1・銃士Lv1・【聖具使い】Lv1・【魔具使い】Lv1


NEW

矛士Lv1・【生産神】Lv-


二つ名:『模倣者』


HP:1200

MP:1350

AP:1250


ATK:180→190

VIT:155

AGI:160

DEX:220

LUC:155

BP:0


スキルリスト

武術 NEW

(爪術Lv1:5)(投槍術Lv1:5)(重棍術Lv1:5)

(鞭術Lv1:5)(杖術Lv1:5)(片手斧術Lv1:5)

(両手斧術Lv1:5)


(槍術Lv30:5)→(矛術Lv30:5)


技能 NEW

(中級採掘Lv50)MAX→(上級採掘Lv10:5)


特殊

(経験者の可能性Lv-)

\(槍士の心得Lv30)MAX

(木工の心得Lv30:職業)NEW・MAX

(裁縫の心得Lv30:職業)NEW・MAX

(耕作の心得Lv30:職業)NEW・MAX

(木工の心構えLv50:職業)NEW・MAX

(裁縫の心構えLv50:職業)NEW・MAX

(耕作の心構えLv50:職業)NEW・MAX

(調合の心構えLv50:職業)NEW・MAX

(錬金の心構えLv50:職業)NEW・MAX


NEW

(矛士の心得Lv1:職業)


祝福 NEW

(生産神の加護:職業)

\(鍛冶神の加護)(錬金神の加護:職業)

(木工神の加護:職業)(裁縫神の加護:職業)

(耕作神の加護:職業)(調合神の加護:職業)


SP:919

---------------------------------------------------------


 ほんの少しだけ出しましたが、神気は万物のエネルギーとなります。

 のちの物語でもかなり使われるのですが、これは生命体に注ぐ経験値としても代用が可能です。

 そのため、強制進化・転職の際も神気が支払われてレベルをMAXにしてから転職という作業がこなされています。

 ……これこそが、神様の行ったレベリングというわけです。


p.s.

ご指摘があったのですが、強制カンストした生産職の能力値補正がございません

これは今回の方法がグレーに近いもので、それゆえの対価だからです


ただし、SPの方はきちんと加算されます

これは自由民と共通であるシステムから外れた──(情報規制)

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― 新着の感想 ―
[一言] 生産神になったときに今まで就いてなかった生産職業が強制カンストさせられてるけど、その分の職業ボーナス分の能力値が上がってない気がする。
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