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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と飛ばされて終焉の島 中篇 七月目

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偽善者と聖霊無双 前篇



彷徨の森林



 再び強者に会うために行動した俺は、島の西に位置する霧の森にやって来ていた。

 相も変わらず全てを惑わす霧が宙に散布されているが、それすらも無効化してのんびりと歩を進める。



「(ユラル~、精霊って何なんだろう)」


《……凄い今更だね、メルスン。夢現空間にも精霊はいっぱい居るじゃん。というかそれなら、メルスンはどうやって精霊に関する魔法を使ってるの? 精霊が分からないと使えないはずだけど……》


「(ほら、精霊が出てくる話がいっぱいあったからさ。一々気にしなくても、ある程度は発動できてたし)」


《なら、説明しようか? ……一応本にしておいたんだけど》


「(すまんな。魔術や神代魔法、古代魔法に関する資料は結構読み漁ったんだが……俺自身が精霊魔法を使う機会が中々ないからな。気付かなかった)」



 (精霊魔法)を発動させて魔力を体外に放出するだけで、精霊は寄って来たからな。

 細かいことを一々気にしなくても、必要最低限のことは使えたしさ……。


 俺、別に源泉を支配しているわけじゃあ無いんだけどな~。



《……ハァ。私って、一応メルスンの契約聖霊でもあるんだよね? 全然使ってくれないし……。メルスンが私たちを使ってくれない理由は分かるけど……でもね、少なくとも聖霊は、契約者が魔力を消費してくれれば死なないで戦えるよ。メルスンが考える以上に、私たちだってメルスンを大切にしている。だから、一回で良いからチャンスを頂戴よ。メルスンの望む以上の結果を……出してみせるから》



 やる気満々、覚悟充実、ユラルのそんな気負いに少しばかりビックリ……そして納得。

 なんか話がまたシリアスに……だけど、そろそろ決断すべきなのかな?



「(ほぉ………………良いぞ)」


《やっぱり駄目だよ……え、良いの!?》


「(ああ、その代わりの条件として、ダメージ全部を俺が引き受けるがな。どうせ俺は……あの状態になれるし、いつまでも空間に押し込めていたら、それは監禁と同じだしな。

 ユラル、お前独りで本当にできるのか? 死なないなら良いってわけじゃ無いんだし、ユラルが私Tueee! ぐらいできないと駄目だからな)」



 封じ込めるだけのハーレムなんて、誰でもできる。

 主人公たちに倒される悪役だって檻の中に女たちを収容すれば、その程度のことならばできるだろう。


 ……も、もちろん、俺が求めるハーレムはそんなものじゃないよな。

 もっと、ヒロインたちが自由に動いた方が良いのかもしれない。

 ……あれだな、偶には{他力本願}になれってわけだ。



《――やる、それでもやる! メルスンが戦わなくてもいいように!》


「(……それってニートだからな。嫌だよ、眷属に養ってもらって【怠惰】に生きていくだけの人生は。戦わなかったら、俺に残るのは内職と国政ぐらいじゃないか!)」


《普通はそれで充分だよね》



 いやいや、内職も国政も、偽善者には似合わないんだよ。

 まあ、できることもあるけどさ。

 だけどリスクが半端無いんだよ!



「(……ま、とりあえず呼ぶか。どうやったら召喚できるんだっけか?)」


《魔力を消費しながら、私を召喚するイメージをすればいいよ》


「えっとー……"ユラル、来い"」



 すると、体からごっそり魔力を奪われる感覚と共に、目の前にユラルが現れる。



『どう? ちゃんと召喚されたよ……って、どうしたの?』


「……ユラル、今の召喚にどれだけの魔力が消費されたと思うか?」


『えっと~……300ぐらい?』


「100万だよ100万! どんだけ消費してるんだよ、この大喰らいが!」



 どんだけ持ってくんだよ。

 こっちに来る前の俺だったら、同じことを100回ぐらいやらなきゃ召喚できなかったじゃないか! 


 もう少しツッコもうと思ったんだが……突然、そのことについて考えていたであろうユラルが、ガバッと起き上がってこう言う。


『――あ、そうだ分かった! それは恐らくメルスンの所為だ!』


「おい、何でもかんでも、人の所為にするんじゃありません!」


『さすがに300は無いけど、普通の聖霊召喚にそこまでの魔力は消費しないよ……聖霊の能力値やスキルを加味して、召喚に必要な魔力は決まるんだから』


「……つまりなんだ、俺が強化したからそうなった……そう言いたいんだな?」


『えへへ……って痛い(いひゃい)! 痛いから止めて(いひゃいひゃらやめへ)!!』



 とりあえず、口を引っ張ってやった。

 左右にビニョーンと頬が伸びるのだが……クソッ! 可愛過ぎだろ!!



『というかメルスン、まだ私、(実体化)を発動させてなかったよ。一体どうやって触ってたのさ!』


「(神手)を使えば万物に触れられる。それは当然、精神体でも星辰体でも同じだ」


『もっと、ロマンチックに言ってみてよ』


「……自分の女を触れないわけが……って急に何を言わせるんだよ」


『えへへ~、痛い(いひゃい)よ~♪』



 コイツ、全然反省していやがらねぇ。

 少し赤くなったユラルの頬から手を放し、話を元に戻す。



「……ああもういい。ユラル、まずこの場にいる魔物全部を倒してくれ。第一試験だ」


『へへへ……あ、それならあと一匹だよ』


「……ん?」


『周りの木を操って、後はエリアボスだけって状態だよ』


「そ、そうか。仕事が早いな」


『もちろん、"解体アプリ"で捌いて仕舞ってるし、アフターケアもバッチリだよ』



 ……俺とのやり取りの最中も、ずっと魔物狩りをしてたのか? 全然気付かなかった。

【七感知覚】を常時発動させていたらさすがに気付いていたと思うが、今は発動させてなかったからな。



「凄い凄い、さすがユラルだな。というか、聖霊が凄いのか?」


『聖霊は、自然を司る精霊達の上位存在なんだよ。その中でも私は樹木を操るのに特化した聖霊……ここは私のフィールドってわけ』


「そりゃあ凄い。精霊が自然現象に関連した存在ってのは理解していたが、ここまでできるものなんだな」



 つまりなんだ、聖霊をその属性に適した場所で殺し切るのは難しいってことだな。

 辺り一帯が聖霊の味方であり自分の敵、物凄く苦戦しそうだ。



『メルスンの力が無かったら、もうちょっと時間が掛かったと思うけど……それでも一人で倒せたかな? だからこそ、私はここに飛ばされたんだけど』


「お前がそれをどう思っているのか……それは分からないけどな、今お前と一緒にいられること、それは俺にとって……結構、嬉しいことなんだぞ。だから、そんなに悲しい眼をしないでくれよ。思い出したくないことは、今は思い出さなくていい。必要になった時だけ、思い出せばいいんだ」


『……もう少しデリカシーのある言葉を言えないの? メルスンは』


「そりゃあ無理だな。デリカシーと縁のない人生を歩んできたんだ。スキルとして身についてないな」



 そんな話をしていると、次第にユラルも元の表情に戻ってくれた……良かった。



「ユラル、それじゃあエリアボスも頼むぞ」


『え、倒していいの?』


「構わないさ、どんどん倒しちまえ!」



 そんなノリに任せて、俺たちは森の奥へと向かっていった。




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『えへへ……っていひゃい! |いひゃいひゃらひゃめれ《痛いから止めて》!!』 ルビが触れてないです
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