偽善者と自己紹介 その07
夢現空間 居間
「えっと～自己紹介の時間だ……もう始めても良いか？」
『どうして、メルスはいつもいつも、ワタシにだけ冷たいのよ！』
テンション低めにそれを告げると、毎度毎度のツッコミが冴え渡る。
……うん、やっぱりリーはこうでないと。
「いや……よくよく考えたらリーって……武具っ娘の中でも年長だったよな。そう考えるとなんかこう……クるものがあってな」
『メルスッ!?』
「いやだって……リーだろ？」
『ワタシはドラちゃんじゃありません！ そうやって、名前を蔑称みたいに使うのは止めてくださいよ！』
「え？ 別にそんなつもりはないぞ。ただ、あの兄妹を支える素晴らしい宰相さんのように、リーを呼びたかったんだよ」
『結局パクってるじゃない！』
どぅどぅとリーを宥め、無事沈静化した。
……さぁ、インタビューを始めよう。
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「問01:あなたの名前は？」
『リーです』
「問02:性別、出身地、生年月日は？」
『女性、自我は闘技場で体は終焉の島、生年月日は不明です』
「問03:自分の身体特徴を描写してください」
『身長は158、白金の髪と桃金の目です』
「問04:あなたの職業は？」
『支援魔法士です』
「問05:自分の性格をできるだけ客観的に描写してください」
『……不憫で可哀想な弄られ体質』
「今更直談判か？ 悪いが、俺とギーのオアシスであることは変わらないぞ」
『やっぱり、弄られ体質でした』
「問06:あなたの趣味、特技は？」
『支援が得意です』
「問07:座右の銘は？」
『一支酬いる……よ』
「ほ～、意味は？」
『お返しとして、支援するという意味ね』
「問08:自分の長所・短所は？」
『長所も短所も物事を口に出すこと』
「問09:好き・嫌いなもの／ことは？」
『好きなことは支援することで、嫌いなのはそれ以外を行うこと』
「……まあ、才能皆無だしな」
『そ、それを言わないでください！』
「問12:ストレスの解消法は？」
『メルスにツッコみます』
「……リーさん、そこだけ聞くと男が卑猥なことを言っているみたいだぞ～」
『っつ～～～～！』
「問13:尊敬している人は？」
『メ、メルスです』
「問14:何かこだわりがあるもの／ことがあるならどうぞ」
『ツッコむとなったら、必ずツッコむこと』
「……うん、感謝はしてるんだよ」
『……感謝？』
「問15:この世で一番大切なものは？」
『メルスです』
「(今度はちゃんと言い切れたな)」
「問16:あなたの信念は？」
『みんなを鼓舞し続ける！』
「問17:癖があったら教えてください」
『……その、周りのむ、胸の大きさを「それ以上は何も言わなくて良い」え、えぇ!?』
「(リーは、トリプルエーだからな)もう言わなくても良いんだ。俺が悪かった」
『……なんだか無性にメルスを殴りたくなってきた気がします』
「問18:ボケですか？ ツッコミですか？」
『ツッコミに決まってるじゃない！』
「……ある意味ボケだけどな」
「問19:一番嬉しかったことは？」
『ワタシを創り上げた時のメルスの顔を見た時です』
「ん？ 自我は咲いてなかっただろう？」
『神器には自我……とまでは呼べずとも、意識があります。ギーも多分、ワタシと同じことを言うと思いますよ』
「問20:一番困ったことは？」
『一番……決められないわよ。メルスから受けた仕打ち、困ることばっかりじゃない！』
「はいはい、えがったえがった」
「問21:お酒、飲めますか？ また、もし好きなお酒の銘柄があればそれもどうぞ」
『神酒を薄めたものが好きです』
「この世のものとは思えないような味らしいけど、俺は呑んでないからな～」
「問22:自分を動物に例えると？」
『……動物？ 動物……』
「ま、感情的になりやすいって意味では、もう人で良いんじゃないかって思うけどな」
『……もう、それでいいです』
「問23:あだ名、もしくは『陰で自分はこう呼ばれてるらしい』というのがあればどうぞ」
『ど・う・し・て！ ワタシは絶壁と呼ばれるのですかね!!』
「いやー、そらはあおいなー」
「問24:自分の中で反省しなければならない行動があればどうぞ」
『前に、気絶したことです』
「あれは……俺も悪かったよ。イメージをし過ぎたしな」
『いえ、それに耐えることのできなかったワタｓ「そうか、ならいいや」……メルス！』
「問25:あなたの野望、もしくは夢について一言」
『地位と待遇の改善を要求します！』
「問26:自分の人生、どう思いますか？」
『メルスのためのものです』
「問27:戻ってやり直したい過去があればどうぞ」
『ありません』
「問28:あと一週間で世界が無くなるとしたらどうしますか？」
『ありえません』
「問29:何か悩み事はありますか？」
『自分の立場です』
「仕事、回そっか？」
『……お試しでお願いします』
「問30:死にたいと思ったことはありますか？」
『ありません』
「問31:生まれ変わるなら何に(どんな人に)なりたい？」
『死ぬ気がありません』
「問32:理想の死に方があればどうぞ」
『死ぬ気がありません』
「……いや、神だけどさー、神殺しもあるから、ちゃんと考えようよ～」
『メルスがいるんですから、そんな可能性は万に一つもありえませんよ』
「…………(グ、グッとキター)」
「問33:何でもいいし誰にでもいいので、何か言いたいことがあればどうぞ」
『ギーもメルスも、ワタシを弄るのは控えてください』
《「無理(断言)」》
「問34:最後に何か一言」
『なんで、二人共即答なんですか!!』
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「――はいカット～」
『……どうしたら、どうしたら変えてくれるのですか？』
「無理無理、ボケた時の反応が可愛いリーが悪いんだよ……あっ」
『……か、可愛い～～～～！』
やっちまったな～。
リーと居ると、つい口が軽くなるというか何というか……。
『か、可愛い。メルスが、ワタシを、可愛いと……えへへ』
「ああ、もう！ ちゃんと聞け！」
この後、オーバーヒートしたリーを必死にクールダウンさせた。
早く止めないと、俺もオーバーヒートしてしまいそうだったからな。
